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人見知り最強魔女は仲良くしたい  作者: Guen
1章『森での出会い』
26/59

26話『予想以上の結果だった』『町へ帰る』

本日投稿2話目です。

 解体作業が大体終わったところで、カーウィンさんが掃除を終えて出てきた。


「こっちは終わった……うぉ!? って、ゴウか……そんな風にもなれるのか……」


 と皮の剥ぎ取りなどは終わったが、吊るすように持ったままのゴウを見て驚いていた。


「いえ……カーウィン、普通のゴーレムはここまでの変化はないから覚えておいて……いくら基本的に柔らかい部類のマッドゴーレムでもここまで形を変えられないわ……」


「あぁ……ミリーも手伝ったみたいだし……なるほどな……」


 ――何を納得したのだろうか……まぁ確かに引き籠って研究してた時に思い立ったものを色々組み込んでみたけど、術式の刻印はほとんどリルにやってもらったし、私はアドバイスしたり指示しただけだよ?


「……ゴウありがと、それは荷台に積んでおいて」


「ゴオ」


 そういうと、角イノシシが地面につかないようにその大きさのままズルズルと荷台に寄っていき、すでに乗ってある1匹の横に乗せたあとシュルシュルと元の1メートルほどのサイズになって戻ってきた。

 私の胸当たりの高さにあるゴウの頭を軽くなでてやると、嬉しそうにパタパタを腕を動かして喜んでいるようだった。


「思考能力があるみたいだったけど、もうほとんど感情にちかくないか……その辺の小動物と大差ないんじゃ?」


「本当にね……私は普通の思考能力部分しか書いた覚えないんだけれど、ミリーが最後に手を加えたから、その時になにか追加したんでしょうね……」


 と苦笑してるカーウィンさんと呆れたような表情のリルから、若干ほほえましいものを見るような視線を感じたのでゴウの頭から手をのけた。

 ゴウは"もう終わり?"というような感じで首を傾けていた(首はないので頭部分になる上の方を斜めにしていた)が、すぐに戻して私の隣に並ぶように待機した。


 ――確かに、書き込んだ情報と照らし合わせて行動する思考能力に手を加えて覚えていく学習機能もつけたけど、思いのほか小動物みたいになって可愛いなぁ……ほかの術式も後で試さなきゃね。




「それじゃあまた後日……3日ほどしたら綿とか持ってくるわね」


「……わかった」


 と2人が森に入っていくのを見送り、見えなくなったところで家にはいった。

 一応掃除しておこうかと2人の泊った客室を覗くと、カーウィンさんが拭き掃除までしてくれていたのか、泊まる前のように綺麗になっていた。

 布団には干し草などを詰めていたため、交換の必要があるかもしれないと思ってくれたのか、ちゃんとドア付近に置いてあった。


 ――カーウィンさん気がきくなぁ。3日後くらいにまた来るみたいだし、綿を持ってきてくれればそれを詰めるだろうから、もう出しちゃおうかな。


 ゴウに隣の部屋の布団を持ってきてもらうように頼んで、裏の作業場に出た後そのままゴウと2人で森に入って中身を出した。


「カバーはこの辺りの日の当たる場所に干しておいて、ちょっとポーションの材料を採りに行こうかゴウ」


 そういうとゴウは、コクンっと頷くような仕草をして私の後を着いてくる。


 ――ついでにゴウがほかにできることも試さないとなぁ。でもお肉とかも十分にあるから、襲ってこない限りは戦闘系は帰ってからチェックかな。


 そう思いつつポーションの材料を摘んで回った。






 必要な材料はそこまで深く入らなくてもこの村の周りですぐに集まるので、昼前には家に戻ってきた。


 ――さて、お昼にはまだ早いし、せっかく天気がいいから製薬の材料は外で乾かしつつ、ボロボロにしちゃった短剣を修繕しますか……一応使えはするけど、普段使いするにしてもちょっと使えばダメになりそうだし……


 採ってきた薬草類は天気がいいので魔法は使わず、日のよく当たる場所に並べて干したあと、裏の作業場にある上面を平らにした岩の上に、短剣と少量の鉄塊を準備した。

 鍛冶といっても、本格的に叩いて伸ばしてみたいな作り方をするわけではない。

 ネックレスを作った時のように、形状変化の魔法を使って形を整え、砥石で刃を作り、魔法を付与して強度を上げるという、なんちゃって鍛冶なのだ。

 魔法剣などと言われれば聞こえはいいが、素体自体はドワーフたちの作るそれとは比べ物にならないだろう。


 ――ドワーフたちはハンマーに鍛冶魔法を込めつつ、しみこませるように叩いて形状を作っていくからなぁ……私はそっちは専門外だし、私が扱えれば問題ないからいいけども。あ、カーウィンさんの大剣も観ておきたかったなぁ。ちょくちょく来てくれるなら、その都度手入れとかは私ができるし、現状よりは扱いやすくできそうなんだけど……今度来た時に聞いてみようかな。さすがにドワーフが打ったとかだと、ちゃんとしたところじゃないと逆にダメにしちゃいそうだしね。


 などと考えつつ短剣と鉄塊を重ねて、形状変化魔法でうまく合わせていく。


 ――本当なら高熱で柔らかくしてからの方がきれいに仕上がるんだけど、とりあえずの強度があればいいから平気かなぁ?


 さっと修繕を終えてゴウを呼んだ。


「ゴウ、右腕を剣にしてこれに切りかかってみて」


 そう言うとゴウの右腕がニュニュっと両刃の剣のような形に変わる。

 刻印作業の最後の仕上げに、形状変化の術式の別の使い道として、こういうこともできるようにしたのだ。


 ――もちろんゴウ自身の自衛のためだけど。本人? 本体? ゴーレムだけど、学習能力も付けたし本人でいいか。本人の戦闘能力次第だけど、それらも学習してくれるか試したいしね。


 剣の形になった腕を横からコンコンっと叩いてみるが、保護魔法が本体にかかっている分もあり、こちらの強度も問題なさそうだった。


「それじゃあ、やってみて」


「ゴオ!!」


 気合いの入った声とともに、横の状態で持っている短剣目掛けて振り下ろされる。

 予想よりも鋭い振りだったため、衝撃で落とさないように私も身体強化まで使いしっかりと短剣を握った。


 しかし衝撃は思ったよりも伝わってこなかった。


 ――え、今振り切ったよね……確かに切っ先部分が当たるかなくらいだったけど、ちゃんとあたるの見えてたし……通り抜け……た……?


 カチャンっという音と主に、私の持っていて短剣の先半分が地面に落ちた。


 ――う……うん。確かに当たってたね……いやまって、まともな付与魔法してないとはいえ、何も教えてないのにこんな切れ味あるの!?


 と、落ちた部分を拾い上げ、断面を見るときれいに切れていた。


 ――折れてるとかじゃないもんね……そりゃぁ衝撃も少ないはずだよ……


 ゴウを見ると「切れたよほめて!」と言わんばかりに、嬉しそうに腕をパタパタしていたので、頭を軽くなでておとなしくさせてから、ゴウの腕を確認する。


 ――危ないからその腕の状態で暴れないでねー……うん、ゴウの方には傷すらないね……ちゃちゃっと作ったとは言え、この差があるかぁ……お昼からはもうちょっと付与して試してみようかな。ゴウも普通の剣が切れるなら、戦い方を学べば今の状態でも充分戦えるね。


「ご飯のあともうちょっと色々試してみようか」


 とゴウを連れて家に入っていった。











 ミリーの家から離れた後、角イノシシの乗った荷台を引っ張りつつ、リル姉と話しながら町に帰っていた。


「んで、綿はまぁ3日もあれば1セット分くらいは用意できるだろうけど、俺が持っていけばいいのか?」


 ――寝具に綿なんて使ってるの、かなり余裕のある家くらいだろうが、綿だけなら何とか入手もできるだろう。あの干し草とかの布団でも、柔らかくて寝心地良かったから十分じゃないのかなぁ。中身の入れ替えの頻度が高くて手間か……?


「いいえ、私が持っていくわ」


「え……そんな出歩いて平気なのかよ……」


「今までもたまに森に行っていたわよ。ミリーのいたあの村を探してね」


「そういやもともと住んでた風に言ってたっけか」


「そうね。ウェルドに行く前の数年間住んでいたわ……」


 と住んでいたころの話や、出ていくことになった話をかいつまんで話してくれた。


「あの歴史書とかにも出てくるミリアリアがこのへんに来てたんだなぁ……ってことはなんだ? ミリーはミリアリアさんの子供か孫ってことか?」


「その辺はミリーから直接聞くといいわ」


「……ま、まぁそのうち機会があればな……」


 ――そんな気軽に聞けることでもないだろ……あの圧を放つ子供ってだけでも聞きずらいのに、内容が英雄だの破壊神だのいろんな逸話の残ってる人物についてだぞ……言わなかったことは隠すか言いたくないんだろうし、それを聞いて機嫌を損ねたりでもしたら、生きていられるか分かんねぇし……


「んで私が持っていく理由なんだけど、あなたこの森で野営するにしてもそこまでかさばる用意なんてしないじゃない。そんなあなたが大荷物なんて持って行ったら怪しまれる可能性があるわ」


「あぁ……確かにこの森はもう庭みたいなもんだし、わざわざ荷物になるもんは持って行かないわな……」


「ま、この森ならあなたなら気を抜かなければ平気だろうけど、備えあれば患いなしってね。まだまだ頑張りなさないな、カー坊」


 と優しい声色で言ってきた。


「やめてくれよ薬師のばあ様……まぁこれからもよろしく頼みますわ……」


 ――リル姉は薬師のばあ様だったし、教わったことも数えきれないほどあるが、エルフ族っていうことを教えてもらったってことは、これからも色々教わるんだろうな。ありがたいことだ。


 と思っていると「ばあ様はやめなっ!」と横腹を軽く小突かれて、うずくまってしまった。

 リル姉は「これくらいでだらしないわねぇ」と言いながら、荷台を俺から取ると笑いながら先に歩いていった。


 ――不意の攻撃とは言え、魔法メインの腕力じゃないだろうよ……


 と痛みをこらえて立ち上がり、リル姉の後を追って町へ向かった。

ゴウに対してどもらず話せているのは、もちろん見た目が人じゃないから、会話という会話がまだできないからです。まだポーションの効果が残ってる時間ですが、切れてもこんな状態です。

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