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前世がモブなら転生しようとモブにしかなりませんよね?  作者: 蔵前
第二十章 いばらの姫にモブは挑む
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図書館で恋は花開く

 あたしはダレン・フォークナーの事は誰よりも知っていると思う。

 彼は武骨な格闘家タイプだけれども、実はクラスの男の子の誰よりも紳士で教養のある静かな男でもあるのよ。

 誰も気が付いていないけれど。


 彼を探すには図書館、彼はそこで静かに本を読んでいるわ。

 まあ、うふふ。

 図書館で本を読むのは当り前ね。

 でもね、彼が読むのが専門書や古典文学ばかりなのは、きっとあたし以外が知らないことだと思うわ。


 さあて、あたしがなぜダレンを探しているのかというと、あたしは彼に相談したい事があったのよ。

 もちろん、恋人のハルト君のこと。

 彼は最近おかしいわ。


 昨日はずっと校内を走り回っていたようだし、今朝だって屋上から飛び降りて見ていた人達をびっくりさせる行為をしたのよ。

 ええ、私こそ見ていて吃驚よ。

 けれどすぐに、彼が屋上から飛び降りたのが、昨日彼が相談してくれた、彼を狙う敵に彼がまた襲われたからなのだと直感した。

 だから私は加勢の為にハルトを追いかけ、でも、風属性の彼を捕まえることはできず、それどころか、彼の敵のアストルフォこそ別の教室で授業中だったという事を知ることとなったのよ。


 ハルトを狙う敵は複数?


 だから、あたしはダレンに相談してお願いしようと思ったの。

 ハルトから目を離さないであげてって。

 あたしは本棚をいくつか通り過ぎながら、ダレンがいるだろう場所、古典文学しか置いていない、普通の学生が近寄ることもない棚の近くの閲覧スペースに向かっていた。


「おい、俺の安息地を台無しにしないでくれるか?」


「ええ~。ここにぃ↑、あたしのぉ↑、必要なものがいたんですぅ↑。」


 なんてこと!

 ダレンが女の子と二人きりじゃ無いの!

 最近ではニッケとよく一緒にいるのはわかっていたわ。

 でも、ほら、ニッケは蛙みたいな顔の女の子だし、ええ、美意識が高そうなダレンが相手にする相手とは思わない。


 だけど、転校生は、普通に、ええと普通に、……あたしと比べる事もないわね。

 白い髪は雪のようだと校内の男の子が騒いでいるようだけど、物凄く痛んでボロボロだし、大きな目がウサギみたいらしいけれど、真っ赤な眼は気持ちが悪いし目元がだらしなく垂れ下がりすぎている。

 ダレンが相手に考える程の容姿では……あら、でも、美男子に美女がくっつくのは稀じゃない?


 ミュゼという素朴な顔の女にハルトだって一度は転んで……あらあら、あたしがそっけなかったからかもしれないわね。

 そうよ、ハルトがあたしに突っかかっていたのは、あたしとのコミュニケーションがその方法しか思いつかなかったからで、ハルトはあたしを怒らせたり泣かせたりしたかったのよ。


 だって、あたしを慰められるから。


 そうよ、そうよ、だからあたしが入院した時には、彼がつきっきりで看病してくれていたのだわ。

 まあ、じゃあ、ダレンもそうなんじゃない?

 あたしのことを大好きなのに、あたしはハルト君一筋だし、だから、手近な恋愛を見つけようとしているのかも!


 まあ、一大事!

 そんな思い付きの様な恋愛は、ダレンが不幸になっちゃうじゃ無いの!


 ああ、でもあたしがダレンの胸に飛び込む事などできやしない。

 あ、そうだ!あたしでも出来そうなことがある!

 あたしを愛しているダレンの為に、彼が恋をしかけている相手、あの転校生の本性を、あたしが悪者になっても暴いてやればいいんじゃない?


 あたしはダレンの為に一歩を踏み出した。

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