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前世がモブなら転生しようとモブにしかなりませんよね?  作者: 蔵前
第十五章 地下でモブは悩みプリンスは戦場に狩り出された
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殺人ファイルと監獄島シュルマティクス

 監禁部屋に戻った私は、まず、セリアのファイルを探した。


「セリアはアストルフォが殺していないわ。それなのにどうしてここにあるの?本当は彼が手引きしての殺人なの?」


 ファイルを開けば、当り前だが写真だけでなく文章による報告書も収まっており、そのセリアのファイルには追記もあった。


「霊体エネルギーの地縛性を感知?怨霊体342号と認定?で、ええと、M・ライトに対するB・ガイル、H・ゴルシェ両名が製作した腐った卵の投擲行為により偶然的に怨霊体342号の召喚が成功?」


 私は意味が分からずそのファイルを投げ、適当な一冊を手に取った。

 そのファイルは昨年のもので、首都のとある交差点で起きた死亡事故の記録であった。


「車輪付きボードで公道を爆走していた子供が歩行者にぶつかったのね。私みたいにぶつかられた人が大怪我をする代わりに、まあ!その歩行者が運んでいた荷物に先にぶつかって、まあ!まあ!子供こそが車道に落ちて死んじゃったのね。」


 その事故報告書にはぞっとした。

 数日後に死んだ子供の親が、子供を車道に撥ね飛ばしてしまった不幸な人の子供を、その場所にて自分の子供と同じようにして車道に投げて殺したからだ。


「どうして子供を車道に投げ込むのよ?どうしてそんなことができるの?」


 子供を殺されたその人は、自分の子供を殺したその人ではなく、勿論警察に連れていかれているから殺すことなど出来ないが、なぜか最初の子供を轢いてしまった哀れなドライバーの子供をそこで殺していた。

 同じように子供を車道に投げ込むという所業だ。


「何、これ?」


 ファイルにはアストルフォによる検証の追記があった。

 三度の事件での加害者の立ち位置となる視覚障碍者用誘導タイルに、霊体エネルギーの地縛性を感知。

 その霊体エネルギーを怨霊体244号と認定し、該当の視覚障碍者用誘導タイル一枚を撤去のち、軍施設シュルマティクスにアルカディア歴百八十一年五月四日に移設。


「え?シュルマティクスってアストルフォがハルトを連れて行った出張先じゃ。で、移設日が今年の五月?」


 私は慌てた様にして別のファイルを取り出した。

 今度のファイルはやはり特待生のものであるが、その特待生が亡くなった場所こそがシュルマティクスであり、最初の生徒が亡くなったその場所で三人が同じようにして亡くなっているというものだった。


「霊体エネルギーの地縛性を感知。怨霊体221号と認定し、また、アルカディア歴百八十年七月十日の人体実験により有用性を確認。その有用性からシュルマティクスからアレッサンドロ・モハベ氏の邸宅に同年八月十五日に移設。同年八月二十日に同氏の死亡を確認。」


「え、えええ?有用性を確認できたからまた、移設して、ええと、でもたしか、このモハベ氏って、反社会グループに資金提供されているとかなんとか騒がれていて、あれ、病死だったはずじゃ?」


 有用性から移設?

 怨霊体と認定されたものは人を殺す?

 私はもしかしたらと、スーハーバーの自殺岬のファイルを探した。


 あの岬にハルトが倒した妖魔がいたはずだが、それこそ誰かの怨念による怨霊体というものだったら?


 有用性を確認中にハルトがそれを破壊していたのだとしたら?


 ハルトを殺したい本当の理由はもしかしたら、軍がこうして実験している怨霊体とやらの無効化が出来るからだとしたら?


「ええと、スーハーバーの、自殺岬の報告書は無いの?」


 しかし、人名だけで仕分けしてある資料の塊だ。

 元が誰かわからない自殺岬のファイルなどなかなか見つからず、その代わりに私が見つけたのは、数々の呪いの品がシュルマティクスに移設されているという共通の報告だった。


「なによ、これ。怨霊に捕まったら死ぬというのに!どうしてハルト達が駆り出されたシュルマティクスにばかり持ち込んでいるのよ!」


 私は何が起きているのかと頭を掻きむしり、そこで何かが閃いたかのようにして、今年にシュルマティクスに移設されたものがあるという、子供連続投げ捨て事件のファイルが目に入った。


「そうよこれ。適当に引き出したけど、ファイル名は子供連続殺人事件じゃ無いのよね。そうよ、ファイル名はアンナ・グリーンよ。どうして、死んだ子供達の名前で無くてその名前なのよ?」


 再び開いたファイルの報告書がバサッと下に落ち、その時に貼り付いている二枚の報告書があった事に気が付いた。

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