90話ゲームとソロ攻略
宿のレンの部屋には、エリアスとルティアが来ておりレンのスマホを興味津々に見ていた。
「このスマホ?っていうのは、何に使うの?」
とエリアスが聞いてくる。
「まぁ、色々なことに使えるよ。時間もわかるし測れる、ゲームも出来るし音楽も聞ける、写真を撮ることもできる」
「レン、写真ってなに?」
この世界には写真というものがないようなので知らないようだ。
「実際に使う所を見たいわね」
とルティアが提案したため使ってみることにする。
「それじゃあ、2人ともそこの椅子に座ってくれる?」
「わかった!」
「どうなるのかしら?」
と2人とも椅子に座ったのでスマホでカメラアプリを開き写真を取る。
パシャ!パシャ!
という音とフラッシュがたかれ2人は、驚く。
「突然光った!」
「それって光魔法が使えるとか?」
と反応している。異世界では魔法と勘違いされるようだ。
「いや、魔法が使える訳じゃないけどね。説明が難しいな……まぁそれは置いておいて写真を見てみよう」
と言いスマホの画面を2人に見せる。
「わぁ、ルティアと私が写ってる!」
「すごいわね!宮廷美術家でもこんなのは書けないわよ」
と驚いている。やっぱり宮廷美術家とかいるんだなと思う。
「こんな感じで便利な機能があるんだよ!」
と説明しておく。
「面白そうね!」
とルティアは楽しそうにしている。
ちなみに写真は連写していたため、何枚かあったが後半にフラッシュで驚いた凄い顔のルティアの写真があったので見せたら怒られた。
「王女に不敬よ!」
と言いながらポカポカ叩いたり、頬を膨らませプリプリしていたのは、ちょっと可愛いと思ってしまった。
その後、ルティアがゲームをやってみたいとのことだったのでオフラインのゲームをやらせてみたが、センスの無さが際立っていた。
「もう!なんなのよぉぉぉ!ああぁぁぁぁぁ!」
としまいには発狂してしまう。
「落ち着けよ」
と言いながらレンはスマホを取り上げる。投げられて割れたら困る。この世界でスマホは使わないだろうが、やはり壊れるのは嫌なのだ。
エリアスが今度はゲームをやっているが、予想外に上手かった。やり方を教えるとあっさり覚えてクリアしてしまうのだ。初めてやったと思えない腕前であった。
「俺より上手い気がするな……」
「私なんて、ほぼ無理だったわよ…」
と2人は少し、落ち込んだ。
楽しく過ごして2人はそれぞれの部屋に帰っていく。
「さて、行くとするか…」
2人が帰ったのを確認したレンは、部屋を出て外に向かう。
レンがやってきたのは、迷宮イージスだった。
迷宮に入り5階層に跳ぶ。
どうして夜に1人で迷宮に来たかというと修行のためだ。少しでも、あの力を使いこなせるようにならなければならない。
「日が出てるな…」
空を見上げるとそこには太陽が輝いている。迷宮の外の時間が夜だったため変な感覚に襲われる。新人冒険者であれば感覚を狂わされることもあるかもしれないとレンは思いながら進む。
レンにとっては5階層の魔物も大して相手にならず余裕で相手に出来ているため、ひたすら上に向かおうと考える。
「良し!10階層到着」
あっさりと10階層に着いてしまったのだ。
「友達に黙ってゲームを進めている気分だ」
友達が知らないうちにゲームを進め、後で自慢するような感じだ。
エリアスなんかは、凄いと言ってくれそうだが、ルティアは、勝手に1人でやったわね!と怒りそうな気がした。
10階層は、目の前に海が広がっていて日差しがここまでの階層よりも強く感じた。
冒険者パーティが休憩しているのが見えた。暑いせいか鎧を脱いで涼しそうな格好をしている。
レンは、この日差しの中で鎧は辛いだろうなと思いつつ前に進む。
「おい、あの冒険者の格好暑くねぇのかな?」
「やせ我慢じゃないか?」
と言う冒険者の声を拾うが構わず進む。
周りから見たらレンの格好は、黒を基調としたコートのようなものであるため暑く見えるだろうが、運営から貰った装備には暑さ対策がされているのだ。
「お!あれはボス部屋だな」
浜辺には場違いな形で扉があるため目立っていた。
レンは、その扉を開けて進むのだった。