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特別編 オリガミ家のクリスマス前編

私の名前は、エレン・オリガミ。5歳なの!


パパの名前はレン、ママの名前はエリアスって言うの。


もう子供なら寝ている時間だけど頑張って起きているの。なぜなら、今夜はサンタさんと言う人がプレゼントを持って来てくれるからなの。


「絶対に捕まえてみせるんだから〜!」



と言いながら少女はベッドの上で待っていた。




「なかなか寝ないな……」


「本気で捕まえる気みたいだよ」


部屋の外、廊下からレンとエリアスが中の様子を伺っていた。どうしてこのようなことになったかというと……




夕飯時……


「今日は、サンタさんが来てくれる日なの!」


とエレンが楽しそうに狼の耳を揺らしながら言う。それに対してレンとエリアスがポカンとした表情をして見つめる。


「サンタさんか、誰に聞いたんだい?」


「んー、ミラお姉ちゃんが言ってた!なんでも欲しいものを貰える日なんだって。だから楽しみなんだぁ〜」


と答える。エレンは、よく大賢者ミラの所に遊びに行くため、その話を聞いたのだろう。


(ミラか……)


(これは、プレゼントを用意しないとエレンがショックを受けるかも)


レンとエリアスが視線を合わせて会話する。いきなり夢を奪ってしまうのも嫌なものだ。可能ならばどうにかしたいなとレンは思った。


「それで、エレンは何が欲しいんだ?」


「パパには秘密なのよ!」


ガーンと言う音がエリアスには聞こえた気がした。最強のユニークスキル使いと言えども、娘には勝てなかった様だ。


エリアスは、後で慰めようと思いつつエレンに声をかける。


「じゃあ、ママに教えて!サンタさんにくださいって一緒にお願いしよう!」


「うん!わかった」


と言いながら、2人が離れていく所をレンは、悲しげな視線で見ているのだった。





「ほらー、元気出して〜!レイもパパを励まそう」


エレンの弟をあやしながらエリアスが言ってくる。まだ一歳ほどで、真っ白な髪、顔はレンに似ている。どこか空想の英雄を懐かしく感じさせる子だ。


「あうあう!」


「おお〜、元気出た。それでエレンはなんて」


「それがね〜」


と言いながらエリアスが説明する。





「素材がどう考えてもドラゴンだな」


なんでもエリアスがつけているのと同じネックレスが欲しいらしい。


「青色のが良いって言ってたから、蒼龍だね」


「アイテムボックスにも入ってない素材だからなぁ……町で売られてはいるけどこの時間じゃ店も閉まってるしなぁ」


もう少し早くにサンタのことを知れていれば良かったのにとレンは思う。


「どうしようか……」


「狩に行くしかないか」


レンにかかれば蒼龍など相手にならない。だが、問題はどこにいるかだ。


「それに、エレンはサンタを捕まえるって。ミラが、捕まえたらプレゼント一杯貰えるって言ったらしくて」


「おいおい、無茶なこと言うな……」


とエリアスと話していると、



「こんばんわ〜大賢者様がご飯食べに来ましたよー」


とのんびりとした様子でミラが入ってくる。


「その前にミラ、蒼龍の出る場所って知ってる?」


「ん?そりゃあ、知ってるけど」


「じゃあ、そこに連れて行ってくれ。エレンのクリスマスプレゼントを取りに行くから協力してくれるよな?」


レンはミラの肩に手を置いて微笑む。


「あらぁ〜、私なんかしちゃいました?」


「ほらほら、転移使ってくれよ?」


とレンが言い、蒼龍を倒すためにミラを巻き込んで向かうのだった。

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