381話再会と時間稼ぎ
リータ、私はあなたの心を取り戻す!」
レンとベルゼのいる場所から距離をとった場所、そこでマグノリアは愛する息子リータと対峙する。全ては、我が子の心を取り戻すため。
杖を突き付けながら、リータに迫ろうとすると。リータは、杖を下に落として手を上げる。
「何のつもり?」
「《デリート》っていう力で母さんは、元に戻ったんでしょ?僕もだ。英雄が最後の力で僕を助けてくれた」
流れる涙は、嘘偽りのないものだ。それくらいマグノリアでもわかる。
「嘘……」
「ずっと寂しかったよ、ママ」
マグノリアは駆け出してすぐさまリータを抱きしめる。ここまで長かった。お互いに沢山の罪を重ねてしまったことだろう。だが、それでもこの一時が幸せだ。
「ごめんなさい、守れなくて……」
「戻れて良かった……」
失ったものも多いが、大切なものも残っている。
「感動の再会じゃねーか、良いもんだね」
「シャン!」
リータを庇うようにマグノリアが杖を構える。だが、杞憂に終わった。
「大丈夫だよ、母さん。シャンさんの洗脳も解いたから敵じゃない。協力者だ」
「そういうことだ。優秀な息子じゃないか」
とシャンが言う。スティグマとして戦っていた時の嫌味な様子はない。
「これから、どうするつもり?」
「そりゃあ、我らが元帥様にお礼をしてやらないとな。随分と世話になったからよ」
怒りを感じさせる物言いにシャンの因縁の深さを感じた。
「今も1人で……いえ、仲間と共にレンさんがベルゼに抗っています。援護ができれば良いのですがね」
「ありゃ、どっちも化け物みたいな力だ。下手すると迷惑をかけかねねーな」
「ええ、でもきっとチャンスが来る。レン・オリガミならきっと勝機を引き出してくれるはず」
反撃の機会をマグノリア達は待つため、見守るのだった。
「一気に叩きたいね、転移魔法!」
ミラが魔法を発動すると、別々の方に散っていたエリアスとルティア、2体の魔人が近くに現れる。
「マキシマムマジック、ドラゴニックファイヤー!」
「聖拳!」
「フェンリルの咆哮!」
一斉に攻撃を浴びせる。だが、魔人もかなりの耐久を誇っているようだ。
「別々で戦ってもいけるかと思ったけど、意外とかかりそうだから。私が纏めて範囲魔法でダメージを与える。2人は時間稼いでくれる?」
「わかった!」
「ええ、任せなさい。聖域!」
エリアスが頷き、ルティアが聖女の力を振るう。周囲に、光が溢れ出した。
「力が沸いてくる!」
「ええ、時間を稼ぐわよ」
エリアスとミラが魔人に向かう。
「よし、やるぞ。師匠力を貸して!」
ミラが詠唱を始めるのだった。




