その六 まだ十六歳な少年の恋模様と指導者②
もしも彼女が白くて可愛いブラジャーをつけていたら、俺はそこで気恥ずかしくなって立ち止まれたかもしれない。
だけど、彼女の下着は、お婆ちゃんの下着みたいなベージュ色だったのだ。
俺には気恥ずかしさよりも、浜辺で見た水色のビキニ姿がフラッシュバックして、ジュールズにはあっちなのにとさらに憤っていた。
そして彼女の腰にまで服を引き下げてしまったのだ。
服を剥いで陽光に照らされた彼女の肉体、それが身に着けるのがお婆ちゃんな下着でも、彼女の身体はぷりんと可愛らしく光り輝いていた。
小さいと言っていた胸だって張りがあって、あ、俺は全部見た事があるじゃないかと、シャワールームにいた全裸のミュゼを思い出してしまったのは失敗だ。
「うわあ!」
俺の下半身はダイレクトに張りつめ、このままでは大変だと、俺は声にもならない情けない悲鳴を上げて、ミュゼに覆いかぶさって抱き締めた。
ミュゼは騒ぐだろうか。
俺を見限るだろうか?
ドキドキしながら彼女を見ると、彼女は恥ずかしさで一杯という風に顔を真っ赤にして、でも、恥ずかしながら俺を求める様な目で見つめているのだ。
馬鹿、そんな目をしたら俺は止まらないだろ。
俺はミュゼに口づけていた。
愛していると囁いていた。
だけどここは保健室。
こんなところで彼女の初めてを貰ってはいけないのだ。
だからさ、ミュゼが俺を諫める事になる悲鳴を小さく上げてくれて助かった。
俺の指は彼女を探索し始めていて、それは自分ではもう止める事が出来なくなっていたからだ。
でも、彼女を手放せない。
彼女を自分のものにしたい。
いや、彼女と二人きりでもっともっと笑い合いたい。
だから、ミュゼに出掛けようと誘った。
ヘリコプターに乗って空の散歩をしようと持ち掛けた。
ホテルだって予約して美味しい夕飯を食べようよ、と。
しかし、ミュゼは俺と出掛けることは約束してくれたが、俺の提案したヘリとホテルオプション付きには賛同してくれなかった。
俺に軽く口づけると服を纏い、保健室に俺を残して出て行ってしまったのだ。
どうしてだ?
俺は小首を傾げながらシャツを羽織り直した。
それからベッドから降りようと腰を浮かせたそこで、俺の目に今まで見えなかったものが見えた。
保健室の保険医が座る椅子に、俺の天敵が足を組んで座っていたのである。
奴は俺と目が合うとにっこりと笑い、俺はベッドから勢いよく落ちた。
「え、嘘、なんで!いつから、え?」
奴は再び笑顔を俺に作ると、奴が膝に乗せて書いていたらしい診察カルテらしきものを俺が見えるように翳した。
親父のヘリコプターに乗って
親父が予約したホテルにやりに行こうぜ!!
病名 ハルト君て 脳が腐ってんじゃね
「うわあああ!本気でどこからそこにいたんだよぉ!」
俺は心から悲鳴を上げてたが、奴が書き殴ったモノは俺がたった今ミュゼを逃がしちゃった真理でしかなかった。
俺は奴に、きっと初めて心からだったが、頭を大きく深々と下げた。
「ご指導あざす!」
さあ、急いで恋人の誤解を解かなきゃ。
違うんだよ!
やりたいけど、二人の時間が欲しいだけなんだって!
ミュゼ・ライト 16歳 誕生日12/24
灰色のふわふわの髪に真っ黒の瞳。
モブの為、癖のない可愛い顔立ちをしており、ハルトは小動物の可愛らしさと評してぞっこん。
死んですぐにエルヴァイラとして9/12に生まれたが、9/14のテロによって死亡。その日に偶然居合わせたアストルフォによって彼女の魂はマディラ・ライトの死んだばかりの胎児に移植される。
センダン一族のジュールズの世代では唯一の女の子のため、一族の大事な女の子としてとっても過保護に育てられたため、前世の性格もあってちょっと天然。
九歳の時に作ったゼリーが不評だった事で闘志を燃やし、料理とお菓子作りに関してはセンダン家の誰もが認める腕。
モブとしての設定
外見:小説や漫画のモブを参考
性質:ゲームシステムのモブを参考
①モブをフレンドリーファイヤーしても次のロード時には生き返っている
orゲーム中に死なせてしまったはずなのに、エンディングムービー時には生きている
→ミュゼの不死性
②イベントムービーでは沢山の人間が騒いでいるくせに、ムービーが終わるとそこに誰もいない
→バーンズワースが火事になったデパートに取り残された事件
③レベルアップしない
→バーンズワースがどんなに鍛えても走るタイムが変わらなかった
→何度殺されようと魔法は絶対に覚えない
④オープンワールドのモブは規則正しい行動を取る
→誘拐されてもちゃんと夜は寝られるし、恐怖による心理的人格変化が無い




