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特別編 1匹狼のエリアス②
特別編です!
「ママ、この本読んで〜」
娘に差し出された本を母親は受け取る。そこに書かれている題名は、1匹狼のエリアス……と言うものだ。
「新しい本?この本どうしたの?」
これまで我が家で見たことがない本だったため聞く。母親には、大方予想は出来ているが。
「この本はね、パパが買ってくれたの!主人公のエリアスがとても素敵だって」
と言いながら膝の上に、よじ登り座る。
「やっぱり」
夫の娘への甘々っぷりは凄いものだ。きっと本をねだられて、これを買ったのだろう。
「それじゃあ、読もうかな。1匹狼のエリアス……」
と言いながら話が始まる。娘は母に背中を預けその話に聞き入った。
ある所に、エリアスという名前の女の子がいました……
とても可愛らしい狼人族の女の子です。彼女の父と母は、エリアスをとても可愛がり大切に育てました。
「とっても可愛いんだ〜、私とどっちが可愛いかな?」
と娘が聞いてくる。
「あなたの方が可愛いわよ」
と頭を撫でる。
この本は、数年前に起きたスティグマによる大災厄に立ち向かった者の1人であるエリアス・ミリーの人生の本である。




