393話止まらない災厄
『このまま、お前達は押し切られて終わる。我の力で、全て飲み込んで見せよう』
空から響く声に合わせて、ディザスター達も進撃を続ける。レン達は、徐々に王国の結界の方に後退を強いられる。
「ベルゼと戦うための力も残したい。だけど、このままじゃみんなが保たない」
シャン先程から魔法を連続で放っているため、みなMPの消費が激しい。
「それに今はベルゼの姿も見えない。レンが来るのをディザスターで防いでるんだね」
「隠れるだなんて卑怯だわ……」
エリアスとルティアが魔法で攻撃を放ちながら言う。レンも一気にベルゼを倒して魔門を閉じたい所だが、ディザスターの中に一人で飛び込むのは命知らずだ。
「いや、無理にでも行くか?」
「やめた方がいいよと思うね。私の勘だけど」
ミラが答える。ミラの勘とは大賢者の勘、信じるべきものだろう。
「そうか、だったらどうすれば」
「ちぃ、不味いなぁ。俺じゃ、これはついていけないぜ」
シャンが舌打ちしつつ呟く。魔法攻撃の手段が乏しいシャンには、ディザスターの相手は厳しい。
「シャンさん!ファイヤブラスト」
シャンに迫るディザスターをリータが吹き飛ばす。
「わりぃな、ガキの足引っ張るなんてよぉ」
「前のあなたなら言いそうにない言葉ね」
リータに謝るシャンに、マグノリアが声をかける。
「ああ、絶対に言わねーな!お前もだけど」
「お互いに、洗脳が解けてようやく協力する様になりましたね」
リータは嬉しそうだ。
「きゃっ!」
フィレンが悲鳴を上げて、ワイバーンから落ちる。飛行しているディザスターに攻撃を食らった様だ。
「風の精霊!力を貸して」
精霊魔法を使って、地面との激突だけは避ける。
「フィレンさん!」
「私は大丈夫、目の前の敵に集中しなさい!」
アイリ達の周囲にもディザスターが迫っている。
「フィレン!受け取れ」
アンナがフィレンに向かって弓を投げる。
矢を取り出しすぐさま駆け出したフィレンは、自らの弓を取り番えて引き絞る。
「精霊魔法付与!」
放った矢がディザスターを貫いて魔法で吹き飛ばす。
「二刀流剣術!くそっ、キリがないな!」
アンナが声を上げながらディザスターを斬り伏せる。
戦況は、確実に災厄に傾いていた。




