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346話生贄の空とベルゼの笑み

 城の半分以上が、積み木の城のようにあっけなく崩れていく。そんな中をレンは、フィーズを担いで脱出した。現在レンは、魔王城の外を魔法で飛んでいる。


「クシ……フォ……さ、ま」


「これ以上喋るな、猛毒を《アンインストール》」


 シャンが与えた毒は、かなり強力なものであるようだがフィーズは敬愛するクシフォンの名を呟いていた。


 ユニークスキルで解毒をなかったことに出来たが、それでHPが戻るというわけではない。安全な所に移動しなければ不味い。



「レン!」


「レンさーん!」


 頭上から声が降ってくる。見上げると、片翼で空を飛びながらアンナとアイリが向かってくる。丁度良い所に来てくれたと思う。


「フィーズを頼んでいいか?安全な所に運んでくれ!」


 回復のためのポーションも渡しておいたため、死ぬなんてことはないだろう。


「レンはどうするだ?」


「クシフォンが連れて行かれた。取り返さないと」


 と言いながら最大速度で上空に向かって飛び上がる。魔門が開いた時点で負けに近い状況になるかもしれない。




 

「娘を返せ!ベルゼェぇぇぇぇ!」


「ならば、取り返してみるのじゃな!」


魔王とベルゼの空中戦は、激しいものだった。そこにレンは追いついたが、手を出すのが難しい。


「どうにか先回りして!転移」


 ベルゼの飛ぶ先に移動してクシフォンに手を伸ばすが、ギリギリの所で届かない。


「ほう、追いついてきたか。そろそろ、お遊びもお終いじゃよ!」


「ああ、貴様を倒して娘を取り返す!それで終わりだぁ!」


 魔王とレンが懸命にクシフォンを取り返そうとするが、それでも届かない。時間も流れ焦りも生まれる。



「ここは!」


 上空に魔法陣が現れている場所に出た。黒い紋様で書かれており、不気味さがあった。


「ここで魔門を開く気だな……」


「そうじゃ!ここで後は生贄を与えるだけじゃ。もう世界はワシの手中も同然。神すらも食い潰してくれよう」


 と腕を広げて演説するかのように宣言する。


「させてたまるか!」


 アイテムボックスから魔法弓を取り出したレンは、全力でそれを引き絞って放つ。


「矢など効かぬわ!」


 と言い拳で矢を振り払った瞬間に大きな爆発を起こす。これには、ベルゼであろうとも事前に対処することは出来なかった。


「ただの矢じゃないじゃと!しまった!」


 驚いた衝撃でクシフォンを手から滑り落としてしまう。


「魔王!クシフォンを」


「ああ、レン!助かったぞ!」


と魔法がクシフォンを受け止めようとそこに向かう。これでクシフォンを取り戻したので逃げるだけだとレンは思い、ベルゼを見る。


だが、ベルゼは笑っていた……これから起きることを楽しみにするかのように


「なんだ……一体、この感覚は」


これは間違いなく何かが起きると確信した。


「ほっほっほっ!」



直後、クシフォンを受け止めるために飛んでいた魔王の身体を魔法が貫くのだった。


「よくやったのぉ、リータよ。ほっほっほ」


と血液が空に花開く様を見てベルゼが笑うのだった。

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