96話装備強化とお仕置き
「あっついわねぇ!レン、雪でも降らせなさい」
とルティアは、暑さで気が立っているようだ。気持ちはわかる。
「夏休みとかクーラーないと勉強出来なかったからな」
「そうね。やってられないよね」
レンの呟きにミラも納得してくれる。
「私も暑いのは苦手だなぁ」
暑いためかエリアスの尻尾と耳は力なく垂れている。
「まぁ、装備に暑さ寒さの耐性がついてるから今は対して苦労しないな〜」
とレンは、暑さなんてへっちゃらと言う。
「「「今なんて言った?」」」
3人の視線がレンに集まる。装備の効果のことを言ってなかったのを思い出したのだ。そういえば、みんなにはついてない効果だ。
『口が滑りましたね、マスター。恨まれることを覚悟しては?』
ナビゲーターさんは、なんか冷たい。まだ根に持ってるのだろうか。
「へ〜、レンの服って暑さも寒さも大丈夫なんだね?」
とエリアス
「王都で、ボロボロになったのに綺麗に直ってるわねぇ?」
とルティア
「転移者ってそんなに良い服もらえるのかなぁ?あれ?私も転移者だけど?」
とミラが続く。
「ちょっと待とうみんな!目が…目が笑ってないどころか燃えてる。怖いから」
レンは、3人の服を改造することにした。あまりにも怖く折れたのだった。
そこに破黒の英雄の面影は、1ミリもなかったのだった。
『こってり絞られましたね、マスター』
ナビゲーターさんが声をかけてくる。
「はぁ…怖かったな、ナビゲーターさんも助けてくれたら良いのに」
『自業自得です』
「むぅ…」
レンは言葉に詰まる。
しかし、服に効果をつけるやり方は、どうしたものかと考える。ちなみに、他の3人は休憩中だ。
頭上から雪が降っているため涼しそうだ。
「雪は、俺が降らせてるんだけどな……」
氷魔法をコントロールして3人の周辺を涼しくしている。
「ちょっと!レン、コントロールが緩いわよ。気を抜いてるんじゃないの?」
とルティアが指摘する。
大きな氷で攻撃するのは簡単なのだが、細かい雪を降らせるのは気を使う。集中が乱れると効果が弱まるのだ。
修行に良さそうだなとは、思いつつルティアの発言は、偉そうなので(事実、王女で偉い身分ではある)ルティアにはプレゼントをあげることにした。
「悪い、まだ慣れないんだ…おっと魔法が滑った」
と言いながら魔法を発動する。魔法が滑ることなんてあるだろうか…
「全く…てっ、うわぁぁぁぁぁぁ!」
ルティアの頭上からは、大量の雪が流れ落ちルティアを雪だるまにする。
「ちょっと!さっさと出しなさいよ!」
ルティアが雪から脱出を試みようとするが身体が動かないようだ。
「これでかなり涼しくなっただろう?じゃあ、俺は考え事をするんで」
と言いレンは背を向ける。
「くぅ…こうなったら、ファイヤドール!これを溶かしなさい!………ちょっと!何で解けないのよぉぉぉ」
レンの氷魔法がルティアの火魔法に打ち勝っているのだ。
「ルティア、さっきまでの威勢はどこに行ったんだ?」
と言いながらレンは、雪だるまルティアをスマホのカメラで連写する。
「覚えときなさいよ!」
とルティアが言っているが無視だ。
『なかなかの鬼畜ぶりですね。さすがです、マスター』
「まぁ調子に乗りすぎてもな…」
とレンは答えておく。やはりナビゲーターさんは、毒舌な気がする。
結局、ルティアはレンが魔法を解くまでは脱出することは出来ず雪だるまだった。
「凄い表情だな……」
王女にあるまじき表情の写真を見せると、やはりプリプリと怒って叩いてくる。
やっぱりルティアは、怒った顔が可愛いなぁとレンは叩かれながら思うのだった。




