343話魔物転移とユニークスキル
「お前、私の息子に何をした!」
ベルゼに向かってマグノリアが声を上げる。目の前にいるのは自らが産んだ息子。明らかに何かをされたのだろう。
「お主が良くわかっておるじゃろう。家族で仲良く呪印を与えておったのよ」
「やっぱりあなた達は、最低だわ」
マグノリアが吐き捨てる。湧き上がるのは怒りだ。杖を構えてベルゼに狙いを定める。
「リータよ、そこにいるお主の母親と遊んでやってくれるかのぉ?」
「かしこまりました!」
と言いながらリータが杖を構える。直後に魔法が発動された。
「魔物が!」
レンが声を上げた。リータが使ったのは、転移魔法だと予想する。今、レン達の周囲には大量の魔物が現れていた。
「そろそろ、娘をもらおうかのぉ!」
とベルゼが言うのだった。
「城に攻撃されてる!急がないと」
魔人と化したサジャードを相手にしながらエリアスが呟く。先程、魔王城に穴が空いた。と言うことはあそこがベルゼによって攻撃されたのだと予想した。
「アヒャハハハ!」
サジャードは、すでに人だった時の形を保っていない。ただ、目の前の相手を殺す本能を持つ獣になっていた。
「速い!ぐぅ……」
全てを捨て切ったサジャードに対してエリアスは苦戦を強いられていた。レンの元に戻りたい気持ちが余計に焦らせる。
「ヒャハハハ!アヒャハヒィハ!」
サジャードは、そんなエリアスを笑っているかのように声を上げている。
「落ち着かないと……相手を良く見て……」
エリアスは、目の前に相手に集中することにした。相手もこちらを逃してくれる様には見えない。
「アヒャハハハ!」
サジャードがエリアスに向かって突っ込んでくる。エリアスは、それを見据えながら……
腕が宙を舞った。それは斬られたサジャードの腕だ。
「アヒャハ?」
斬られたサジャードも違和感を感じたのか疑問の声を上げている。
「見えた。これもきっとレンのお陰……」
エリアスは、呟き再び集中する。
再びこちらに向かってこようとするサジャードを見据えながら言うのだった。
「ユニークスキル《予測変換》発動!」
直後のエリアスの攻撃によって、サジャードの四肢が飛ぶのだった。




