375話挨拶と魔人対策
「出発ですか……私達も一緒に向かいたい所なのですがね……」
「ハルカさん、無理はしないでください」
起きあがろうとするハルカを布団に戻す。魔王城防衛の戦いに於いて、多くの者が重症を負っている。救国の英雄の者たちも例外でなく、ハルカやアルファードは相当に無理をして戦ったらしい。
「情けないものです。弟子の戦いを助けることもできないとは」
「師匠の分も私が頑張るから!身体を早く治してくださいね」
とエリアスが言う。
「そうですね、今の私では誰も守れない。休みながら勝利を心待ちにしておきます」
「はい、勝ってきますから。世界を救って」
ハルカが頷いて、アイテムボックスから武器を取り出す。
「これを持っていってください、少しは戦闘の役に立ってくれるかもしれません」
銃やハルカの刀などもある。
「良いんですか?」
「ええ、私が役に立てない分、代わりになれば」
ありがたく受け取ることにした。武器が多ければ多いほど助かるものだ。アイテムボックスに仕舞わせてもらう。
「絶対に勝って返しに来てくださいよ?借りパクしないこと」
「「はい!」」
レンとエリアスが頷くのだった。
「よぉ、レン!来たか」
「アルファードさん」
王国最強の英雄であっても、先の戦いは堪えたようだ。
「悪りぃな、何もかも背負い込ませてしまって。まだ復調するまでに時間がかかりそうだ」
「アルファードさんが魔物をたくさん倒してくれてたから、あの時、俺たちはベルゼに集中出来ました。負けてしまいましたけどね」
「負けてないよ、レン君」
「フェインドラさん……」
神聖国聖騎士長だ。
「聞いているさ、心が折れても立ち上がったんだろ?なら君は負けていない!勝負はまだついていないからね。それに、君はきっと勝てるはずだ」
「俺は、勝てますかね……」
とレンは聞く、
「もちろん!」
「当然だ」
アルファードとフェインドラの2人がレンの肩を叩くのだった。
一通り挨拶して、歩いているとクシフォンとフィーズがいた。彼女らも魔王が死んでからは忙しそうにしている。
「いくのじゃな?レン。ここで力を蓄えると言うことも出来るが……」
「ああ、行くよ。じゃないと、王国も神聖国も滅びてしまう。そんなの見てられないさ」
「貴様ならそう言うだろうな。そうでなければ、レンらしくない。勝てよ!」
フィーズが励ましの言葉を送ってくれる。そして、手を伸ばしてくる。
「ああ、勝ったらまたここに遊びに来ても良いか?」
フィーズと握手しながら聴くと
「お前たちならいつでも歓迎するのじゃ!」
とクシフォンが答えるのだった。
みんな一通り、挨拶が終わり集まる。
「魔人はもうそろそろ王国や神聖国に近づいてくる頃だね」
ミラが地図を見ながら答える。
「そうか、どうやって戦うか……」
魔人を確実に一体一体掃討していった方が早いだろうか?と思いつつ呟く。
「なら、私達に提案がある!」
とエリアスが言う。
「提案?」
「そう、レンはベルゼの相手、マグノリアがリータの相手。そして残りの6人で6体の魔人の相手をしてレンのユニークスキルを取り戻す!」
と答えるのだった。




