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前世がモブなら転生しようとモブにしかなりませんよね?  作者: 蔵前
後日談 ハッピーエンドの先を目指せ!(人物設定を含めた後日譚)
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その五 あなたはやっぱりラルス王子

 前世の人生が走馬灯のように脳裏を駆け巡った。


 好きな男の子にベッドに半裸で抱き合っている状態。

 これはそんな走馬灯を見ちゃうような、死んじゃうような危機的一瞬なの?


 確かに私の心臓はバクバク鼓動をしていて破裂しそう。

 死ぬわけじゃないけど人生が変わっちゃいそうな、そんな岐路に立たされているのは確かだわ。


 ほんとに人生の岐路?


 羞恥と常識が障壁となっているだけでしょう。

 私の本心は、ハルトをもっともっと感じてみたい、じゃないの!

 でもここは学校の保健室!

 カーテンが締まっていても、薄暗くもない真昼間の保健室だもの!


「ミュゼ、愛している。」


「私もハルトを愛している。」


 ハルトは、いいえ、どうにかしなきゃと思っている私もだから、私達二人は理性なんか働かず、互いに触れ合えたことにうっとりとするだけだった。

 私もハルトも互いの体から腕を外せない。

 そのためにハルトの手は私の身体の探索どころか、私の背中を支えるだけだ。


 嫌だ、私の方がハルトの頭をぐしゃぐしゃにしたり背中に指を這わせたりと、ハルトの体を指をしっかりと探っているじゃ無いの。


「ミュゼくすぐったい。」


「うふふ。ハルトってくすぐったがりだ。」


「お前だってくすぐってやる!」


「きゃあ!」


 私の「保健室でこんなことしていいのか」理性はどこに行ったの!

 私は腰まで下がっていたワンピースから、今や足も抜いて完全に脱皮してしまったわよ。

 そんな下着姿でくすぐりっこなんてして!

 ああ!他人に見られたら一生の恥ぐらいな、キャッキャウフフな行動ををしちゃっているじゃないの!

 ここは、ほら、もうやめましょうって、言おう、言わなきゃ。


「きゃあ!」


 やばい!

 くすぐりっこにしたせいで、自由になったハルトの手がブラジャーに侵入しかけているじゃないか!

 ブラのアンダーベルトに彼の指が入り込み、もう一方の手が背中に回されて、ブラのホックを外そうと動いている。

 病院で胸を触らせちゃったから今更かもだけど、でも、でも、今はこの先に思いっ切り進んじゃいそうだから、ああ!どど、どうしよう!


「えと、ええと、ハルト?」


 ぴたっとハルトの指は動きを止めた。

 ハルトは私をしっかりと見つめ返した。

 少女漫画では大丈夫だよという余裕のある顔をヒーローは見せるが、横になって抱き合っている私の恋人の顔は、自分がやり過ぎたかもしれないという、失敗したかもという不安そうな余裕のないものだった。


「ご、ごめん。少し調子に乗り過ぎた、かな?」


「え、ええと。全然嫌じゃないから怖くなったの。だってここは保健室。鍵は掛けたけど、いつ怪我人とか病人が運ばれるか分かんないところだし、あの。」


 ハルトは、あ、という顔を見せた後数秒だけ固まり、その後体をごろっと反転させて仰向けになってしまった。

 背中側の腕は私の背中の枕状態となり、ブラのアンダーベルトに侵入させていた指は抜かれ、ハルトの額にその手は乗せ上げられた。


「ハルト。」


「だね。先にはここではいけないね。」


「ごめん。約束したのにね。」


「いいよ。俺のこんなとこで君の初めてを貰ったら後悔する。うん、絶対後悔する。そうだ、今度の休みに一緒に出掛けよう。外泊も出来ないからちょっとそこまでぐらいの場所で申し訳ないけどさ。」


 ハルトは嬉しそうに笑って私を見返した。

 私はまたハルトとデートが出来るのだと物凄く嬉しくなった。

 最終的に私の初めてを彼にあげちゃうのが目的デートかもしれないけど、好きな人とお出掛けは前世でやった事が無いのだから、二回も出来るなんて、それも、最高に大好きな人に誘われるなんて、幸せこの上ないじゃないか!


 でも、最終的にあげちゃう場所、スーハーバーホテルしかないけど、あそこに二人で入ったら、町中に知られる事になっちゃう。

 どうしようと一瞬だけ私はパニックになりかけたが、キラキラ輝くエメラルドの瞳が温かで、彼の気持ちは私への幸せしか約束していないから、私は彼が幸せで喜んでくれるならそれでいいなんて思ってしまった。


「うん。行くよ。どこだって行く!ハルトと一緒ならどこでもいい!」


 ハルトはよしっと胸の前で左腕にぎゅっと拳を作った。


「そっか。じゃあ、親父とフォードに連絡とって、ホテルと足の手配をしておく。ヘリを呼んじゃうからさ、行きたいとこ言ってみて!」


 ハルトは再び私に顔を向けて無邪気に笑った。


 嫌だなあ、それ、無理だって。

 ヘリコプターなんかでお出掛けしたら、一目で「やりに行きますフライト」って町中に知れ渡ってしまうじゃ無いの。

 ここでしちゃった方が良いのかな、なんて思いながら、とりあえずろくな事しか言わない大金持ちの息子の唇を封じた。

カーティス・ロラン

まっすぐな鼻梁や秀でた額 彫りの深い目元

四十を過ぎた癖に白髪が一本もない真っ黒な髪に、サファイヤの様な真っ青の瞳という美中年

美しき妻ノエミを愛しすぎ、息子が子供の頃に書いた複合機を本当に作らせちゃった上に、試作機N-23は奥さんの一番きれいだった出会った頃の年齢をつけた。

それを理由に奥さんと喧嘩中の人。

ハルトが怪我した時、ノエミさんは外国に遊びに行っていた。カーティスはノエミに連絡していないのでそれで彼女は見舞いにも来ていない。よって、さらに怒らせて別居続行中。


ビル・フォード ノエミの兄 40半ばの元海兵隊員 現R&F警備保障会社社長 ハルトの伯父

白髪交じりの金髪に褐色の肌に緑色の瞳

ハルトはビルが伯父の顔を見せてくれないと言っているが、仕事中でも絡んで来る可愛い甥対策として、仕事中にハルトがいる時は気難しい顔にしているだけ。

ハルトが絡んで来たら伯父ちゃん仕事中でも甥っ子と遊んじゃうよ。

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