372話6つの力と捜索
「レン、ボーっとして疲れた?」
「あ、大丈夫だ。リディエル神とフェンリル様と話をしてただけだから」
「え!フェンリル様に会ったの?どんな話したの?」
フェンリルの話が出るとエリアスの反応が凄まじい。力を貰った相手でもあるから、気になるのも当然なのだろう。
「勝手にエリアスの力を使ったから怒られるかなぁって思ったけど、励ましてくれたよ、絶対に勝てって!」
「良かったね〜。これは、勝たないとだね!」
「ああ、リディエル神様とも話せた。それに希望が見えた。これはみんなにも話さないといけない」
とレンが言い、仲間を集めるのだった。
「それで、話って何かしら?」
「ああ、ベルゼとの戦いについて相談したいことがあるんだ」
と話を切り出す。
「あ、もしかして後衛になりとか?前線は嫌だぁぁぁぁぁ!みたいな。ならば、私が前衛で全てを薙ぎ払うとしましょう」
ミラが杖を掲げて、宣言する。
「違う違う、ミラが余りにも役に立たないから補欠にしようって話だ」
「なん……だと。私が役に立たないだとぉぉぉ!」
こちらに、飛びかからん勢いであるためルティアに抑えられる。
「冗談だよ、ミラ。大賢者の力、頼りにしてる。それで、みんなに話さないといけないのは、俺の喰われたユニークスキルについてだ」
ユニークスキルと言った瞬間に、周囲の反応が大きく変わる。それだけ大事な話になるというのを感じ取ってくれたのだろう。
「6つのユニークスキルを取り返せるかもしれない」
「そのユニークスキルって、ベルゼが持ってるの?」
ユニークスキルがどこにあるかについても説明しなければならない。レンは、リディエル神に聞いたことをみんなにも説明した。
「混沌の魔人が6体ね。強さはどれくらいかしらね?」
「それはわからないですね、戦ってみないことには……」
フィレンの質問にレンが答える。相手の強さは未知数だ。流石に、ベルゼより強いということはないだろうが……
「万全に備えをしておきたいものだな。そいつらを倒せれば、勝機は大きく上がるんだろう?」
「ああ、そうだと思う。今の俺ならユニークスキルを奪われることもないし、スキルが戻れば倒し切ることも出来ると思う」
「そうか、希望が出てきたな」
アンナがアイリを見ながら頷く。
「じゃあ私が、その魔人がどこにいるか探してみる!」
「出来るか?場所を把握できればかなり楽になるな」
「大賢者様にお任せなさい!」
と言いながら、ミラが杖を振ると魔法で作られた鳥が6羽現れる。ミラが指示を出すと、空に舞い上がって飛んだ行った。
「見つけたら私に連絡が来るから、みんなに教えるよ」
「助かるよ、ミラ。後は、敵が見つかるのを待ちつつ力を少しでもつけたい所だ」
ユニークスキル《アーカイブ》は、まだ使いこなすのに時間がかかりそうだ。
混沌の魔人が発見されるまでの間、少しでも修行に励むことになった。レンは、6人にそれぞれの戦い方を教わるのだった。




