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89話母の言葉と一文無し

ギルドの前であまりに目立ってしまったため、場所を変えてレン達は現在カフェのような場所にいる。


「それで本当に高宮さんなんだよね?」


とレンは質問する。わかりきったことではあるが聞かずにはいられない。


「うん、私も地球から来たんだよね。本当に信じられないけど……ゲームアプリでこっちにきたみたい」


と本人も驚いてるようだ。


「まさか異世界へっていうアプリじゃないよね?おれがそれで来たんだけど…」


レンが異世界にきたのはアプリの利用規約を読まなかったからだ。そんなに後悔しているわけではないが……



「うん、それだね。このスマホから見つけたから私のスマホにもインストールしてみたの!」


と言いながらスマホを出す。明らかにレンのスマホだ。


「これって俺のスマホ!こっちの世界には持ってこれないのかと思ってたよ」


とレンは言う。二度と持てないと思っていた自分のスマホだ。この世界では使えないだろうが…



「ロックのパスワードが推しキャラってのは置いておいて…まぁ、折神君を探しに来たというわけ」


と説明してくれる。パスワードバレたよ…とレンは思うが、聞き流す事にする。


「こっちの世界からあっちには戻れないかもだけど?利用規約読まなかったの?」


「どうせ、同意しないとだから読まなかったよ」


レンと対して変わらない考えのようだ。



「もし戻れなかったらどうするんだ?俺にも帰る方法は、わからないし」


「親には申し訳ないけどね。でもそれ以上に楽しそうと思ってしまう!本当にあったんだよ?私達が本やネットで読んで憧れていた世界が!」


ととても嬉しそうに話し出す。異世界に来て、元々の世界で抑えてた気持ちが解放されたかのようだ。


「それでも、俺は後悔することがあるよ……俺をここまで育ててくれた母親を置いてこんな世界に」


レンは自分の手が震えるのを感じた。これまで色々なことに巻き込まれて考える暇がなかったり、もしくは目をそらしていたのかもしれない。



レンの気持ちを察してか、エリアスがレンの手に触れる。少しずつだが気持ちが落ち着いていく気がした。


「ありがとう、エリアス。君に会えたことが本当に良かった」


「こっちこそだよ、レン。あなたがこの世界に来てくれたから私は救われた。この世界に来てくれてありがとう!」


そう、レンにもこの世界に来て良かったと思えることが確実にある。


「そうよね、レンが来たからお母様も助かったわけだし。レンならきっと帰る方法も見つけるわよ!大丈夫」


とルティアも励ましてくれる。


「ああ、そうだな。俺もこの世界に来て良かったと心から言えるよ」


とレンが元気を取り戻した時に、ミラが続ける。



「そうだ、折神君のお母さんに会ったんだけどその時に言ってたことを伝えるね……『レンならきっと大丈夫。どんなに時間がかかっても良いから帰っておいで、あなたが帰る場所を用意していつまでも待ってるから』って」


本当に、母らしいなと思った。レンは嬉しくて泣きそうになったが、どうにか堪えようとする。


「そうだな、どんなに時間がかかっても絶対に帰ってみせるさ!」


完全に元気を取り戻し宣言する。


この時、レンはエリアスの表情が少し曇っていることに気づかなかった……






そろそろ店を出るかとなった時にミラが


「あの〜お金を貸してもらえないでしょうか?持ち合わせが全く無くてですねぇ…」


と言ってくる。さっきまでの良い話が台無しになったような気分だ。


「えっ!お金持ってなかったの?」


とレンは驚く。転移者にはそれなりにサポートがされるものだと思ったが、違うのかと思う。


「この手紙見てくれる?本当ならチュートリアルがあるはずなのにいきなり跳ばされたのよ!」


とアプリ会社のロゴが入った紙を見せられる。


「不具合でチュートリアルが出来なかったのか…それはドンマイって感じだけど」


とレンは苦笑いで答える。


「ちくしょう!運営に苦情を入れてやる。お詫びを寄越せーーー!」


と突如ミラが声を出したのでレン達は驚く。


「この人、大丈夫なのかしら?」


とルティアが聞いてきたので、


「俺が知ってる高宮さんはこんな人じゃなかったんだけどなぁ…」


とレンは答えるのだった。



結局、レンはお金を貸し宿は、同じ場所を取ることになった。


さすがに見捨てるなんてことが出来るはずがない。



「ありがとう……折神く〜ん」


と涙ながらに感謝しているミラを見てレンは、本当にこんな人だったかな…と思うのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] お金無しで、異世界に飛ばされるとか((´д`)) ブルブル…
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