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人見知り最強魔女は仲良くしたい  作者: Guen
1章『森での出会い』
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14話『増築でもしようかな』『連れてきたが……』

 私はカーウィンさんを見送った後、何から手を付けようかなぁと考えていた。


 ――まずは数日分の耐性ポーション製薬は最優先だよね。そのあとは今にも折れそうな短剣もどうにかしないとかなぁ? カーウィンさんに調味料とかも頼んだし数日中には来てくれるかな? ……来てくれるよね?


 最後のほうに若干不安になるが彼を信じてみることにする。


 ――まぁ私のせいで死にかけてしまったわけだし……来てくれた方が奇跡なのかな……とネガティブになってる場合じゃないや。もし本当に来てくれた時のために耐性ポーションは作っておかないと!


 家に入り製薬室で採取しておかないといけない薬草の種類を確認した後、すぐに森へと向かった。


「しかし、この森にもあのサイズの角熊出るんだなぁ。そんなに魔素は濃いとはおもわないんだけど、あれくらいのがいるなら、魔物もでてきててもおかしくないかもしれないね」


 手近な薬草を採取しながら昨日のことを思い出す。耐性ポーションに必要な素材は、家から割と近いところでそろえられるのは楽でいい。


 ――もうちょっと山脈のほうまで行けば色々作れるものも増えそうだけど、ひとまずは数日分の耐性ポーション優先で、それからちょっとずつ行動範囲を広げていこうかな。


 そう決めた私は次々と薬草を採取し、目標の量に達したので家に帰って製薬を始めた。






「ありゃ、もう夕暮れか……製薬するの好きだからか時間が溶けるなぁ……」


 いつの間にか窓から差し込む光が山脈のせいで陰になり、赤くなった空の色を落としていた。


「とりあえず6回分は製薬できたから、続きはまた明日かな。6回分……まだ素材が潤沢ってわけでもないから節約のためにも半日用で作ったけど、私の場合は朝昼晩で1日3回は飲まないとだめそうかなぁ……」


 昨夜、急に効果が切れ始めて慌てたことを思いだす。


 ――まぁそうなるってわかったから、次からは慌てず追加で飲めるとは思うけど……夜で思い出したけど、また泊めることもあるかもしれないから部屋も増設しようかな……昨日は急だったからしかたないけど、この大部屋から廊下つないでその先に作っちゃおうかな。


 明日の予定を考えつつ昨夜この大部屋に雑魚寝させたことを後悔する。


「よし、完全に暗くなる前に近場で木材とってきて加工だけでもしちゃおうかな」


 そういいつつ裏手から近い木へ向かい、屋根を直した時同様に伐採して2本ほど引きずっていく。

 裏手でさくっと枝を落とし長さを整えた丸太に魔法を使い、水分を抜いてから板状に加工していく。


 そこまでしたところで完全に闇に包まれそうになっていたため、急いで台所に入り竈に火をくべて夕飯の準備を始めた。


「今日は一人だし、簡単なスープと干し肉でいいかな。パンも食べたいけど今から準備するとなると時間かかるし、あれはお客さんがいるときか気が向いた時だけかなぁ」


 ささっと準備を終えると台所にある机でさっそく食べ始める。


 ――調味料系ももうちょっとあるとバリエーション増えて飽きにくいんだけどなぁ……そういえば昔食べた貰い物の調味料は、お肉と相性抜群で美味しかったなぁ……あれ、これミリアリアの頃の記憶だよね? 普通に貰い物するくらいの関係の人いるじゃん……まぁ面と向かって話したかどうかはわからないけど。




 夕飯を食べ終え軽く片づけをしたあと、大部屋に行き廊下を作る予定の壁を風魔法を使い取り払い、柱を立てていく。

 床となる部分にも板を敷き、壁を貼りそれらしくなってきたところで部屋のドア枠を設置。その先も同じように柱、床、壁と板を取り付けて間取りを完成させる。


「うぅーん。屋根は部屋ができてからまとめてやった方が楽だよねぇ……」


 まだ隙間を埋めるように根っこなどを詰めていない壁や、窓予定で開けたままの壁を眺めながら考える。


 ――窓とか日当たりもきになるし、この先は朝になってから考えようかなぁ。とりあえず今つけてある壁はこのままでいいから、隙間うめて完成させちゃおうかな。






 翌朝、昨夜と同じくささっと朝食を済ませると作業を再開した。といっても屋根以外はほとんど終わっていたため、残りは窓枠を取り付けて屋根を造り、ベッドや机などの家具を作る作業だった。

 製薬室の屋根を直した時のように屋根を取り付け、水魔法で軽く雨漏りしないかの確認をし、問題なかったので家具を作ることにした。


 ――さすがに昨日の分だけだと木材足りなさそうだし、追加で一本とってくるかなぁ。……ん? なんか気配が……この気配はカーウィンさんみたいだけど、もう一つあるね?


 まだ遠くではあるが、知っている気配ともう一つの気配を察知する。そうしているとカーウィンさんの気配だけこちらに向かい、もう一つの気配はその場で止まった。


 ――仕事で一緒に近くまで来たとかなのかな? まぁなんにせよこんなに早くに来てくれるとは思ってなかったけど、部屋作ったりしててよかった……机とかの小物はまだだけど、それくらいならすぐ作れるし、作業しててもいいかな……?


 耐性ポーションを飲み干し、会う準備をしたあとカーウィンさんを出迎えるついでに木材を持ってこようと家を出た。




 準備をしていた時間もあったため、木々のあるところまで行くとちょうどカーウィンさんもこちらに気が付き向かってきてくれていた。


「おはよう。今日は何か採取でもしに行くのか?」


 と荷物が乗った台座をひっぱりつつ、声の届くところまできて片手を軽く上げて声をかけてきた。


「……くる気配があったから向かえに……それと木材をちょっと」


「気配……そうか……それで木材ってまた何か作ってるのか?」


「……家の増築を……」


「規模がでけえな……何か手伝えることがあったら言ってくれ。あー……あとちょっと相談なんだが……」


「……なに?」


「いやぁ昨日話したギルドマスターなんだが、直接確かめたいってことで近くまで来てるんだ」


「……もう一つの気配はその人?」


「そ、そんな遠くまで察知できるのか!? 急に連れてきたからこの場所を知られるのが嫌かもしれないと思って、結構手前で待機してもらってるんだが……いや、まぁその人なんだが、会ってもらえないだろうか?」


 ――ふ、ふたり同時に顔を合わせてちゃんと会話できるだろうか……で、でもカーウィンさんが連れてきたならちゃんとあってあげないと迷惑かな……あれ、その人の近くに魔獣の気配が近づいてる……大丈夫なのかな……


「……わかった……その人は強い?」


「そうか、よか……え? いやまぁ魔法が使えて俺より強いと思うが……」


「……一応確認してくる。あなたはここで待ってて」


 そういうと身体強化と浮遊魔法を付与し、ギルドマスターと言われていた人の気配に向かって飛び出した。











「もうちょっと向かったら廃村があるんだけど、あんまり不用意に近づくとまずいかもしれないから、ここからはとりあえず俺一人で行ってくるよ。……しばらくして帰ってこなかったら、一旦町に帰ってくれ……」


 さすがにそのようなことはないと思うが、念のために伝えておく。


「えぇ、わかったわ」


 どことなく緊張しているような、楽しみにしているような感じのするリル姉からの返事をうけ、一人で廃村に向かって台座をひきずり向かっていく。


 ある程度近づいたところで、向こうから気配というには可愛らしい威圧感に近い何かを感じ取った。


 ――廃村に近づく気配がしたから出てきたんだろうか……ちゃんと手土産や頼まれたものもあるし、穏便にすむといいなぁ。


「おはよう。今日は何か採取でもしに行くのか?」


 声が聞こえるところまで近づくと深くフードを被った少女に声をかける。製薬もしてるらしいのでそれらしい話題を振ってみる。


「……くる気配があったから向かえに……それと木材をちょっと」


「気配……そうか……それで木材ってまた何か作ってるのか?」


 ――そっかぁ……魔獣に気づかれるのも手間だから極力気配は殺してきたんだけどなぁ……まぁ昨夜気配を消して台所を覗いてもすぐに気づかれたしこうなるか……しかしこの距離でも気づくとかやばいな……てか木材ってなんだ。また台座か何かつくるのか?


「……家の増築を……」


 そう思っていたが予想外の返答が返ってきた。


 ――そう簡単にするものでもないだろう……増築して何をするんだ? 住む人間を増やすのか? いやそれは今はいい、とりあえずリル姉と会ってもらえるかどうか聞かないとな。


「……もう一つの気配はその人?」


 ――待って、そんな距離まで察知できんのかよ!? しかも気配を極力消しているにもかかわらず!? いやまぁミリーに対して気配を消してきたわけじゃないから、やましいことではないんだけども……それで、あってもらえるんだろうか?


「……わかった……その人は強い?」


「そうか、よか……え? いやまぁ魔法が使えて俺より強いと思うが……」


「……一応確認してくる。あなたはここで待ってて」


 ――そうか、会ってくれるか、よかったよかった……まってまって! なんで強さを聞いた!? 戦力として囲い込もうとかそんなんか!? たしかにリル姉は強いが……ちがう! 確認してくるって俺抜きでリル姉と会うのか!? いや俺もできればその威圧感にさらされ続けるのは勘弁してほしいし、リル姉もいい人だし人当たりもいいから問題ないかもしれないが……せめて昨日の件で威圧感や危険性のわかってる俺がいたほうがいいんじゃないか!? その威圧感で会うとか、場合によっては敵対行動ととられて戦闘が始まるんじゃ!?


「ちょ、まってくれ!」


 そう考え声を上げるが、すでに届く範囲に彼女はいなかった。

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