86話初の遭遇と攻略開始
馬車に乗り込んだミラは、迷宮都市という単語にとてもワクワクしていた。
迷宮都市があるという方向を見てみるがまだはっきりとは見えてこない。その代わりにと言ってしまえば最悪のことだが、魔物が見えてくる。
「まさかこの道に魔物が出るなんてね…かなりついてないわね。全力で逃げるから捕まってなさいな」
と馬車を運転するおばさんが言う。
この世界の人ならば、このような状況ならあまり良くは思わないだろうがミラは違った。
「おお!とうとう魔物との遭遇か。私の魔法が効くだろうか?」
と戦う気満々になっている。
「そういえば、まだ魔法を試してなかったから良い機会だよね!」
と未だに魔法を使ってないことを思い出し戦闘準備に入る。
「あんた魔法でも使えるのかい?無茶するんじゃないよ!」
と前の方からおばさんが言っている。
馬車が魔物の横を通り過ぎる時に、ミラは魔法を放つ。
「ファイヤ!」
するとかざした手から炎が吹き出して魔物に向かって行く。
だがミラの魔法では、魔物を完全に倒し切ることが出来なかった。
「ありゃゃ、レベルが足りないのかなぁ…完全に倒せてないな」
少し残念そうに呟く。
「ありがとう!今ので充分よ」
とおばさんは言う。
魔物に攻撃したことで時間稼ぎとなったようだ。
魔物と充分に距離が取れて、ミラは考え事をする。
「さっきので自分はしっかり魔法が使えることがわかったけど、まだまだレベルが低いよね。アプリ管理者さんとかにもらった経験値も10レベル分だったみたいだし…」
しっかりレベル上げできるのか不安になったが、なるようになれと思った。
「ほら、見えてきたよ。あれが迷宮都市さ」
おばさんが声をかけてくる。
「おお!あれが…大きい」
さっきまでの心配を忘れてミラは新天地に心を踊らせるのだった。
レン達は、宿を見つけることが出来ていた。ナビゲーターさんいわく、ご飯も美味しいそうだ。
宿を予約できたため、街に繰り出す。アイテムボックスを持っているため特に荷物を預ける必要もないのだ。元の世界ならともかく、こちらの世界のセキュリティでは宿に預けたものが盗まれることもあるらしい。大抵、宿に預けるのは貴重品以外になる。
「レン、ギルドに向かおうか?」
「そうだね、エリアス」
と言いながらギルドに向かうことにする。
「結構強そうな人が多いな、迷宮都市だからか」
道行く冒険者を見ながらレンは呟く。
「まぁ、レンとエリアスより強いって人はそんなにいないように感じるけど?」
ルティアがそれに答える。
「「そうかな〜?」」
レンとエリアスは少し嬉しそうにルティアに聞き返すのだった。
ギルドに着いたレン達は、迷宮の情報収集を始める。
ギルドの受付嬢に話を聞いたら一発だった。
「ギルドでは、現在の最高到達階層である50階層までの地図を販売しております。また迷宮に関しての情報も多く記載されてますので購入をお勧めしております」
迷宮は50階層を攻略中とのことだ。これは購入した方が良いよなと思う。
「ぜひ購入したいです。所で迷宮って何階層まであるんですか?」
「それはまだ明らかになっていませんが、100階層まであるのではないかと推測されています」
それは攻略は大変そうだな…とレンは思うのだった。
「それじゃあ、早速迷宮に行ってみるか?」
レンは2人に尋ねる。
「そうだね…迷宮で出来る依頼がないか先に掲示板で確認しない?」
とエリアスが言い
「エリアスに賛成だわ。少しでも稼ぎましょう」
とルティアも言う。
依頼は、たくさんありどれを受けるか迷うものだった。
結果、3人は簡単な採取系のクエストにするのだった。
迷宮にはギルドから歩いてすぐの所にあり多くの冒険者が出入りしているのが見える。
パーティを組んで行くのがほとんどでソロの冒険者は全く見つからない。
「そりゃ迷宮に1人で入るのは無謀だよな…」
とレンは呟く。
「クランっていう大規模な集団で臨むこともあるよ」
とエリアスが教えてくれる。
「たしかに大勢だと楽に迷宮を攻略出来そうだよね」
と返すと
「レンなら1人でクラン以上の戦力がありそうね」
とルティアが物騒なことを言う。
「さすがにそれはないでしょ?」
と返すがルティアは本気のようだ。
そんなことを話しつつ迷宮に入る。1階層はほとんど人がいなかった。
「到達した階層ならどこからでもスタート出来るんだな。出来るだけ上を目指そう!」
と気合を入れる。
「「おー!」」
とエリアスとルティアも元気よく声を出す。
レン達の迷宮攻略がスタートしたのだった。