特別編 オリガミ家のクリスマス後編
「ママ!本当にサンタさんが来たのぉ!」
部屋から飛び出したエレンは、大慌てでやって来た。可愛らしいネックレスを手に持っている。
「良かったね!欲しかったプレゼント貰えた?」
「うん、可愛いの!」
と言いながらエレンがプレゼントをエリアスに見せる。エレンも嬉しそうにしているためエリアスも嬉しくなる。
「サンタさん凄い動きで捕まえられなかったの。パパみたいに凄い動きしてた」
「それは凄いね!パパなら捕まえられたかも」
とエリアスが答える。
「パパはどこ行ったの?今からでも追いかけてもらう」
「パパは、トイレに行ってるよ。ほら、エレンはもう寝ようね」
「うん。もう疲れた……」
眠そうに目を擦る娘を抱き上げてエリアスは寝室に寝かせに行くのだった。
「どうよ?私の変身の魔法は!」
「なかなかだったな、コスプレみたいな感じだったけど」
ミラが言いレンは答える。
そう、レンはミラの魔法によってサンタに変身していたのだ。変身する魔法というのも大賢者にかかれば楽勝なようだ。
「お疲れ様、レン。エレン喜んでたよ!」
とエリアスが戻ってくる。
「良かった良かった、頑張ったかいがあったよ」
とホッとする。これで違ったら悲しくなってしまう。
「ふー、寒かったぁ」
と扉が開いて家に入ってきたのはルティアだった。聖女としての仕事が長引いていたため遅めの帰宅だ。
「お疲れ様」
「ありがとう、レン。寒いから暖めてよ〜」
と言いながらルティアが抱きついてくる。
「なんなら私が火魔法で暖めようか?」
指先からミラが炎を出しながら言うと、
「私からも熱い拳をプレゼントしようか?」
と言いながら、ルティアが握り拳をミラに向ける。これには、ミラも両手を上げて降参した。
「ルティアの拳じゃ洒落にならないよ」
「ルティアも身体を大事にしないとなんだから無理しちゃ駄目だよ?」
「エリアスに言われると仕方ないわね」
とルティアが言う。
ルティアが持ってきていた包みからケーキを取り出す。
「これ、今日貰ってきたの。みんなで食べてって〜」
美味しそうなケーキだ。
「お!ちょうどクリスマスの話題があったか良いね!」
とミラが嬉しそうに言う。
「包丁持ってくるね〜」
と言いながらエリアスが台所に向かって行った。
「エレンちゃんには明日、食べさせてあげるわ!きっと喜んでくれるわよね」
「ああ、喜ぶよ!」
とレンが答えるのだった。
「へぇ〜、そんなことがね」
エレンとサンタについてのことをルティアに話していた。
「可愛いネックレスだったよ」
「それは羨ましいわね
とルティアがレンを見る。エリアスもこちらを見ている。
「ゴホン……あー、そうだな。2人とも目を瞑ってくれるか?」
「あら!」
「お、期待大だわ」
とエリアスとルティアが目を閉じる。直後にレンはパッと動いた。
「はい、どうぞ!」
とレンが言い2人が目を開けると、2人の目の前にはプレゼントの箱が置いてあった。
「「ありがとう、レン!」」
2人とも喜んでくれたようだ。はしゃいでいる。
「はいはい、ミラにもあるぞ」
物欲しげな目で見ていたミラにもプレゼントを渡す。
「よっしゃ!やったぜぇ」
とミラも喜んでいた。
「ケーキ切れたよ!食べよっか」
「「「メリークリスマス!!」」」
こうして、慌ただしいオリガミ家のクリスマスは幕を閉じるのだった。




