表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世がモブなら転生しようとモブにしかなりませんよね?  作者: 蔵前
第三章 出るモブは打たれる
12/208

授業中によくあるいじめ

 いじめには色々あるようだが、いじめをする人間はレパートリーが無いというか、いじめをする人間は自分がその他大勢にしかなれない苦しさを他人にぶつけているだけなのか、何が言いたいかというと、前世世界だろうがこの世界だろうが、やることは一緒な気がする。


 ロッカーを汚すは机や持ち物への落書き行為と一緒だ。

 けれど、その行為に対しハルトが言った、学校の職員に片付けをやらせろ、は、とっても効果があったみたいだ。


 この世界は、前世の日本の学校と違い、外国の学校のシステムと似ていたようで、よって、器物破損として警察が呼ばれた上、校内の監視カメラ映像の確認作業が迅速に行われたのである。

 すると一時間もしないうちに、私のロッカーを壊した生徒は呼び出され、学校長から停学処分というペナルティを受ける事になったのだ。

 もちろん、駄目にした私の私物の弁償も約束させられて、だ。


 凄いわ。

 ロッカー問題がさらっと解決したのは、ハルト、あなたの明敏な判断のお陰よ。


 そうよね、私が片付けていたんなら、職員も学校も大事にしないわよね。

 そうよ、学校でいじめられて机を汚された子は、その片づけを教師にさせればいいんだわ。

 ノートなどの弁償も、教師の管理不足だからと、学校に対して親が弁償を求めればいい。

 外国のいじめは加害者にこそカウンセリングするように、いじめをやっている子供の家庭内が問題があるのでは、と、子供の不良化の原因として児相に相談するのはどうだろう?


 ああ、今は虐められている私自身の事ね!


「ライトさん。前に出て問題の解説を。」


 私は教師に名指しされて黒板の前にまで出た。

 ここからは授業中に起こりやすいいじめの開始、だと思う。


「きこえませ~ん。」


 まだ何も喋って無いよ。

 教室中に広がるくすくす笑い。


「早く解説して!」


 私を名指しした教師は、私の前世時代の大嫌いな女教師を思い出させる人だ。

 背が高く骨ばった姿の為か、女の子女の子している女性を目の敵にしている。

 それぐらいなら私だってエルヴァイラを食わず嫌い的に嫌っているのだからと、自分と同列だと彼女を流せるのだが、彼女は自分よりも背の高い男性が大好きで少し行動が逸脱することがままあるのである。

 前世の中学生時代に出会った教師の生まれ変わりかよ、と思う程に、彼女は本気で似ている。


 まず、日直がいようと、必ず気に入った男子にプリントなどを回収させる。

 だってその彼を自分の所に呼び寄せたいだけなんだから。

 彼は教師に集めたプリントを差し出す。

 すると、彼女はそれが自分へのラブレターの様にしてプリントを差し出したその彼の手をつかみ、彼の手の平に自分の手の平を重ねるというキモい行為に出る。


「わあ、○○君の手って大きいんだあ。」


 甘ったるい声を聞く度、私はあんな女になるまいと心に誓った。

 だってさ、それをされる男子は大体が優等生で優しい子が多く、気持ち悪いです、と言えないだろうところが可哀想だなっていつも思っていたからだ。

 

 そして、現在のセクハラ教師、エリザ先生の好みは、噂によると特待生のダレン君、らしい。


 え、私が虐められる理由はハルト君だよね。

 だったら私への嫌がらせに、教師である彼女が便乗する要素が無いと私は思うのであるが、好きな子のお友達に着く悪い虫という感覚なのか?


「ほら、早く!あなたは男の子には媚を売ったりはいくらでも手早く出来るのに、こんなアカデミックな事には全然なのね。」


「え?」


「ダレン君にまでチョコで気を惹こうとするなんて!」


 あららら?

 うちのチョコを上げたのはハルト君にだよ?

 しかし、そんな事は些細な事らしい。

 エリザ先生の言葉に呼応するようにして、私に向かって一斉に我が家の売り物が投げつけられたのである。


「きゃあ!」


 個包装のボンボンチョコは当たると意外と痛い!

 って、痛すぎる!

 一つは私の額にクリーンヒットしたが、私は一瞬どころか痛みにしゃがみ込んでしまったくらいだ。

 そんな私に対して有効な攻撃手段だという風に、さらに次々と私の頭や体にボンボンがぶつけられた。


「まずいチョコの活用方法~。」


「かったいからさ、投げやすくね?」


 心無い言葉に、私の頭には現世の両親の悲しそうな顔が浮かび、そこに重なるようにして前世の私への介護でボロボロになっていった両親の姿を思い出した。


「お父さんのチョコを馬鹿にするなあ!」


 私は大声を上げていた。

 大声どころか吼えるようにして、だ。

 これは父が作った大事なチョコだと、拾い上げようと手を伸ばした。

 お父さんのチョコを床に転がせておくものか!

 すると、げげげ、床に這いつくばってチョコ拾いをしている私に向かって、今度は生理用品が次々に飛んで来たのだ!


 これはホラー小説の巨匠へのオマージュなのか!

 あ、次に飛んでくるのは、もしかして牛の血?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ミュゼは意外とメンタル強いですね。 虐めに対しても、冷静に分析して対処してますね。 あと前世時代の大嫌いな女教師の話が生々しいですねw でも確かに小中の頃にはおかしい女教師居ますよね。 と…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ