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173話旧知と落ち込む母

「久しぶりね。ネーヴァン」


とレミが聖女であるネーヴァンに声をかける。


「ああ、5年ぶり位か?まさか王都に来ているなんて」


とネーヴァンが言う。


「知り合いなんですか?」


まさか2人が顔見知りとは思わず、レンは聞く。


「そうだね。何度か助けられたこともあるんだ。出会ったのは10年以上も前だけど全く変わってない変な人だね」


と懐かしそうに言う。確かにお母さんは、魔法の力か、全く変わってないから不思議だと思われるよなと思うを


「へぇ…、そんなことが」


200年もこの世界で生きてきたレミは、多くの関わりを持っていることだろう。



「レンもレミさんと知り合いなのか?」


とここでネーヴァンが聞いてくる。


本当のことを答えても良いのだろうか?と思ってしまう。が、


「私の息子よ!」


レンの考えなどつゆ知らず、レミがあっさりと答える。ドヤ顔でだ。


「息子!あなたに子供がいたのかい。それは驚きだね」


「まぁ、最近再会したばかりなんだけどね」


と嬉しそうに話す。


「通りで魔法で変えてるとはいえ顔が明るくなったと思ったよ。ずっと暗い顔してたからね」


とネーヴァンが言う。レミの過去までは知らないが、何か辛いことがあったのだろうと思っていた。そしてそれが和らいだのだろうと感じた。



レンも、母がこれまで多くの人のために頑張って来たんだなと改めて感じるのだった。






『さあ!続いて第4試合に参りましょう。続いての試合は、ルシファン選手対レイミール選手の対決です!』


試合の続きが始まろうとしていた。


「あ、妾の番なのじゃ!」


と言い歩いていく。


「クシフォン様、頑張ってください!」


とフィーズが言っている。そういえば、2人がどうしてここにいるのかを聞くのを忘れていた。大体予想がつくが後で聞いてみようと思う。


「それにしても名前が雑だ」


この世界にいると偽名が雑にでもなるのか?と思わずにいられない。



『これは可愛いお嬢さんの登場ダァ!一体どんな戦いを見せてくれるか楽しみだ。対するレイミール選手は、帝国出身で最近こちらにやってきた優秀なAランク冒険者です』


レイミールは、金髪の頬に傷のある冒険者だ。傷を見たとしても美しいと感じる者が多いことだろう。



『さあ試合開始です!』


コールと共に、レイミールが剣を抜いてクシフォンに向かっていく。


「さーて、妾も勝ち上がるのじゃ」


と言い、拳を構えるとそこに力が宿る。炎と雷が宿っていた。


「はぁぁぁぁぁぁ!」


レイミールがクシフォンに向かって斬りかかる。


「ふっ、甘いのじゃ!」


レイミールの斬撃に合わせてクシフォンが拳を振り上げると剣がポキンと折れた。


「嘘っ!」


と驚くもすぐさまレイミールが後ろに下がる。武器を壊されても動くことが出来るのはやはり上級の冒険者だ。



「へぇ、結構やるんだなクシフォン。戦闘力とかないかと思ってたが……」


武器を壊すなんてのはなかなかの技量だと思った。


「それは、クシフォン様だからな。当然だ」


とフィーズがドヤ顔をしている。クシフォンのこと大好きだなとレンは思うのだった。



「レンちょっとちょっと!」


とレミが声をかけてくる。手の動かし方的に別の場所で話をしようという合図のようだ。


「??……エリアス、ちょっと行ってくる」


とエリアスに声をかけて行くことにした。





「どうしたんだ?」


周囲に誰もいない場所に移動して話をする。会場からは未だに歓声が上がっているためまだ試合は続いていることだろう。


「今戦っている、ルシファンって子魔族よね?それにさっきレンが話してた人も魔族じゃないかしら?」


やはり魔族だと問題があるのかもしれない。


「ああ……あいつらは魔族で偽名はお母さん並みに残念だったからすぐにわかったんだよな」


とレンは答える。むしろ気付いてくれとしか言ってないような名前なので笑ってしまうものだ。


「残念だなんて……」


お母さんがわかりやすく落ち込んでいる。ズゥゥンという効果音が合いそうだ。



ごめんなさいと言ったらすぐに元気になったので、話を再開することになった。息子には甘いようだ。


「それで、魔族のことなんだけど……スティグマが最近接近してるみたいでね」


「ああ、フィーズもそんなことを言ってたな…」


フィーズがめんどくさそうに話していたのを思い出す。


「もしかするとスティグマと魔族が手を組むかもしれないのよ。それで気になってね」


「クシフォンの父親が魔王らしいんだけど、そんなことはしないらしいぞ?」


人間と魔族で不干渉となっているのでそれを破るようには思えない。



「いえ、魔王以外に良くないことを考える者がいるはずよ。もしかすると何かを仕掛けてくるかもしれないわ」


なんでも魔王が優しくても部下が戦を仕掛けたいと思っているかもしれないとのことだ。


そういえば、クシフォンが襲われたことを思い出す。


「確かに魔族が王都に入ってきてたな。そいつらは口封じで殺されたけど」


「やっぱり何かが動いているわね……スティグマに魔族、厄介なことになるわよ」


と言うレミの言葉はとても重たいものであった。

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[一言] 心まで折ろうポキッ
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