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前世がモブなら転生しようとモブにしかなりませんよね?  作者: 蔵前
後日談 ハッピーエンドの先を目指せ!(人物設定を含めた後日譚)
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その六 まだ十六歳な少年の恋模様と指導者①

 俺はもうぎりぎりだった。

 やるやらないではなく、ミュゼに朝と夕方の数分しか会えない日常にウンザリだった。


 先日はそれで三日の停学を受け、なんとミュゼは寮の俺に会いに来てもくれたのだが、謹慎中だからと彼女は無情にも門前払いをされた。


 どうして知っているのかというと、俺は窓からミュゼの姿を見つけ、さあ、彼女に会うんだぞとエントランスにまで出ていたのだ。

 それでどうしてミュゼに会えなかったのかと言えば、エントランスのラウンジソファには俺の天敵がいたからである。


 さっさと首都に帰れ。


 奴は俺の姿を認めるや小馬鹿にしたように片眉を上げ、それから、根性悪で人間味ない奴らしく、まるで犬を追っ払うようにして、それも悔しい事にとても優美な仕草で、俺に右手をひらっとして見せた。


「なんでですか?」


「謹慎中でしょう。部屋に戻りなさい。一般学生と魔法特待生の扱いが違うのはね、君が一応は規律のある軍属って事なんだよ。」


「じゃあ辞めてやるよ。こんな特待生、一度だってなりたくはなかったからね。」


「一般人だったらうさぎちゃんに近づけないよ。俺が許さないから。あの子は俺の保護対象~。滅多な奴には近づけさせない~。」


 俺はグッと言葉を飲み込むしかなく、ムカつく男は低くていい声で含み笑いを上げてから、やっぱり俺に手をひらひらさせて俺を追い払うそぶりをした。

 紫がかった銀髪をオールバックにして、アメジストに輝く瞳を俺に向けて微笑む男は、男の俺でもぞくっとするほどの美貌である。

 そんな男が俺をさらに追い込む台詞を吐いたのである。


「俺はうさぎちゃんに幸せと平和を守るって約束したからね、その平穏を脅かす行動を取る奴は、うさぎちゃんが大好きなお前でも、駄目なんだよ。それからね、学校で君がイレギュラーな事ばっかり起こしちゃうことでね、それでまたあの子が虐められるかなって俺は心配もしている。」


 俺は申し訳ありませんと言い、ラウンジを出て階段に足を掛けた。

 足を掛けただけで動かなかったのは、俺に会いに来たミュゼを一目見たかったからである。

 アストルフォはやれやれと言う風に立ち上がると俺の傍まで歩いて来て、俺の耳に毒を囁いた。


「うさぎの足は幸運のお守りだ。うさぎちゃんの小指をちょんと切ってさ、君にあげようか?」


「お前はミュゼを守るんじゃなかったのかよ!」


「君を大人しくさせる為って言えば、うさぎちゃんこそ指を差し出すね。君の為ならうさぎちゃんは幸せなんでしょう?」


 俺が物凄い勢いで階段を駆け上がり、部屋に閉じこもったのは言うまでもないだろう。

 奴はサイコパスの殺人狂なのだ。

 ミュゼはよくもあんな奴に誘拐されて、精神的におかしくならないで生還出来たものだと俺は思う。



 ……そして、どうして今そんなことを思い出しているのかというと、俺がミュゼを下着姿に剥いてしまったというギリギリだからである。


 自分がシャツを脱いでみて、そこで浜辺でのジュールズの肉体を思い出し、自分の体を貧相だと恥ずかしく思った。

 そこにプラス、ミュゼはビキニで、そんな裸同然の格好でジュールズとはしゃいでいたじゃないかとあの日を思い出し、俺は憤ったままミュゼを脱がしてしまったのである。


 チャックを少しだけ下ろすと、ミュゼのワンピースの襟元は乱れて開き、彼女の下着の全貌を俺に見せつけた。


 ああ!ミュゼの下着は、……色気も若さもないレースだってないライトベージュだった。

 畜生!!

ショーン・アストルフォ 27歳 誕生日6/6

銀髪に紫色のメッシュが入っている 瞳はアメジスト色の赤紫だが緑にも変化させられる

少尉待遇で軍事顧問をしている。

今世紀最高のヒーラーとして医療財団(半分宗教団体っぽい)の会長に納まっている。

両親は一時彼の性質に脅えたが、今は、働く必要のない裕福な生活を与えてくれた息子を産んだことをひたすら神に感謝している。

(無学な人間に金を与えたらどうなるのか、というアストルフォの実験とも知らず。)

彼は生まれながらのサイコパス

興味があることには精力的に研究し働く事を厭わない。

幼い頃、見つけた魂を死体に植え付けたら蘇生するのかという実験で、子供の心音が聞こえなくなった妊婦のお腹にその魂を移植する。

その胎児がミュゼ。

うさぎを殺さずに可愛がれ、と彼にウサギを与えた祖父の事を尊敬しているが、それは、己の殺人狂をコントロールして周囲に馴染めという教えだと理解しているからであり、また、彼が都会で学問を学ぶべきだと両親に進言してくれた事による。

アストルフォ的には、真っ当だが無学で純朴なだけの両親のもとでは、自分が薄汚い快楽殺人者にしかならなかったと考えている。

作者的には、アストルフォはインパクトのみでつけた名前なので、登場人物には早々にショーンと呼んでもらいたかったが、ミュゼもハルトもアストルフォと馴れ合いたくないと頑なに呼んでくれなく未だに奴をアストルフォ明記なので打つのが面倒で嫌になる。

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