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人見知り最強魔女は仲良くしたい  作者: Guen
1章『森での出会い』
22/59

22話『つい興味が……』『これは貰っていいのか……?』

お久しぶりです。以前まで投稿していた分も手直ししましたが、進行に影響はないです。(誤字脱字修正のみ)

 リル主導で作ってくれた夕飯はとてもおいしかった。

 食事中の会話で言っていたが、どうやらヒト族の料理に寄せて作ってくれたらしい。


 ――ぜひ今度はエルフ料理も作ってほしいなぁ。


 などと思いつつリルの話を聞いていると「今度はエルフ料理もつくるわね」と微笑みながら言ってくれた。


 ――そんなに顔に出てたかな……まさか声に出てないよね?


 そう考えると少し恥ずかしくなって顔を背けてしまう。

 その視線の先に風呂とトイレもある浴室があって、泊るなら湯あみの用意もしなくちゃ、と気が付いたのでその準備をしようとする。


「……お風呂にお湯入れてくる」


「え、風呂だと? いやまぁミリーなら可能か……」


「あぁ……私もたまに魔法でお湯張ってゆっくり浸かったりしてるし、それくらいならミリーならなんてことないでしょうね……」


 不思議そうに二人の会話を聞いていると


「普通の家庭だと浸かれるような量をわざわざ汲んできて、さらにそれを沸かすなんて手間な事しないんだよ……」


「メイドとかを雇っているお金持ちか、それこそ私たちみたいな魔法が使える人くらいかしらね。魔法が使えたとしてもそんなことに魔力を回す人はそこまで多くないだろうけれど……」


 と教えてくれた。


 ――確かに汲んでくるならすごい重労働だろうし、魔法とかに頼ることになるだろうけれど……水魔法の刻印された魔石とかで魔道具を造ったりしてないんだ……スイッチ部分をオンオフ専用の魔石組み込めば、魔石が扱えない人でも使えそうだけど……


「水を出す魔道具もありはするみたいだけど、この国じゃ貴族くらいしか持ってないんじゃないかしら……ほかの国だとちょっと裕福な一般家庭にまでなら、普及してるとか噂に聞いたけれど」


「そんな魔道具もあるのか……」


 ――また心を読んだような回答を……まぁ気になってたしありがたいんだけども……しかしこの国にはほとんどないのかぁ。そういう魔道具作るときも気を付けないとかなぁ……


「……とりあえず準備してくる」


「あ、それならそのままミリーが先にお風呂入っちゃって。さすがにお世話になってるのに、家主より先に入るのは気が引けるからね」


「……わかった」


 そう告げると、着替えだけ持ってきた後浴室に入り、以前と同様に浴槽を水魔法でさっと洗い、温水魔法でお湯を張って軽く流し、ゆっくりと浸かった。


「ふみゃあああぁぁぁ……」


 ――あ、今日はお客さんもいるからあんまり変な声出さないようにしなきゃ……


 とすでに手遅れなことを思いながら、明日の予定を考える。


 ――明日はお見送りしたら薬草採取と、あと短剣を直してあげよう。しかし今日は楽しかったなぁ。いっぱいお話もできたし、耐性ポーション切れかけた時は焦ったけど、作っといてよかったよ……


 ふいーと息を吐いて、あんまり待たせるのも悪いと思い、今日は早めに上がることにした。




 一応2人も入るからお湯を張りなおしてあげようと、一度水を抜き再度お湯を張っておいた。


「……お湯張りなおしたから次どうぞ」


「え、わざわざ張りなおしてくれたの? というか魔法の気配がほとんどしなかったうえに、回数も少なかったような……」


「……水と火の魔法を合わせて一気に使った」


「なるほどね……というか反属性の魔法を同時使用って……私には無理そうだわ……」


 ――そうかな? リルならちょっと練習すればできそうだけど……今度教えてあげようかな。無理にとは言わないけど。


「んじゃぁリル姉が先に行ってきな」


「そうね、そうさせてもらうわ。……覗いちゃだめだからね?」


「んなことしねえよ! さっさと行ってこい!」


 からかうような感じのやりとりを聞きつつ、氷魔法で冷やしたお茶の準備をして夕飯を食べた机に持っていく。

 私がお風呂に使っている間に夕飯の後片付けをしてくれていたようだ。


「……カーウィンさんも飲む?」


「あ、あぁ、貰おうかな」


 というので注いであげると、さっそく一口飲んで「冷たっ!?」と驚いていた。


「……なぁ、さっき言ってた俺の持ってる魔法具が使えないって話なんだが……」


 そういいつつバッグの中から【リフレクト】が付与された、子供の拳大の魔石を取り出す。


「……それのことなら発動できない」


「まじかぁ……」


「……経年劣化的なものもあるけれど、もともとの保護魔法が弱かったからか、効果が薄れてきて衝撃が加わって刻印がずれてる。そのせいで起動しなくなってるけれど、込められた魔力が暴発するようなずれ方じゃないし、そのずれから内部の魔力は抜けきってるから安心していい」


 ――はっ! 魔法具の方が気になって一気にしゃべってしまった!


「お、おう……つまり今はもう平気だけど、使えないうえに、運が悪かったら暴発して危なかったと……」


「……私が作ったやつは保護魔法も強めだから安心してほしい」


「リル姉もそれっぽいこと言ってたし、大丈夫だ。そっちは全くもって疑ったわけじゃない」


 ――そういえば軟膏はわからないけど、治癒ポーションはあんまり効果高くなさそうだったし、素材もあるから作ってあげようかな。


 そう思い立って一言告げてから製薬室に入り、治癒ポーションを作った。




 素材は採取した分をすぐ調合できるようにしていたため、すぐに完成したので持って出ると、ちょうどリルもお風呂から出てきたところだった。


「お風呂ありがとね」


「……お茶も冷やしてあるからどうぞ」


 とポットを指さした後、出来立ての治癒ポーション2本をカーウィンさんに渡す。


「ん……これってあの時のポーション……か?」


「……そう。今持ってるやつより効果は高い」


「いや、それは身をもって知ってるけどさ……もらっていいのか?」


「……素材は余ってるし、いいよ」


 そう話していると、お茶を飲んでいたリルが見せてというので1本渡す。


「これ……エルフ族の製法に近いものも含まれてるけど、ちょっと違うわね……間違いなく効果は高いんだけど……」


「何か問題があるのか?」


「現状出回っている治癒ポーションより効果が高いからねぇ……直りが早くなるのはいいことなんだけど、ここまでの製薬技術は私もしらないし、この辺りだとミリーしか作れないんじゃないかしら……そうなると表に出た場合、出所を探られる可能性があるわけで……」


「あぁ……そうなる可能性もあるか……」


「しかも貴族のお抱え薬師とかが開発したならまだしも、ミリーみたいな子供が作ったとなると、色々疑われる可能性がたかいしね……」


 ――え、まってそれは困る! 怪我してる人を助けられるのはいいけれど、厄介ごとは勘弁してほしい……


「……でもそれ治癒速度が高いくらいのポーション」


「まぁそうなんだけどねぇ……切り傷みたいな怪我を直す速度が速いってだけで、大きい怪我とかまでは治らなさそうかな?」


「つまり治せる怪我の範囲は大差ないってことか?」


「そうだけど、早く治るならそれに越したことはないし、そのおかげで追撃してきた敵に殺される可能性も減るわけだからね」


「そりゃそうだ……」


「ということで、私もカーウィンには生きていてほしいし、あなたが貰うことには何も言わないけれど、ほかの人にばれないようにしないさいね」


「それでいいのかギルドマスター……」


「あくまで直りが早いだけだし、わざわざ上に報告する必要もないわ。それに私も出回ってるやつより効果が高いものを研究して、製法をそれとなく流せば目立つこともなくなるしね」


 ――なるほど。リルはギルドマスターだし、そういう立場の人からなら信頼もあるし安全かな?


「……それなら作り方教えてあげるから来て」


 とリルを製薬室に連れて行こうとする


「んじゃぁ俺は風呂借りるわ」


「ちゃんとお湯張りなおしたから、残り湯なんてないからねー」


「何回かリル姉の家で借りたことあるけど、一度も気にしたことねえよ!」


 というやり取りを聞きつつ、製薬室に先に入るのだった。











 リル姉に言われるがままに作った夕飯は、案の定すごくうまかった。

 ミリーが作ってくれたものもすごくうまかったが、こっちはこっちでいつもの味って感じがして安心するのだ。


 食べ終わって一息ついていると


「……お風呂にお湯入れてくる」


 とミリーがつぶやいた。


 ――風呂だと? いやまぁミリーの魔法使いとしての力は少しは知ってるし、出来るんだろうな……そもそもリル姉も自分の家でたまにやってるし、入らせてもらってたりするし……たいだい、魔法をそういうことに使う魔法使いは多くはないって話を聞いたけど、確かにわざわざ浸かれるほどのお湯を用意する分の魔力を使うなら、ささっと拭くなり流して終わりってやつの方が多いか。


「水を出す魔道具もありはするみたいだけど、この国じゃ貴族くらいしか持ってないんじゃないかしら……ほかの国だとちょっと裕福な一般家庭にまでなら、普及してるとか噂に聞いたけれど」


 ――他国にはそんな魔道具が貴族以外にも使えるようになってんのか……まぁウェルドの町は辺境だし、この国に出回り始めたとしても、来るのはまだまだ先なんだろうなぁ。


 そういう話をしていると、ミリーが先に入ることになって浴室へと入っていった。


「料理喜んでもらえてたようでよかったわぁ」


 とリル姉はお茶を飲みながら笑顔でいう


 ――ぶっちゃけるとミリーの表情はそこまで読み取れないが、リル姉が言うならそうなんだろうな……不機嫌そうなことしかわからねぇよ……


「さすがというか、一気に仲良くなったな」


「まぁ色々あるのよ……」


「それはエルフだったからって話か?」


「……もしかして隠してた事怒ってる?」


「いんや、混乱はしたが怒り恨みとか負の感情はないから大丈夫だ……今まで通り、リル姉として接していいんだろ?」


「そうね、そのほうが嬉しいわ。仲良くなった理由は、またそのうちかしらね」


「まだビックリ内容があるのか……」


「まぁお楽しみにって感じかしらね」


「今日はリル姉のことでいっぱいいっぱいだから、もうちょっと時間空けてくれるとありがたい……」


「ふふ。それじゃあ私からはそうするわ」


 ――私からはって……ミリー関係であるのか……いやあるだろうよ、逆にアレでない方が驚愕だわ……




 そうこう話しているとミリーが出てきて、代わりにリル姉が先に風呂に入ることになった。


 お茶を進められたのでもらうと、かなり冷えていて驚いた。


 ――確かに魔法を戦闘以外でこうもポンポン使う魔法使いなんて、中々いないんじゃないか?


「なぁ、さっき言ってた俺の持ってる魔法具が使えないって話なんだが……」


 さっきはリル姉にさえぎられて聞きそびれたが、いい機会だからちゃんと聞いておこうと、バッグから魔法具を取り出す。


「……それのことなら発動できない」


 ――まじか……いや本当なんだろうな。あの角熊の時に使おうとしてたけど、ミリーが来なきゃ死んでたのか……いやおそらくあの時の威圧はミリーなんだろうけど……ミリーが来なかったとして、使わずにすんだ確証もないし、助かったことに変わりはないんだけどさ……


「……経年劣化的なものもあるけれど、もともとの保護魔法が弱かったからか、効果が薄れてきて衝撃が加わって刻印がずれてる。そのせいで起動しなくなってるけれど、込められた魔力が暴発するようなずれ方じゃないし、そのずれから内部の魔力は抜けきってるから安心していい」


 ――きゅ、急にどうした!? めちゃくちゃ喋るじゃないか。圧もなんか減ってるし……って思ったら急に増加したな……しかし暴発する可能性もあったのか……雑に扱ってたつもりはないけど、やっぱり多少なり衝撃はあったはずだもんなぁ。


「……私が作ったやつは保護魔法も強めだから安心してほしい」


 ――大丈夫だ。リル姉も言ってたし、そこに関しては全く疑ってない……


 話していると「待ってて」と言い残し浴室の隣の部屋に入っていった。

 出てくる時にリル姉もちょうど出てきたが、ミリーは俺にこの間使った赤いポーションを2本渡してきた。


「ん……これってあの時のポーション……か?」


「……そう。今持ってるやつより効果は高い」


「いや、それは身をもって知ってるけどさ……もらっていいのか?」


「……素材は余ってるし、いいよ」


 ――素材はって言ったってことは本当にここで作ったやつなんだな……しかしあの効果のものを貰っていいのだろうか?


 と悩んでいると、リル姉が1本手に取ってまじまじと調べていた。


「これ……エルフ族の製法に近いものも含まれてるけど、ちょっと違うわね……間違いなく効果は高いんだけど……」


 ――エルフ族の製法に近いものが使われてて何か問題あるのだろうか……というかそもそもそうだってわかる人間がどれほどいるのだろう。


 そういう疑問をぶつけると、出回っているものより高品質すぎて、出所を探られる可能性があり、現状この製薬レベルとなるとミリーくらいしか思いつかないとまで言われた。


 しかも、ばれるまでならまだいいが、作ったのがこんな子供となると色々疑われたり、なにかと厄介ごとに巻き込まれる可能性が高すぎるとのことだった。


 ――確かにそれはまずいな……てことはこれは受け取らずにいた方がいいか……


「ということで、私もカーウィンには生きていてほしいし、あなたが貰うことには何も言わないけれど、ほかの人にばれないようにしないさいね」


 ――それでいいのかギルドマスターよ……え、はい。俺がばれるようなへましなきゃいいのね。ばれてもこれくらいならごまかす手段はいくらでもあるし大丈夫だろうと……というかそれくらいミリーなら考えてるだろうし、何が狙いなんだ……


 そのあとはミリーがリル姉に製薬方法を教えるとのことなので、その間に風呂をいただくことにした。


「ちゃんとお湯張りなおしたから、残り湯なんてないからねー」


「何回かリル姉の家でも借りたことあるけど、一度も気にしたことねえよ!」


 ――まじで気にしたことなかったわ! 本人には言ったことないが、これでも尊敬している近所の姉さんというか、もはや家族みたいな認識なんだから……それにもう35だし、そういう思春期的な思考するには行き過ぎてるだろうよ……


 と思いつつ、製薬室に入っていく2人を見ながら、浴室へ向かうのだった。

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