394話助力と帰ってきた英雄
「俺の力でディザスターを蹴散らすしかないか?このままじゃこっちに大きな被害が出るな!」
レンが魔法を発動しようとする。このままディザスターに押され続けては、仕方がない。ベルゼとの戦いに力を残しておきたかったが、今は目の前の敵を倒さなければ負けてしまう。
『さあ、どうするレン・オリガミ。ここで力を使い切って終わるか、何もせずに終わるか』
津波の様な勢いでレン達を飲み込んまんとするディザスターが迫ってくる。
「ディザスターも倒して、ベルゼも倒す!行くぞ!」
魔法を放とうとした時、声が投げかけられた。
「よお、やっぱり寝てられなくて出てきちまった。ステータス外スキル!」
大量のディザスターの波が一気に吹き飛ばされた。
たった1人の男の一振りの剣によって。
「アルファードさん!」
「よお、送り出しといてあれだけど、来ちまったよ」
剣を肩に担ぎながらアルファードが言う。
「私もいますよ」
「ハルカさん!」
エリアスが驚いた表情をする。まだ魔王領で追った傷は癒えていない状態での参戦だ。無理をしているのはわかっている。
「私もさ。弟子が頑張ってんのに寝てられないからね」
「師匠!」
元聖女のネーヴァンだ。
「救国の英雄、参戦っと!それにまだまだいるぜ?レン達の力になりたいってな」
とアルファードが言うと、後ろから次々にやってくる。
「妾も来たのじゃ、レン!」
「まぁ、私も力になろう」
「神聖国を助けてもらったからね。もちろん私達も力になるさ」
クシフォン、フィーズに続き、フェインドラと聖騎士達も続く。魔王領で治療を行なっていた者達だ。
「王国は、俺達が死守する。だから、ベルゼを討ってくれ!レンにしか出来ないことだ」
アルファードの声が響く。
みんな全開ではないだろう。だが、それでも来てくれたのだ。その思いに応えたいとレンは思う。
「まずは、上空でベルゼを匿ってるディザスターを倒さないとだね。ミラ、お前の師匠は大した奴だよ。最後に、仲間を呼び戻してくれた」
と言いながらネーヴァンが指を刺す。
「あれは……」
一同が目にする上空、ディザスターが降ってこようとしている場所に1人の英雄がいた。
『よもや、戻ってきたというか。だが、もう限界だろう?戦えば死ぬぞ』
ベルゼの声が響くが、男は笑う。
「ああ!あの世に待たせてる奴がいるから悔いはない。もう一度、あいつらに会えただけでも十分だってのにな」
「マサトが、俺達の仲間のマサトが帰ってきた。カラミィが俺達を導いてくれたんだ」
「師匠……」
ミラは自らの亡き師を思い呟く。
『よもや、貴様がここで立ちはだかるとはな。死者は、死者らしく消えろ』
「まあ、確かに死んでる人間だから。だけど最後に、今を生きているみんなのために力を振るわせてもらう」
マサトが剣を抜き放ち、ディザスターに向けて宣言するのだった。




