320話ファンと新居
「こちらの方がバレルラ様を助けてくださったレン・オリガミ様です。妹の面倒も見てくださってるんです」
と言いミディア王女がレンを紹介する。
「初めまして、レン・オリガミ殿。もうすでに無くなってしまったが、帝国の皇子のバレルラだ。助けてくれたこと感謝する」
目が覚めた皇子にレンは面会しているのだった。レンは頭を下げて、答える。
「殿下を助けるためならば、目を覚まされたこと嬉しく思います」
〈礼儀作法〉を使いながら挨拶を行う。
「私からもお礼を言わせてください、母を助けてくださったのもレン様ですし、大切な人を2回も助けて頂きました。ありがとうございます」
とお辞儀する。とても素晴らしい仕草だ。
「ミディア様の顔色も良くなられて安心しました。長話でまた調子を崩してはいけませんので、私はここで退出しましょう」
と言いながらお暇しようとする。すると、皇子が近くに来るように合図する。なんだろうかと思いながら近く。
「実は、君のファンでね。どこか暇な日にでも僕に君の英雄譚を聞かせてくれないか?レン」
顔を輝かせて嬉しそうに聞いてくる。さっきまでの様子とは違いこちらが素なのかもしれない。
「ご期待に添えるかはわかりませんが、ぜひ」
と言いながらレンは退出するのだった。
部屋を後にして、廊下を歩いているとエリアス達がやってくる。
「どうだった?皇子様は」
「ああ、元気そうだったよ。ルティアのお姉さんもな」
と伝える。
「なら良かったわ!さーて、用事も終わったみたいだしご飯でも食べに行きましょう!」
とルティアが提案する。
「随分と食べるけど、栄養はどこに行ってるのか興味深いね?」
とミラがルティアを見る。
「なによ、どこを見てるのかしら?」
「ミラの視線的に身長と胸?」
ルティアの疑問にエリアスが答えた。直後、ルティアがミラに飛びかかろうとする。
すぐさまレンがルティアの腰に腕を回して捕まえるが、かなりの力で抜け出そうとしている。
「このぉ!言ってはいけないことを言ったわ!1発殴らせなさい!」
「おお、怖い怖い。性格も胸みたいに控えめなら良いのにね〜」
とルティアが拘束されてるのを良いことにミラが煽る。
「お姉様みたいにもう少しお淑やかにしたらどうだ?ルティア」
「私は、私よ!レンは、私がお淑やかになれば好きになるのかしら?」
と聞いてくる。なかなかの難問だ。
「いや、今のままの方がルティアは良いのかもな」
と答えると、でしょう?とない胸を張っていた。
「そういえば、お父様が呼んでいたわ!大事な話がしたいって」
とルティアが言う。
「報酬かな?凄い物貰えるかなぁ」
ミラは、ニヤニヤしている。
「そういえば、神聖国に行く前に家を貰えるって言ってたね!」
「ああ、家は嬉しいな。エリアス、欲しい家具を買いに行こう!」
「そうだね!クッションとか欲しいなぁ」
とレンとエリアスが楽しそうに会話を始める。ワイワイと家の話を始めるレンとエリアスにルティアとミラは蚊帳の外になるのだった。




