結論:王太子は狙った悪役令嬢《エモノ》を逃さない。
初めての方もそうじゃない方もおはようございます‼︎
なんか書きたくなったから書いた作品です。
ご都合主義ですので、頭を空っぽにしてかっっっるいノリでご覧ください。
(※一応、詳しい設定、解説は後書きに載せておきます)
なお、タイトルは直感という名のテキトーで決めました。
全部読み終えて&解説も読んでもらえたら、「まぁ、一応は間違ってはいないかな……?」と思ってもらえるかと。
ではでは、少しでもクスリッと楽しんでもらえたら幸いです‼︎
よろしくどうぞっ☆
それは、賑やかだった舞踏会が静まりかえるには充分すぎる言葉だった。
「フルールお姉様っ‼︎ ディアス様とっ……婚約解消をしてくださいっ‼︎」
シンッ……と静まり返るダンスホール。
その中央で向かい合うのは……見た目も性格も正反対な、姉妹だった。
一人は……薄紫色の髪と真紅の瞳、まさに薔薇という名が相応しい豪奢な見た目の令嬢。
シング王国の王太子の婚約者であり……筆頭公爵家令嬢フルール・カロッサ。
もう一方は……亜麻色の髪に碧眼というどこにでもいそうな色合いでありながら、素朴な可愛らしさを持つ令嬢。
つい一年前にカロッサ公爵家に引き取られた、異母妹フローラ・カロッサ。
異母妹に関することで、社交界を騒がせたカロッサ公爵家の異母姉妹による喧嘩。
それも王宮で行われた王家主催の舞踏会の最中に、だ。
フルールは、自分の異母妹の空気を読まない言葉に呆れた溜息を零した。
「…………それは、こんな場所でする話なのかしら?」
人目がつく場所でする会話ではないと、言外に告げる。
貴族というのは弱みを見せては、引きずり降ろされる弱肉強食の世界だ。
会話の内容がフルールの婚約云々であれば、全容を聞かなくても醜聞と断じれるだろう。
少なくとも、こんな人前でする話ではないし……下手をしなくてもカロッサ公爵家の問題になる。
しかし……貴族になってまだ一年しか経っていない異母妹は、そんなことに気づかずに……その目にやる気を滾らせながら叫んだ。
「だってっ……‼︎ お姉様はいつも誤魔化すだけだわっ‼︎ 幸せになれないって言ってもっ‼︎ もう婚約を解消するべきだと言っても、無理だって言うじゃないっ‼︎」
「………………」
フルールは思いっきり顔を歪めたくなるが……培った令嬢スキルで無表情を貫く。
王家から命じられた婚約をこちらから解消することなど……公爵家にできるはずがない。
何度もそれを説明したと思うのだが……どうやら阿呆なフローラはそれを忘れてしまったらしい。
この一年、何を学んでいたのだとフルールは思わずにいられなかった。
「ディアス様は他に好きな人がいるのっ‼︎ だけどっ、お姉様に傷を負わせた罪悪感から婚約を解消できないって……‼︎ 好きでもないのに結婚しなくちゃいけないなんて……好きな人と結ばれないって、可哀想だわっ‼︎ だからっ、お姉様から婚約解消をしてあげてっ……‼︎」
「…………ん?」
フルールはその言いように違和感を覚えた。
何かがおかしい。
異母妹の言い方は、どこかおかしい。
まるで…………。
「ちょっと待ちなさい、フローラ」
「はい、フルールお姉様」
「貴女、その言い方だと……ディアス様の好きな人はフローラじゃない人のように聞こえるのだけど?」
「えっ? そうですよ?」
「『えっ⁉︎』」
フルールだけでなく、話を聞いていた周りの人達も驚いたような声を漏らす。
それはそうだろう。
今まで会話を聞いている限り……ディアスとフローラが恋仲であるが、フルールを傷つけた負い目から婚約解消をできていないのだと言っているようだった。
つまり、王太子の婚約者に王太子の恋人が婚約解消を迫る図だと思われたのだが……まさかの前提が違ったのだ。
その場にいる者達は、〝えっ? どういうこと……?〟と困惑せずにいられなかった。
そんな時……。
「何やら、騒がしいね」
その場を凍らせるような冷たい声が、響き渡った。
『ディアス殿下っ……‼︎』
貴族達がサッと道を開き、次々とその場に跪いていく。
その間をゆっくりと歩いて来るのは、見目麗しい美青年。
紺碧の髪に深緑色の瞳。
王家が纏うことを許された純白の衣装を見に纏った王太子ディアス・シュウ・シングは、フルールとフローラの元に来ると二人の顔を交互に見て……。
ゾッとするほど冷たい目でフローラを射抜いた。
「フローラ・カロッサ」
「ひゃ、ひゃいっ……⁉︎」
フローラは泣き出しそうなほどに震えながら、返事を返す。
しかし、ディアスはそれに気付きながらも敢えてそのまま言葉を続ける。
「今、貴女の頭の中にはどんな人間関係図が出来上がっているのかな? 詳しく教えて貰いたいのだけど」
怒っているとも、悲しんでいるとも、何の感情も感じられない声。
自分が向けられている訳でもないのに、背筋がゾッとするほどに……底知れぬ〝闇〟が潜んでいるようで。
フルールは王太子に睨まれる異母妹に一瞬だけ同情した。
「あっ、えっ……そのっ……」
フローラは憐れみを抱くほどに顔面蒼白になり、言葉にならない声を漏らす。
けれど、今、この場において……それは愚行だった。
「なんだい? その口は飾りかい?」
ゆっくりと持ち上げられる口角。
美しい顔に浮かぶ、壮絶な凄味のある笑みはとてと恐ろしいもので。
フローラは悲鳴をあげながら、叫びながら告げた。
「そのっ……ディアス様はロロナ様と恋人だって聞いてっ……‼︎ だけどっ、お姉様に傷を負わせたことがあるからっ、それに罪悪感を抱いて婚約を解消することができないんだって……‼︎ ディアス様に恋人がいたらっ……お姉様が幸せになれないしっ、ディアス様も幸せになれないでしょうっ……⁉︎ だからっ……‼︎」
「………えっ……?」
フルールはそれを聞いて、目を見開く。
それではまるで、異母姉のために婚約解消をすべきだと言っていたと告げているようではないか。
だが、思い返してみれば……フローラの訴えは、いつも言葉足らずで。
ディアスのことを想っていたから婚約解消を訴えていたように思っていたが……その前提が違うと考えると、フルールのことを思って婚約解消を進言していたようにも受け取れる言葉ばかりだった。
呆然とするフルールの隣で……ディアスは顎に手を添えながら、ポツリと呟く。
その声は、静まり返ったダンスホールに大きく響いた。
「ロロナ……? ロロナ・ディーラ公爵令嬢のことか……?」
バッ‼︎
貴族達の視線が勢いよく振り返り、そこにいた金髪の地味目な令嬢に向かう。
その彼女こそが、ロロナ・ディーラ公爵令嬢。
公爵令嬢であれど、地味すぎる見た目からあまり目立つことはないのだが……。
ロロナは周りの視線にダラダラと冷や汗を掻きながら、そっと目を逸らした。
「…………あ」
フルールは彼女を見て目を見開く。
それは同じ公爵家として面識があっただけではない声音で。
目敏く気づいたディアスは、フルールに聞いた。
「何か知ってるのかい? フルール」
「……その……」
フルールはジッとフローラとロロナを見つめる。
そして……少しだけ眉間にシワを寄せながら、王太子の質問に答えた。
「…………フローラの友人、です。冷たい目で見られる中、彼女だけは優しくしてくれたのだと……フローラが言っておりました」
「……………」
シンッ……と再度静まり返るダンスホール。
一夫一妻制であるこの国では……異母姉妹であり、引き取られた方であるフローラに対する風当たりは強い。
そのため、フローラは他の貴族令嬢達から冷たい目で見られていたのだが……その中で、彼女だけは優しくしてくれたのだと、異母妹が嬉しそうに語っていたのを、フルールは思い出していた。
「……では、ロロナ・ディーラ公爵令嬢。前へ」
有無を言わさぬ声に、ロロナは恐る恐る前に出て来る。
側まで来た彼女は怯えるような顔で……ディアスとフルールを見つめた。
「で? なんで恋人でもないのに、わたしと恋人だとフローラ嬢に嘘をついたのか……聞いても?」
「えっ⁉︎ 嘘っ……⁉︎」
「フローラ、黙ってなさい‼︎」
フルールは驚愕するフローラを制し、黙り込むロロナに鋭い視線を向ける。
彼女はぶるぶると震えながら……ポツリと呟いた。
「それ、は……」
「それは?」
「っ……‼︎」
ロロナは胸の前で拳を握り締め、目を閉じる。
そして……今までの怯えている様子が嘘のように、勢いよく叫んだ。
「だってっ……だってっっっ‼︎ ディアス殿下が攻略キャラの中で一番好きだったんだもんっ……‼︎ 悪役令嬢は婚約破棄される運命だしっ……どうせならっ、結ばれたいって思ったって仕方ないでしょぉっ……⁉︎」
「「ぶふっ⁉︎」」
『…………は?』
勢いよく噴き出したのは、フルールとディアス。
それ以外の者達は、〝何言ってるんだ、こいつ……〟と言わんばかりの顔になっていた。
フルールはゴホゴホッと、噎せ返る。
しかし、次の瞬間には、勢いよくロロナの肩を掴んで思いっきり揺らし訴えていた。
「そ、そんな理由でフローラを巻き込んだのっ……⁉︎ というかっ‼︎ ディアスが好きなら、なんでもっと早くっ‼︎ 手遅れになる前に行動してくださらなかったのよぉっ……‼︎」
「えっ……えぇっ⁉︎ ちょっ、何をっ……⁉︎」
「せめてっ‼︎ 後、三年早かったらっ……‼︎」
フルールはギリッと歯を噛み締めながら、呻く。
その後ろにはケラケラと笑うディアスの姿。
そんな二人の姿を見て……ロロナは徐々に目を見開き、恐る恐る二人を指差した。
「まさか……‼︎」
「そのまさかだ。君もわたし達と同じだったんだね」
…………そう。
フルールとディアス……そして、ロロナには共通点がある。
それは……この三人が〝異世界転生者〟と呼ばれる者であること。
彼女達には異なる世界の記憶……前世の記憶というものがあったのだ。
そして、その記憶があるからこそ三人は気づいていた。
この世界が……よくある乙女ゲームの世界であることに。
自分達が悪役令嬢、攻略対象……そして、サポートキャラに生まれ変わったことに。
…………フローラが、ヒロインであることに。
「あははっ、成る程。つまり、上手くヒロイン嬢を言い包めて、攻略対象と悪役令嬢を婚約解消させ……君がわたしの婚約者の座に収まろうとしたのか」
ディアスは目が一切笑ってないのに、楽しげに言う。
向けられたロロナだけでなく、異母姉妹も恐怖心から彼から距離を置こうとした……が。
いつの間にか隣に寄り添っていた彼に腰を抱かれたため、フルールだけが逃げることができなかった。
「でも、残念だったね? ディーラ嬢。確かにあの筋書き通りなら……フルール嬢が刺客からわたしを守った時にできた傷に負い目を感じて、婚約解消ができずにいただろう。けれど、わたし……いいや、俺が負わせた傷はソレじゃないんだ」
ディアスはフルールの腰を撫でながら……壮絶な色気を帯びた笑みを浮かべる。
ロロナだけでなく……流れ弾に当たった他の女性がその場に崩れ落ちたり、同性でさえも赤面するほどの妖艶さ。
しかし、免疫のあるフルールは彼が告げようとしている言葉に予想がついて、大慌てでその口を塞ごうとした………が。
「ちょっとっ‼︎ 待ちなさ……」
微妙に間に合わなかった。
「俗に言う、純潔を穢したってヤツだからね」
「待ちなさいって言ったのに、なんで暴露するのよっ‼︎ この馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ‼︎」
フルールは顔を真っ赤にして涙目になりながら、ペシペシッと彼の頬を叩く。
別に婚前交渉が許されていない訳ではないが……貴族間においては、あまり勧められたモノではない。
それはそうだろう。
貴族と言うのは、血の繋がりを重要視するのだ。
下手に婚前交渉をして、他の人の血を流すようなことになってしまったら……問題になる。
貴族で婚前交渉をするということは、よっぽどの馬鹿か……絶対に婚約を解消をしないという誓約書を然るべき部署に提出するほどの覚悟を決めた者達ぐらいだった。
ちなみに、フルールとディアスは後者(※ディアスが成人(三年前、十五歳の頃)早々、いつの間にか公爵家の許可を取り、勝手に出していた)である。
「いや、ちゃんと誓約書は出してるんだし……気にしなくても」
「気にするわよ、馬鹿ぁ‼︎」
「あははっ、照れてるフルールは可愛いな」
叩かれているというのに、ディアスはニコニコと嬉しそうに笑う。
その笑顔が憎くて、悔しくて……フルールは更に涙目になった。
「…………えっ? ちょっと待って? じゃあ、ディアス様は……ロロナ様と恋人じゃないの?」
今の今まで、呆然としていたフローラはマジマジと異母姉と王太子を見つめる。
ディアスはそんな彼女ににっこりと笑って答えた。
「あぁ。どうやら君は友人に嘘をつかれたようだな。わたしとフルールは誓約書を提出しているから、婚約を解消することはないんだよ」
「うっ……嘘ぉっ⁉︎」
フローラはその場に崩れ落ちる。
その顔は驚愕に染まっていて……。
友人に騙されていたこと、異母姉に王太子と婚約解消するべきだと訴えていたこと自体が間違いだったことに気づき……憐れなほどに、落ち込んでいた。
ディアスはそんな彼女に追い打ち(?)をかけるように……どうしても聞いておきたいことを質問する。
「ところで。何故、君はディーラ嬢の言葉を信じてしまったんだい? 友人だから? だとしたら、友人の言葉だからと鵜呑みにするような……相当な頭の緩さだと思われるのだが……」
「…………だ、だって……お姉様とディアス様が会ってる時……遠くから見ても分かるぐらいに緊張感があるから……ロロナ様から、ロロナ様とディアス様が恋人だって聞かされて……お姉様もそれを知ってるから、あんな風になってるのかなって……なら、お姉様が幸せになれないのは……駄目だって思って……」
それを聞いたフルールとディアスは互いに顔を見合わせる。
そして……バツが悪そうな顔をしたフルールは、ゆっくりと異母妹に歩み寄った。
「フローラ」
「…………はい」
「ごめんなさい、フローラ。確かにわたくしはディアスと会う時、緊張しているわ。でも、それは……その……この人が所構わず襲ってくるからで……少しでも気を抜けば、寝室に連行されてしまうからなのよ」
「『………………』」
ヒョォォォォォォォォ…………。
室内だというのに、冷たい風が吹いた気がした。
どこか遠い目をするフルールは、もう諦めを滲ませた声で告げる。
「だから、フローラは心配しなくて大丈夫よ。ただ、わたくしの体力やら気力やらが、コイツに吸われていくだけだから」
「……………いや、お姉様? そんな顔しながら言われても説得力ないです。全然、大丈夫じゃなさそう」
フローラは乾いた笑みを浮かべる異母姉が本気で心配になる。
けれど、そんな目に遭わせている当事者は心外だと言わんばかりの顔で、肩を竦めた。
「でも、これでもかなりセーブしてる方なんだが?」
「…………」
「…………フルールも気持ーーーー」
「黙らっしゃいっ‼︎ 頭、カチ割るわよっ‼︎」
何かを言おうとしたディアスの言葉を遮り、フルールは顔を真っ赤にしながら猫のように威嚇する。
そんな婚約者の姿を見て……彼はニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべた。
「まぁ、なんだ? この通り……わたしとフルールは仲睦まじいし。わたしとディーラ嬢(※姓で呼んでる時点で親しくない)が恋人だという事実は存在しないし、フルールとの婚約解消はしない。そもそもの話、わたしは好きでもない女性を抱きたいとは思わないし……君の姉君は好きでもない男に身体を許すような性格か?」
「ち、違いますっ……‼︎ お姉様は優しくて、美しくてっ……ただ一人の旦那様と結ばれることを夢見るような愛らしい方ですっ‼︎」
「ぐふっ‼︎」(←照れてるフルール)
「君がフルールのことを思って、婚約解消を言ったのは理解できた。だからこそ、わたしは彼女を幸せにすると誓おう。納得頂けるかな? フローラ嬢」
「はいっ……‼︎ お姉様のこと、よろしくお願いしますっっっ……‼︎」
「もういっそ、わたくしを殺してっっっ‼︎ 恥ずか死ぬぅぅぅう‼︎」
握手する婚約者と異母妹。
その間で羞恥心に悶えるフルール……。
周りの者達は若干、〝なんだこの盛大な惚気(?)……〟と思い始めていた。
「という訳で……嘘をついて王太子と公爵令嬢の婚約を拗らせようとしたディーラ嬢は、謹慎処分とする。衛兵、ディーラ嬢をお連れしろ」
王太子の指示に、〝あ、ディーラ公爵令嬢のこと忘れてなかったんだ〟と思った周りの者達は、呆然と立ち尽くす彼女に視線を向ける。
衛兵達は、横恋慕して、友人に嘘をついてまで婚約関係を拗らせようとしたのに、逆に盛大な惚気を聞かされ、馬に蹴られてしまったロロナに(何故か)同情的な視線を向けながら……彼女を連れて行った。
「では、騒がしてしまったね。どうかこの後の舞踏会を楽しんでくれ」
ディアスはそう言って、婚約者の腰を抱きながらスタスタと歩き出す。
ほぼ無意識にそれに従っていたフルールは途中でハッとして、慌てて立ち止まろうとしたが……彼の力が強すぎて、立ち止まることができなかった。
「えっ……ちょっと、待ちなさい‼︎ なんで腰掴んでっ……‼︎ ねぇっ⁉︎ どうしてダンスホールの外に向かってるのかしらっっっ⁉︎ 助けてっ、フロー……」
「行ってらっしゃいませ、お姉様〜」
「嘘でしょっ、フローラぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
バタンッッッ。
ディアスに強制連行されたフルールは、閉じられた扉の向こうに消える。
残された貴族達は互いに顔を見合わせて……〝これは、深く考えちゃいけない気がするな。うん。(※別に、この件に関わることで王太子がどんな報復するか分からないって、怖くなった訳じゃないよっ‼︎)〟と悟りあったのだった。
後に、この事件が《王太子の横恋慕撃退事件》あるいは《王太子と婚約者の赤裸々事件》と影で呼ばれるようになるのだが……それをフルールが知るのは、随分と先になってからのことである。
【設定・解説】
乙女ゲームでは、刺客から王太子を守るために傷を負った公爵令嬢に負い目を感じて……本当に好きな人ができても、罪悪感から婚約解消ができないという設定でした。
ちなみに……転生者ですから、刺客のことを知ってたので、普通に対処済み(護衛を増やしていた、護身術を習っていたなど。公爵令嬢に傷なんて残してません)です(笑)
【登場人物紹介】
フルールさん……転生者で悪役令嬢。幼い頃から記憶あり。まぁ、公爵令嬢なので王太子の婚約者に。
ディアスといる時、ポツリと呟いた「磯辺餅食べたい」で、婚約者も前世の記憶があることを知る。
なんだかんだとディアスに甘やかされてるから、彼に甘くなってる。ちなみに愛されてるって実感してるから、満更でもないみたいだよ。
捕まっちゃってるね、フルールさん(笑)
押せ押せ、ディアス君(笑)
ディアス君……転生者で攻略対象で王太子。幼い頃から記憶あり。妹がやってたので、この世界のことを知ってた。ヒロインよりも悪役令嬢派。そのため、婚約者になってラッキーと思ってたのに、自分と同じ転生者だと知って更にハッピー。
誓約書なんてあるのを知って、早々に提出した人。ざまぁとか悪役令嬢が逃げるとか小説で読んだことあったから、それ対策&思春期男子だから我慢できなくなると思ったんでしょうね。
王太子は狙った悪役令嬢を逃す気がない。
フローラちゃん……現地人の異母妹。純粋で素直。他人を信じやすい。逆を言えば、阿呆の子。
ちなみに、異母妹ってなってたけど裏設定では従姉妹。公爵の駆け落ちしちゃった弟の娘。公爵の弟夫妻が事故で死んで、フローラが孤児院にいたのを知って引き取った。ちなみに、公爵夫人も知ってますが……弟の駆け落ち相手が他国の王族の方なので、公にはできません。
でも、多分……普通な人と結婚して、普通に幸せな人生を送るだろう。
ロロナさん……転生者でサポートキャラ。記憶を思い出したのは一年ぐらい前、フローラと会った時。
別に、ゲームキャラなんだからゲーム通りに動きなさいよっ‼︎とか、死んだらリセットできるっ‼︎とかそこまで電波なことは考えてないけど……あわよくば好きなキャラ(ぶっちゃけ、顔が好き)と結ばれたいと画策しちゃった人。
ちゃんと反省して、ゲームとは関係ない人と結婚しようっ……‼︎って決意するけど、ヤベェ性格の攻略対象に今回の一件で目をつけられて、狙われる。…………えっ?
ここまで読んでくださって、ありがとうございました〜‼︎( ^∀^)ノ