その八 隣町までドライブ!
私の今日のボディガードは、私をアストルフォに手渡して恋人とイチャイチャする事と、恋人とイチャイチャできない悲しさを抱いて私を家に送ることを天秤にかけ(本当にかけたのかな?絶対考えてもいないわよね。)、恋人とのイチャイチャ続行の方を選んだ。
ボディガードに見捨てられた私はアストルフォの車の運転席に乗せられ、彼の言うがままに現在車を運転している。
本革のシートは座り心地がとてもよく、室内装飾だけでもセンダン家の誰も持っていない高級車だと分かった。
ついでに言えば滑らかな走りをする静かなエンジンで、しかし、アクセルを踏んだ時の加速のパワーがあることや、クラッチもないオートマであることに、私は悔しい事にこの車に惚れてしまっていた。
乗り心地良すぎ!
「どうしてこんなにいい車を自分で運転しないの?」
「人質に運転させる方がいいんだよ。誰が見ても君が誘拐されたと思わない。自主的に俺とのお出掛けを楽しんでいるみたいに見える。いや、楽しんでいるね。君は俺の車を一目見て値踏みもした。いくらなのかしら、じゃなくて、この車の走りはどうなのかしらって目だった。」
黒光りするつやつやで鼻の長い大きな流線型のセダンなんて、前世世界のアメリカ限定で言えばコルベットじゃないだろうか。
そして、アストルフォは意外に私を純粋という風に買ってくれているが、日本円で一千万越える車じゃなかったっけ?と、この車はいくらなのかしら的な値踏みもちゃんとしております。
うわー、そんな凄いの運転しているの、私ったら!
アメリカみたいにアルカディアの田舎道が広々とした直線で、対向車も後続車も無いような世界で良かったわ!
「そ、そりゃあ、映画やドラマでヒーローが運転するような車が目の間に鎮座すれば、誰だってそんな目になるでしょう。あ、あと、ついでに言えば、運転している最中に逃げようなんて出来ないものね。事故ったら自分こそ大変。でもよく私が免許を持っているってわかったわね。私は車を持っていないのに。」
「十六になったら田舎の子は全員免許を取る。車がなきゃ生きていけない田舎町の実情、だね。君が運転できなきゃ俺がする。結局何の問題もない。」
「ああ!そうか、結局私が自分で乗り込んでハンドルを握ったから、私があなたに誘拐されたって誰も思わないって事に戻るのね!」
「その通り。」
「もう!で、高速に車を乗せたって事は、ハア、行き先は隣町のモールね。」
「スーハーバーにも素敵な下着屋はあったけれど、あそこで勝負下着を買ったら君はその日のうちに自宅に監禁される。ああ、俺は何て優しいんだろう。」
セクハラ男!
殴ってやりたいが運転中なのでそれも出来ず、私はその代わりとして少しだけスピードを上げた。
助手席の男は小気味のいい笑い声を立てた。
ナイマン
女子生徒をレイプして脅していた警備員。
ミュゼは怒りのまま彼を土中の石に縛り付けて怨霊体とし、永遠の生き埋めの刑にした。
被害者 モイラ リサ エリー フォルマ
エリザ先生 背がひょろりと高く骨ばっていて、決して美しいとは言えない女性
服装はピンク系のスーツが多く、ブラウスの襟元は必ずリボンが付いているか丸襟。
自分よりも大柄な男性に包み込まれたいという願望が強く、気に入った背の高い男子生徒には何かれと仕事を与えて自分のもと来させ、その手を握って喜ぶという性癖がある。
「○○くんって私より手が大きいんだぁ~。」
当方の中学時代の学校にいた教師がモデルであり、上の行動がリアルで何度もあり、上の台詞を何度もリアルで聞かされる気持ち悪さ、お分かりいただけるであろうか。
とある日の教室で、
○○君:あいつきっついよ。
私:お疲れ様。
これだけの会話を見ていた女教師。その日から虐められました、私が。なぜに!!
大昔の話でございます。




