324話今の幸せと戦いへの幕
これにて帝国崩壊編は、終わりとなります!
「結婚したし、これで死亡フラグは回避ね!盛大にスティグマとやれるわね!」
とミラが言う。まさか、そのために張り切っていたのではないだろうか?と思う。
「結婚しようも新婚も危ないって聞くわよ」
「あ、やべっ。考えてなかった!」
ルティアに指摘されてミラが驚く。やはりミラは、フラグを考えて動いていたようだ。
「お約束は、かなり通じないぞ。ミラらしいといえばらしいが」
「そうだよね〜、お約束なら私は今頃、世界征服して魔王になってたはずなのに」
随分と危険なことをいうものだな……と思う。
「ミラの話は、いつも突拍子もなくて面白いね」
すぐ隣のエリアスが言う。
「そうだな、それはそれとして近くない?」
エリアスとレンとの距離感は、ゼロに等しい。
「やだなぁ、レン。いつもと変わらないよ」
とエリアスが言うが、変わっていると思う。
「急にあからさまになったわね、エリアス」
「ルティアも隣にくれば良いじゃない」
とエリアスが反対側を指すと、ルティアも移動する。レンは、両手に花の状態だ。
「ほぉ、熱いですなぁ!この幸せがいつまでも続くと良いんだけどね」
ミラがふと呟く。
「ミラって、時々良いタイミングでまともなこと言うわね」
「ミラの真面目な所も好きだなぁ」
ルティアとエリアスが言う。
「私がボケるのも余裕がある時だけだよぉ〜。さすがにクラスのヤンキー女子に絡まれた時は、ふざけられなかったなぁ」
元の世界でのことを思い出している。
「やんきぃ?」
「まあ、チンピラだな」
エリアスの疑問にレンが答える。
「ミラってチンピラによく絡まれるのね」
そういえば、迷宮都市でミラに初めて会った時も絡まれていた。
「あれは、本当に危なかった。レンに会えなかったら、酷い目にぃ……」
と顔を青くする。
楽しく4人で話していた所、聞いたことがある声が聞こえる。
「レン・オリガミか!」
現れたのはつり目の魔族の女性だった。彼女とは、王都での武道大会で会っている。
「フィーズ……こんな所にどうした?」
「頼む、私達を、クシフォン様を助けてくれ!」
フィーズが頭を下げて頼み込む。
「まさか、スティグマ?」
「ああ、そのまさかだ。クシフォン様を攫うつもりだ。今はどうにかお守りしているが、力が足りなくなるかもしれない」
エリアスに答える。
敵は、早くも動き出そうとしている。自分達もモタモタしているわけにはいかないだろう。
「のんびりと新婚気分にもさせてくれないのね」
「いよいよ決戦の時ですかぁ!」
ルティアとミラが声を上げる。
「助けてくれるのか?」
「ああ、それにスティグマは世界すら滅ぼすつもりだ。魔王様もいるんだろ?協力してここで叩きたいな」
魔王ともなればかなりの実力者だろう。彼の力を得られれば勝機も大きい。
「ありがとう、すぐに出れるか?」
「出来るだけ、人手が多い方が良いからな。人を集めるから少し時間をくれ」
と答える。レンは、フィーズが頷くのを確認するとすぐに行動を始める。
一大決戦の幕が間もなく落ちようとしていた……
帝国崩壊編、完
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