339話分担と対龍戦
「レンは、クシフォンを守る切り札だからここから出たら駄目。龍とは私が戦う」
エリアスが名乗り出る。確かにレンがここにいるかいないかでクシフォンの生存率は変わるだろう。
「そうだな……そっちは任せる。だけど、他にも誰か」
「ならば、私とアイリも行こう」
アンナやアイリが名乗り出る。
結果として龍の方には、エリアス、アンナ、アイリ、フィレンが向かうこととなる。
クシフォンのそばには、レン、レミ、マグノリア、フィーズ、魔王が残ることになった。
「何が起きるかわからない。気をつけてね、レン」
「エリアスも」
2人だけの会話を行い、魔法を発動する。
「転移!」
エリアス達は、城の頂上に転移で現れた。魔王城ともなればかなりの高さだ。ここからならば龍を狙うこともできる。
「あれは、黒龍……どうにも縁があるなぁ」
と言いながらエリアスは剣を引き抜く。空には、かつて戦ったものより大きい黒龍が6体ほど飛んでいる。
「迷宮都市じゃ経験することもない乱戦になりそうだな」
「魔物が多すぎて、大丈夫かな」
アンナとアイリも武器を構える。
「私が援護するわ、これ以上城を攻撃させるわけにはいかないわ!」
フィレンが言いながら弓を引き絞って矢を放つ。
「行こう!」
「ああ!」
「はい!」
エリアス、アンナ、アイリの3人が龍に向かって城の上を走り始める。
「私が注意を引きます!その間に攻撃を。挑発!」
アイリがスキルを発動して、自らが囮となる。
「フェンリル!」
「剣神の舞!」
アイリに狙いを定めた龍が向かってくる。それにエリアスとアンナは、それぞれの加護の力を発動する。
「今!」
「飛ぶぞ!」
ジャンプして龍に飛び乗る。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
エリアスが剣を黒龍に刺す。場所的に確実に魔石を貫いたことだろう。
「ガァァァァァァァァァ!」
黒龍が悲鳴を上げて地上に落ちる。そのままエリアスも落ちそうになるが、
「私も力を借りるね、レン。《インポート》」
ルティア達がやったようにエリアスも自らユニークスキルを発動する。片翼が現れたエリアスは、空に浮いていた。
アンナの方も龍を倒し、同じくユニークスキルを発動することに成功して浮いていた。
「アイリが頑張ってる!次いくよ」
「ああ、こっちは任せろ!」
エリアスとアンナは、それぞれ龍を討伐するためアイリが気を引いている龍目掛けて飛び込むのだった。




