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38話 ワイバーンとレンの弓矢

ギルド長フィレン・アーミラも他の冒険者と同じように呟いていた。


「まさかワイバーンまでいるとはね」


バリケードを作り迎え撃つつもりが大きく狂ってしまった。


確かに予想はできたのかもしれない。今までに経験してきたモンスターパレードには、飛行する魔物が出たことがなかった。


それにフィレンは、ギルド長になり冒険者は引退している状況だ。久しぶりの戦闘となり、油断が生まれたのもあったかもしれない。


「これは、私が対応しなければならないわね!落ちたステータスでどこまでやれるかわからないけど…」


自分の落ち度で招いた失敗を挽回しなければと思うフィレンであった。ただ冒険者を引退し、身体を動かすことが減ったのでステータスは低下している。昔のように戦えないかもしれないのが不安だった。




ワイバーンの存在に気づいたのはAランクパーティの3人も同様だった。


「モンスターパレードにワイバーンが出てくることなんてあったか?ナティア」


とガレスが聞く。


「あんたが知らないなら私も知らないわね。出たことはないはずよ!」


とナティアが答える。


「魔物がこっちに来ますよ!」


とカーラが言った。


「まずは目の前の敵だな!」


それぞれが武器を構える。




見張り台の上に立ちフィレンは、弓矢を持つ。豪華な装飾のなされた、英雄が持つにふさわしい武器だ。


「精霊よ、私に力を貸して」


フィレンは、ユニークスキル精霊魔法を発動する。


矢に魔法がまとわる。


「穿て!」


フィレンの放った矢は、ワイバーンに命中し瀕死の状態にして墜落させる。そして落ちた先で冒険者達がトドメを刺していた。


「腕はそんなに落ちてないわね」


とフィレンは呟きまだまだ来るワイバーンに狙いを定めるのだった。





バリケードの近くには、多くの魔物が殺到し、破壊しようとしていた。だが街の大勢の魔法使いによって強化されたバリケードは崩れない。


そこを冒険者達があらゆる手段を使って攻撃を加えて倒していく。


「押し切れるぞ!」


バリケードの方は大丈夫なようだ。





レンとエリアスは、魔物の群れを左側から襲撃していた。


「ファイヤボール!」


無数の火球を魔物達に飛ばしていく。魔物だらけなので狙う必要もない。適当に撃っても当たるのだ。


「ガァァァァァァァ!」


魔物達が悲鳴をあげながら倒れていく。


「前より威力が上がっているな!」


明らかに強くなっている。


こちらに狙いを定めた魔物を今度は剣を使い切っていく。それにエリアスも続く。




エリアスは、レンの戦いに懸命について行っていた。


レンは、強い。エリアスは、気づいていた。レンが自分に気を使いながら戦っていることに…

自分も少しでも頑張らねばと魔物を倒していくのだった。


「ライトニング!」


レンが魔物達に雷を落とした。周辺の魔物を一気に倒していく。


レンは、上空を見上げながら呟く。


「ギルド長は、1人でワイバーンと戦っているのか…」


さすがに厳しい戦いだなとレンは思った。




MPポーションを飲み干しながらフィレンは、ワイバーン達と戦っていた。


「やっぱり昔より力が落ちてるわね……」


エルフであるため、見た目は若いが年齢は200歳は超えている。10年前と今では大きな差がある。


国を救ったあの時より、身体の動きが悪い。昔ならばワイバーンごときに遅れはとらないだろう。


フィレンは、戦いが厳しいと考え、切り札を使うことにする。



これまでとは違う矢を取り出す。そしてそれを放つ。


放たれた矢をワイバーンは躱す。


「グァハー」


馬鹿にしたような声をワイバーンが上げる。


だが外れた矢はUターンし、ワイバーンを貫いた。そして止まることなく他のワイバーンを貫いていく。





遠目からそれ状況を見ていたレンは、驚いていた。


「なんだあれは?あんなのステータスになかったはず…」


フィレンの戦法に驚かされた。






だがそれも長くは続かない。20体目くらいのワイバーンを貫いた所で矢が折れてしまった。


「さすがに厳しいわね、MPもなくなってきたし」


膝をついてフィレンは呟く。無限かと言わんばかりにワイバーンが飛んでくるのだ。


これ以上はワイバーンを止められないと考えた時に声がかかる。




「俺が代わります。ギルド長!」


隣には、いつの間にかレンが立っていた。


「あなたいつの間に!」


と言ったフィレンの言葉にレンは微笑むだけで、答えず弓を取り出す。


そしてアイテムボックスから取り出した矢をつがえ放った。


その矢はワイバーンに当たった瞬間、大量のワイバーンを巻き添えに大爆発を起こした。大量のワイバーンが生き絶え地に落ちていく姿はとても信じられないものだった。


「あなたは、一体…」


フィレンは、ただ戦慄していた。


レンは、冷静に次の矢をつがえ、放つ準備をするのだった。

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[良い点] 「俺が代わります。ギルド長!」 カッコイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ どんどんやれ〜! (`・∀・)ノイェ-イ!
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