318話報酬と敵の戦力
「よくぞ皇子を助けてくれた、レン殿。如何なる言葉を用いようとも感謝の気持ちを表し切れないほど大きいものだ」
「仲間がいたからです。今回のディザスターとの戦いはみんなで勝ち取った勝利だと思います」
とレンは答える。強敵がいたにも関わらず、よく無事に全員で戻ってきたものである。
現在、皇子は眠っているため第二王女ミディアは付きっきりである。目立って怪我もなくその内目覚めるとのことだ。
「娘に悲しい顔をさせずに済んで良かった。本当にありがとう、レン殿。皆にも感謝を」
と礼を言う。
「お父様、レンへのお礼がかなり貯まってるんじゃないかしら?」
とルティアが言い出す。
「ルティア……」
レンは呆れたような声を出す。
「レンは無欲過ぎなのよ、国を救う規模の頑張りなんだから報酬は必要よ!」
自分の父親に報酬を要求するルティアもなかなかだなと思っていると国王が口を開く。
「当然だ、ルティア。レン殿には活躍にふさわしいだけの報酬を払う。レン殿が満足してくれるかは難しいがな」
「そんな、頂けるものに文句なんて言いませんよ」
とレンは言うのだった。
報酬の話は後ですることになり、今後のことについて話すことになる。
「魔王領……そう言ったのね?」
「ええ、そこで強力なディザスターを召喚して力を喰らい我がモノにすると」
レンは、スティグマ元帥ベルゼの言っていたことを告げる。その通りであるならば、敵が現れるのは魔王領のどこかになる。
「元帥ってのが、1番スティグマで偉い人なんだよね?」
「多分、そうだろうな」
エリアスにレンが答える。
「うーん、じゃあそいつを倒せば良いわけだ」
「簡単に言うわ、あれはどう考えても勝てそうにないわよ」
ミラに対してルティアが言う。完全に遭遇したというわけではないが、ベルゼの気配だけでも不味いと感じたようだ。
「もしも、元帥ベルゼがディザスターの力を手に入れたらどうなると思う?」
国王が質問してくる。それについては語ってはいなかったが、予想はつくだろう。
「世界すら滅ぼそうとするのもあり得るかと」
全てを喰らい尽くそうとする意志があれには現れている。
「勝てる?レン」
「厳しいかもな……正直相手にしたくない。神聖国じゃあ、腕も飛ばされたし」
ただでさえ、厳しい相手なのにディザスターの力すら取り込めると言うのなら相手になる気はしない。
「これは、救国の英雄含め、あらゆる戦力を注がなければ世界すら危うい事態になりそうだ。時間も待ってくれそうにないか……」
と国王が唸る。
「相手には、元帥ベルゼにマサト……サジャードも回収されただろうし、暗殺者シャンとベルゼに使えてたヒラルテという奴だな……」
これだけでも厄介と言えるメンバーだ。
「聞きたいのだけど、ヒラルテって人はどんな人だったの?」
とマグノリアが聞く。
「転移とけ使ってたので、魔法使いだとは思いますけど……あなたが知らない奴がスティグマにいるんですか……」
マグノリアほどの幹部にも知らされてない情報があるのは厄介だ。
「ええ、元帥自体これまで関わることが少なかったからね。その部下を知らないこともありえなくはない。レンが厄介で最近、動き始めたのかもしれないわ」
と返ってくる。
これは、みんなと良く話し合って行動しなければと思うのだった。




