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97話鍛治と聖級装備

「鍛治スキルを検索!」


レンは、目の前に表示されているスキルのストア画面に向かって言う。


すぐに表示されたためインストールを使用する。



ステータスにインストールされたことを確認して早速実験を始める。


「これで良いか…」


レンは、前に買った短剣を取り出す。試しに付与できるかやってみる。


「よし、付与と鍛治スキルを発動……あとは、作りたいイメージを持って…」


呟きながら短剣に魔力を注ぐ。



なかなか根気のいる作業で短剣1つでも疲れを感じてしまうものだった。


「はぁ……やっと出来たか…さっそく鑑定!」



冒険者の短剣(下級)

付与 自動修復


と表示された。成功したようだ。


「普通の短剣に見えるね」


とエリアスが言う。たしかにレンにも普通の短剣にしか見えない。


「壊してみよう」


と言いレンは、手刀で剣を真っ二つに折る。


「どんな力してんのよ」


とルティアは、呆れていた。




「さて…」


どうなるだろうかと思いながら4人で短剣を眺めていると徐々に持ち手の方から剣が再生を始めた。そして、壊れた短剣は見事に直ったのだ。レン以外は、自動再生など見たことがなかったので素直に驚いていた。


「本当に直ったね!レン、凄いよ」


とエリアスが喜んでくれる。頑張ったかいがあったものだ。



「付与やるのは、結構疲れるから一旦宿に帰らないか?」


他の冒険者が来たら厄介だし。普通の冒険者では手の出せない代物だ。良からぬことを企む人も出てくるかもしれない。


「賛成!」


と言われたため転移結晶で戻ることにした。





宿に戻った4人は、レンの部屋に集合した。


「よし、それじゃあ付与をやっていこうか!みんなちゃんと着替えてきたな?」


とレンは聞く。


さすがに付与するからここで服を脱げなんて言えるはずもない。


みんな、今日買った服に着替えて冒険用の服は手に持って来ていた。


「では、エリアスの服から貸してくれ!」


「うん!お願いします」


と言ってレンに服を渡してくる。


「よし!付与、鍛治スキルを発動……」


この世界では、イメージがやはり大切なので今レンの手にあるエリアスの服にひたすら良い性能が付くように気持ちを込める。


「寒暖耐性…防御……魔法耐性…物理耐性…自動修復…装備錬磨」


ブツブツとレンが呟くため、エリアス達は大丈夫だろうかと不安に思うが見守ることにしていた。



10分ほど経過してレンが顔を上げる。その顔は、かなり疲れているように見えた。


「レン!顔が青いよ…すぐに横になって」


とエリアスに言われベッドに倒される。


「まさか…こんなにあっさり…MPが空になるなんてな……楽じゃないな」


とレンは呟く。

身体があまり動かない状態になっているのだ。


「無理に頼んで申し訳なくなってきたわね」


「うん、私達のは無理しなくても良いからね」


とルティアとミラが言う。レンの様子を見て悪いなと思ったようだ。



その後レンは、1時間ほど休み、MPポーションを飲むことで完全に回復した。



「エリアス、装備を見てみようか!」


とレンは声をかける。


「そうだね、見てみよう!あ、でもレン…あんまり無理しないでね。キツかったら途中でやめて良かったのに」


と言う。確かに少しずつやれば良かったなと思う。装備に付与するのもなかなか面白いため止まれなかったのだ。


「鑑定!」


エリアス装備一式(聖級)

付与 寒暖耐性 魔法・物理耐性 自動修復 装備錬磨


レンは、エリアスの装備に付与されたものを紙に書き出して3人に見せる。


「聖級!……とんでもない物を作ったわね。それは、Sランク冒険者が使うような代物よ!」


とルティアは衝撃を受けた。


「凄すぎて…自分自身が虚しいよ」


ミラは、体育座りで落ち込んでいる。



レンはエリアスの方を向いて手に持っている付与した服を手渡す。


「受け取ってくれエリアス。少しでも俺の力で君を守れたら嬉しいよ」


「ありがとう、レン!私もあなたの力になれるように頑張るから」


と言い受け取る。



付与と鍛治スキルでレンがこの異世界に於いてとてつもない物を作り出す始めての瞬間であった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 装備がめちゃくちゃ強くなることは、いいことですね〜 [気になる点] 人間より、装備の方が強そう(ボソッ)
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