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人見知り最強魔女は仲良くしたい  作者: Guen
2章『森の異変』
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46話『会ったほうがいいか……な?』

 ゴウと2人で製薬を続けていると、部屋が徐々に暗くなり始めているのに気がついたので、急いで部屋にあるランプに火を灯した。


「いつの間にか暗くなってたね。鍋の火とかもあるから気がつくの遅れたよ……さて、後片付けして夕飯の準備しようか」


「ゴオ」


 後片付けと言ってもそこまで器材を出しているわけでもなく、使わなかった空の瓶などをしまう程度なのでそこまで時間はかからない。


 その間にゴウはそのマッドゴーレムの体をいかして、床に落ちた粉末や薬草の欠片、こぼれてしまった液体などをズルズルと這いずりまわって回収してくれていた。


 ――そういえば水分も別に貯められるなら、不純物だけ分別して肥料作りとかもできるのかな……また今度畑をいじるときにやってみてもらわなくちゃ。


 片付けを終えた後、台所にいき夕飯の下準備を始める。

 お昼にカーウィンさんと食べた残りに、再び貰ったお肉を入れるために下ごしらえする。


 ゴウにも手伝って貰っていたが、後は煮込むだけになったので大部屋の掃除を頼んでおいた。


 鍋の様子を眺めていると速い速度で近づいてくるリルの気配を感じた。


 ――え、カーウィンさんがそのうちくるって言ってたけど、さすがに速すぎない!?


 耐性ポーションの効果はさすがに切れていたため、後で自室に置いておくように持ったままだったポーションを飲み干す。


「ぷはっ。こんな頻繁に飲むなら味付けも考えようかな……効果しか考えてなくて苦いし……子供っぽいかな……いや、今は子供だった」


 知識や力はあるのに、所々精神が肉体年齢に引っ張れてるときがある事を自覚して苦笑する。


 ――まぁ外見が子供な以上、変に年寄り臭くない方がいいのかな……手紙をみる感じ、そこまで年寄り臭く感じなかったけど、まさか元からこんな性格なのかな……


 などと考えていると玄関がノックされる音がしたので、大部屋の方へ顔を出す。


 掃除の終わったゴウが、卵を興味津々といった様子で優しく触っていたが、ノックの音がしたからか私が顔を出したことに気がついたからか、触るのをやめたようだった。


「ミリーこんばんは。まだ起きてるかしら?」


「……そんなに早寝じゃないよ。入って」


 ドアを開けてリルに入るように促すと同時に、ゴウが台所へと向かっていった。


 ――お客さんがきたからお茶を入れに行ってくれたのかな? もうかなり馴染んできてるね……


「急にきてごめんね」


「……カーウィンさんから近々来るって聞いてたし平気」


 招き入れた後座るように促して、対面に私も座る。


「ちょっとミリーに相談があるのよ……」


「……なに?」


「実はね、昨日のブルーワイバーンの件で、領都から研究者が来ててね……」


「……速いね? 研究者がきたの? 貴族じゃなく?」


「あぁ、カーウィンから聞いてるのね。一応貴族なんだけど、本人が貴族っていうよりただの研究者として扱ってほしいっていうのよね……実際現当主でもないし、研究が楽しくてしかたないってタイプの方なんだけど……」


「……たしかにそれなら貴族扱いされてたら、研究の効率悪くなることもあるだろうし納得かな」


「それでまぁ、その博士がブルーワイバーンの首の切断面を気にしててね……」


 ――あぁ……確かに魔刃まで使ったけど、カーウィンさんでも出来そうなんだけどなぁ……


「私としてはミリーのことを隠しておきたいし……」


 ――いろんな人とおしゃべりしたいとは思ってるけど、急に貴族とかハードル高すぎるしね……


「ミリーも隠れて生活してるから、出ていきたくないのも分かるんだけど……」


 ――いや、別にどうしても引きこもりたいわけではないけど……この人見知りのせいで1人のほうが楽というか、迷惑かけないというか……


「だけど今後の事を考えると、博士と知り合いになって貴族との繋がりを持っておいた方がいいとも思うのよ……」


 ――まぁ……後ろ盾というか、そういう権力者と顔見知りの方がいいこともあるけれど……相手次第では厄介ごとしかないけど……


「それで私なりに調べたところ、その貴族の家系は信用できるから、ミリーも会ってみない?」


 ――この国の事情を調べてたリルが信用できるなら大丈夫そうだけど、貴族かぁ……カーウィンさん曰く、私は威圧感漏れてるらしいけど平気なのかな。


「この家に連れてくるのは流石に困るでしょうから、ギルドの裏手の倉庫まで一緒に来てほしいのよ。あそこなら町の一番外側だし一応結界もあるから、山に行ったときのように気配を消していれば平気だと思うの。博士も耐えられると思うわ」


 ――なるほど……確かにその条件なら迷惑はかからない……のかな? その博士が本当に平気ならだけれど……


「それで、どうかしら?」


「……わかった、会ってみる」


「そう! よかったわ……万が一失礼な事されたり言われたら反撃していいからね?」


 ――それはギルドマスターとしてどうなんだろう……いやまぁ、リルが言うには私に、といってもミリアリアに恩を返したくて待ってたらしいし、いざとなればここで一緒に暮らせばいいか……


「ゴオ」


 話がひと段落着いた辺りでゴウがお茶を運んできてくれた。


 ――そういえばご飯の準備の途中だった!


 そう思い出して台所へ向かうと、材料が2人分に増えていた鍋が置いてあり、火は消えていた。


「あぁ、ちゃんとやってくれてたんだ。ありがとうゴウ」


 一緒についてきていたゴウをなでた後、リルと夕飯を食べることになったため、2人分の準備をして大部屋へと戻った。




 夕飯の片づけを終えた後に、先ほどの話の続きをする。


「……まだ夜に入ったばかりだけど、いつ向かえばいいの?」


「そうねぇ……明日の早朝につくようにこっそり行こうと思ってたんだけれど……」


 ――気配を消しての行動とはいえ、明るいうちに町へいくのかぁ……大丈夫かな……人……人人……ウエェ……少人数ならいけるともうけど、町って考えるときっついなぁ……


 一瞬だけ眉間にしわを寄せて気持ち悪さを我慢して飲み込みつつ、先ほどの条件を思い出す。


 ――確か倉庫でってことだから、多分リルとその博士とカーウィンさん、居ても3人だよね……? それなら……大丈夫……だよね……話したほうがいいのは間違いないし、ちゃんと声出るといいけれど……


「ミリーさえいいのであれば、今から向かうっていうのもありね……」


 ――この不安を抱えたまま朝を迎えるなら、いっそこのまま行って早く終わらせた方がいいかもしれない……


「……今から行こう」


 考え終わると同時に発言すると、席を立って準備のために部屋に向かう。


「え、えぇ。わかったわ。特に持っていくものは……ブルーワイバーンの時に使ってた短剣だけは持ってきてほしいかしら……」


「……わかった」


 そう言うと自室で探索用の軽装に着替えて、いつもの外套にポーションを入れた後羽織り、お手製の短剣を腰に差す。


 手早く準備を終えて大部屋に戻ると、また卵をつついていたゴウをリルが微笑みながら見ていた。


「その卵いつ孵るのかしらねぇ。ゴウも楽しみね?」


「ゴオ」


 卵に気を使っているのか、いつもより静か目な声で返事をしていた。


「……準備できた」


「早かったわね。それじゃあ向かいましょうか」


「……ゴウ、ちょっとの間お留守番しててね。卵のこともちゃんと見ててね?」


 そう言うと念のためゴウに魔力の補給をしてあげる。


「ゴオ!」


 任せてと言わんばかりに胸部分をトンっと叩いて反応してくれる。


「もう暗くなってるから急いで移動しましょう」


「……飛行魔法使う。私がリルを運ぶ形になるから、私の魔法に抵抗しないで」


「あ、あの魔法ですね……50年ぶりだけど大丈夫かしら……」


「……飛ぶのに慣れてないと思うから無理に見なくていい」


「速度とジャンプの高さには自信あるから平気よ……きっと……」


「……【フライ】【レビテーション】」


 私には飛べるようにする魔法の【フライ】を、今回はリルは宙に浮かせて運ぶ形になるので【レビテーション】を付与する。

 【グラビティ】と違うのは、浮かせることに特化していて消費魔力が多いが、重さがそのままなので風の影響を受けにくい。


「……それじゃあ行ってくるね」


「ま、またねゴウちゃん……」


 宙に浮いたことにより、若干声が震えているリルの言葉を聞いてから町に向かって飛んでいった。

山から帰るときに飛ばなかったのは、被害確認があったのと、なるべく無駄な消費はしないタイプだからです。

今回は出来るかぎり早く不安要素を消し去りたい一心ですね。

博士が寝ちゃうと結局朝になりますし……

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