188話準々決勝終了と刺突
昨日は、日間ランキングの端に載ったり、総合評価が2400を突破したりと良い1日でした。
ありがとうございます!
「ステータス不運……これをやったのはレンじゃな?予想を超えるようなことをしてくれるのじゃ」
真面目な表情になったクシフォンがレンを見据えてくる。
「さてな?お前の運が本当に無くなっただけじゃないか?」
素直に認めるのもシャクなのでとぼけてみる。
「それでも、レンのMPも残り少ないはずなのじゃ!妾が決めさせてもらう」
と言いながらクシフォンがこちらに向かってダッシュしてくるが、レンは余裕だ。
『マスターも人が悪いですね。クシフォン・ニアードに付けた不運、かなり強力なものですね?』
やはり準備をさせたナビゲーターさんはわかるようだ。実験も兼ねて強力なのを用意させてもらったのだ。その分MPを取られることにはなるが……
「気をつけた方が良いぞ?」
忠告を行なったが次の瞬間にクシフォンが、壊れた舞台に足を引っ掛けて転んでしまう。
「のじゃぁぁぁぁ!」
なんとも見事な転びっぷりにレンは驚いてしまう。のじゃって言いながら転ぶのはなかなか面白い。
「まあ、運が悪かったな」
と言いつつレンは、控え室のフィーズの方に俺は何もしてませんよ?と笑みを浮かべながら視線を向けておく。
『これは、ルシファン選手何が起こったのかぁ?まさに不運なことが起きています!』
先程、レンが魔法を使った時に出た水に足を滑らせてひっくり返るなどの姿も見せている。
会場からは、驚きと笑い声が聞こえていた。
「ドンマイ、ドンマイ」
と拍手しながらクシフォンを応援する。
「こうなったら飛んで行くのじゃ!」
と言いレンに向かって空中から攻めてくる。さすがに地上では部が悪いと悟ったようだ。
「ほいっ」
レンはスッとクシフォンの攻撃を回避する。
攻撃を回避されたクシフォンは、舞台のギリギリの所で着地する。
「危なかったのじゃ」
「それは、フラグだぞ?」
とレンが言った瞬間に舞台の端にヒビが入り崩れ出す。これまでの戦闘で舞台にダメージが入っているのだ。若干、レンが舞台にダメージを入れておいたのもある。
「不味いのじゃ!」
と言いつつクシフォンが戻って来ようとするが、レンがそれを許すはずもなく……
「バイバイ」
と言いながらクシフォンを結界の外に押し出すのだった。
「あ……」
『決まったぁ!準々決勝第2試合は、レン選手の勝利だ。これで準決勝に駒を進めます!』
決着がつき会場からは拍手が上がる。
「最後は遊んでたよな……」
「腕飛ばされて再生とか……」
「強すぎるだろ……」
会場の声も聞こえてきた。確かに腕を飛ばされた時は焦ったものだ。すぐさま再生するほど甘くもないのだ。
レンは、控え室に戻るのだった。
「おめでとう、レン!」
と嬉しそうにエリアスが声をかけてくる。これでレンとエリアスが当たることが確定した。
「ありがとう。いよいよ、エリアスと当たるな」
「うん、全力で戦うからね!」
「むむむ……」
悔しそうにクシフォンがレンを見てきている。ちなみに、クシフォンにかけた不運などは解除した。解除しないと相当酷い目に遭いそうだ。クシフォンが、そしてレンも……
「残念だったな、クシフォン!あとフィーズ、特に大怪我させることはしてないぞ?何せクシフォンが運悪く負けたんだからな」
開始前に散々◯すと言われたのでお返ししておこうと思った。
「む……」
と2人して似た反応をしていたので思わずレンは笑ってしまった。
レンとエリアスは、一旦みんなの元に戻る。
「やるわね、2人とも。エリアスは、またとんでもないことをしてたみたいだけど!」
「あれは、かっこよかったね!レンのは……喜劇みたいだったね!」
とルティアとミラが言ってくる。
確かにレンは、会場のウケが良かったよなと思う。
「2人ともお疲れ様、おやつ持ってきたから食べてね」
とレミがお茶も入れてくれたため休憩するのだった。
準決勝第3試合が始まり戦っているが、そこまでレンは注目する必要はなさそうだなと思っておやつに集中した。
チャンピオンであるアルファードと同じリーグにいる時点でほとんど終わったようなものだ。レンは、確実にチャンピオンが上がってくると確信している。
「今日は、準決勝までやって終わりかしら?」
とルティアが言う。レンとしても多分そこで終わりで明日、準決勝、決勝とやるだろうと思っている。
「なら、明日いきなりレンとエリアスでしょ?今から緊張するなぁ」
ミラがブルブルと震えている。
「ミラが緊張することかよ……いつも通りやるから大丈夫だろ」
出ない人が逆に緊張するなんてのもないこともないが、そこまで震えるか?とも思った。
そして、準々決勝の最後の試合まで終わり今日の所は終了となった。明日の1試合目にレンとエリアスが戦うことになる。
「やっぱりチャンピオンが強すぎるな。対策の立てようがない……」
帰りながらレンが呟く。
「うん、余裕で戦ってるもんね。私達なんて切り札を晒しちゃってるようなもんだし……」
レンとエリアスのどちらかがアルファードと当たることは確定したようなものだ。
「まあ、まずは俺とエリアスの試合からだからな。チャンピオンとのことなんて後から考えないと」
ニカっと笑いながらエリアスに言う。
「そうだね。私もレンもお互いに負けられないからね」
とエリアスが答える。レンはとてつもない気合を感じた。
レンの身体に勢いよく刃が突き刺さる。
「かはっ……」
自らの口に鉄の味が広がり、血が溢れるのを感じた。
『動きが見えなかった!だがエリアス選手の剣がレン選手の心臓を貫いている!これは、エリアス選手の勝ちかぁ!』
エリアスのとてつもない速度にレンすらエリアスを一瞬見失ってしまった。
その一瞬はレンにとって命取りとなるもので剣は、しっかりとレンの心臓があるだろう位置に刺さっている。
「私は、あなたに勝つ!」
「俺も負けられないな!」
だが、身体に……心臓に刃が突き刺さっているにもかかわらずレンは笑うのだった。
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