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七夕の奇跡  作者: シアン
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────七夕祭り────

 出会った男の子の名前は夕=ユウというらしい。わたしは瑞音=ミオと名乗った。名前の由来は水の音がきこえたからと言う安易な理由。 

 名前を交わした後、夕とわたしは二人で祭りを楽しむことになった。

 最初、人ごみはとても怖く感じたけど、夕がわたしの手を引いてくれたおかげで安心した。

 出店の人たちもニコニコと笑顔を見せるだけで、わたしを訝しむとかそういうことはなかった。

 夕に注意されてから耳と尻尾を隠そうとしたんだけど、中々上手くいかなくて断念した。なんか、周りには猫耳とかお面とかを着けた女の人もいるみたいだから、わたしは周りからあんまり浮いてないみたいだった。

 むしろ夕と一緒にお店を巡ると、その度に「彼女かい?」と夕に問いかける人が多かった。彼女って、そのアレだよね。雄と雌の関係と言うか……なんか照れるよね。


「瑞音! お前なんか食いたいもんあるか? 今日は気分が良いから、おごってやるよ!」

「食べたいものか……油揚げとか、食べたいなぁ」

「油揚げ? そんなもん出店に在るわけ無いだろ。もっと他のにしろよ」

「あ、あぁ、ごめんね。じゃあ夕の食べたいものがわたしの食べたい物だよ」

「ったく、欲がないなぁ瑞音は。じゃあ肉だな肉!」

「うん、それでいいよ」


 お肉か、食べられるかな……、いつもは牛や豚なんて口にしないから、不安だ。

 そして夕が選択したのは、鳥肉だった。


「ほら食えよ」


 そう言って串に刺さった焼き鳥を差し出してきた。まじまじと貰った焼き鳥を睨みつける。夕の視線はどうやら期待しているらしく、なんとなく目がキラキラと光っているような気がした。

 色々な葛藤を続けた結果、わたしは思い切って頬張ることにした。


「!? …………お~いし~い! 生まれてはじめてこんな美味しい物食べたよ! ありがとう夕!」


 勢い余って夕の身体に抱きついてしまった。


「へ、へへ、それはよかったぜ」


 夕の顔がほんのり桜色になっていた。そっか、くっついたら暑いのは当たり前か。こんな時期だもんね当然か。


「ま、まぁ喜んでくれたならよかった。次はあっちに行こうぜ!」


 それから夕はわたしの手を取って、人混みを掻き分けながらあちこちの店を渡り歩いた。

 わたしにとってこの日、目にする光景は全部貴重な体験で、とっても心に残った。こんなにたくさんの未知を経験したのは初めてだったから。

 

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