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前世がモブなら転生しようとモブにしかなりませんよね?  作者: 蔵前
第二十二章 美人コンテストとモブ
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美人コンテストをしよう!

 私はエルヴァイラから支持者を奪うという目的、実のところ、それほどエルヴァイラを好いている人はいないとリサーチして分かったのだが、本人が自分が人気者だと信じている限り何を言っても私が嘘つきだと彼女に言われるだけだ。

 けれど、彼女を嫌いな人間を煽れば、そこで虐めの様な構図になってしまう事が必至だしで、私はエルヴァイラに宣戦布告してから悩んでいた。


 九月十四日まであと少し、というか、あと今日も入れて十一日だ。


「何をするべき何をするべき、何をするべきかなあ?」


「お前のキャラ替えが先じゃね?エルヴァイラもモテない奴だけどさあ、君もそれなりに男が引いちゃうキャラだよ?」


 私はデリカシーのない男に真っ向からディスられた!

 ダレンこそ、自分がディスる当人の私が作ったご飯を遠慮なくバクバク食って、たった四日で一キロも太ったと喚いている癖に!


「ああ!ムカつく!あなたってカラオケに行ったら一人マイクとか、誰も知らない歌を歌って場を盛り下げそうよね!」


「か、カラオケって?」


 あ、カラオケなんか無い世界だったな。

 けれど、カラオケって単語で私が人気者になる方法が分かった気がする。


「そうだ!アイドルコンテストをしよう!」


「なんだ?それ?」


「いいこと?あなたはこの学校で可愛い子を何人かリストにして下さい。そこにエルヴァイラと私の名前も入れて、全校生徒に投票させます。」


「君とエルヴァイラに票が集まんなそうなんだけど?」


 私は向かいに座るダレンの脛を思いっきり蹴った。

 ああ、ダレンの秘密基地に巣くう亡霊、司書のサーヤ・レミディが、彼女の想い人を蹴った私を殺気を込めて睨んで来た。


「ご、ごめんね。だ、大丈夫だった?」


「大丈夫じゃないし、お前はさ、ハルトにもこんななの?違うんだったら、ハルトにも今のお前を見せろ。それで嫌われりゃ、お前の処分命令なんか無くなるだろ?ハルトは二面性のある女から離れられて万歳。ほら、丸く収まる。」


「だから、何度も言っているけど、ハルトはあなたと違ってデリカシーがありますぅ↑。ぜんぜん優しいですぅ~↑。」


「マジムカつく。それでアイドルコンテスト?笑いしか出ねぇ。」


「いいから聞いて!私の票は私が何とかする。アダムと一緒に校内巡れば、私がランクインできる程度の人数をアダムが稼いでくれるはず。」


「うーん。思いっ切りズルを考えていると知って安心したよ。でも優勝はできないだろ?」


「いいの!優勝なんかできなくても、エルヴァイラが負けたって思える環境を作れればそれでいいのよ。それで、いざとなったら彼女が取り巻きに行動をさせるでしょう。その取り巻きの呪いを解除して、彼女を無力化できれば、うん、なんちゃってサイコキネシスを失ったそこでただの一般人同然になるでしょう。そこでエルヴァイラが自分を振り返ったりしたら、その。」


「あれは自分を振り返ったりしないよ?君を逆恨みしていくだけだよ。」


「そ、そうかもしれないけど、変な紺色の呪いを封印できればそれでいいわ。今後、魔法特待生を蹴った事で不幸になる子が出なければそれでいい。」


 ダレンは私を眇め見て、卑怯だな、と呟いた。

 魔法特待生を蹴って不幸になった経験がある彼だ。

 私の提案がそんな事が二度と起こらないようにって願いを含んでいれば、彼が手伝わざるを得ないのは当り前のことでもある。


「ごめん。でも、勝ちたいの。人生を私は取り戻したいの。で、とにかく、美人コンテスト的なアイドルコンテストの話よ。聞いて!可愛い綺麗だけじゃなくって、自分の特技をアピールしようの歌って踊れる子の発掘!最終コンテスト日はさ、水着で!とか、テレビのアイドルみたいなキワどーいステージ衣装で!とか、どうでしょう?思春期な男の子としては?」


 ダレンは私をやっぱり眇め見ていた。

 そしてやっぱり、卑怯だな、と言った。

 彼に可愛い子リストを作らせるという事は、彼が良いなと思った子のリストになるわけで、彼が良いなと思った子の水着姿が見られるかもしれないというボーナスステージにもなるのである。


「さあ、ご検討のほどはいかがでしょうか!」


「よろしいかと存じます。」


 私達はがしっと手を組み、まずは発案を生徒会に持って行く事にした。

 まあ、生徒会と言っても、日本の学校と仕組みは違う。

 だけど、休み前のダンスパーティの実行委員会の人達だったら、イベントノウハウがあるしでなんとか行ける様な気がした。


「顧問というか、監督官はどうする?」


 ダレンの問いに、二つ返事で了解してくれるバーンズワースにしては、私の票集めに狩りだせないだろうと気が付いた。


「ちぃ!アストルフォか!……ダレン君がお話に行ってくれるなんてことは?」


「ないね。絶対ない。」


「ふん。期待なんかしていなかったさぁ↑。」


「一緒に行くぐらいはいいよ。」


「よし!ありがとう!」


「絶対にその姿をハルトにも見せろよ。あいつはお前を可愛い可愛いしか言わないけどさ、俺はお前を可愛いって思った事が無い。」


 私もニッケがダレンの事を色々と言っていた事を思い出し、私こそそんな風にダレンを見た事など一度も無いと言ってやりたいが止めた。

 仲間を失う行為は決戦日まで控えるべきだ。

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