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169話余裕と第2試合

『さあ、矢の雨がエリアス選手に降り注ぐぅ!いきなり万事休すか?』


実況の声が会場に響く。


「なにっ!」


だが、矢を放ったファイドは驚いていた。


『え?』


実況、そして会場にいる観客も驚くものが多い。


エリアスに届いた矢は1本も無く、すべてへし折られて落ちている。


もちろん立っているエリアスも無傷だ。剣を持ちながらほのかに身体から電気を放っている。


『何が起こったのかぁぁ!私の目には何もみえなかったぞぉぉお!』


『そうですね。あれは、雷魔法を自らに付与して高速で動いたのでしょう』


ここで、エリアスが行ったことの説明をハルカが行う。


『そうなのですね。ありがとうございます、解説のハルカさん』


と実況がお礼を言っている。


「ハルカさんは、解説担当なのか」


とレンが呟く。


「あいつが大会に出たらめちゃくちゃになるかもしんねーからな!」


と近くでアルファードが笑う。彼女のことをよく分かっているようだ。アルファードとハルカ、戦闘となれば見てられないものになるだろう。



『しかし、お強いですね。是非とも私も勝負してみたいものです』


早速ハルカらしいコメントが発されたためレンは苦笑いを浮かべるのだった。




(ハルカさんと戦闘か……避けたいなぁ)


と心の中でエリアスは思いながら剣を構え直す。相手も実力のある冒険者だ。油断すれば足を掬われることになる。


「私は、まだ負けるわけにはいかない!ライトニング」


再び雷を強く纏いながら走り出す。


「くそっ、当たれ!」


ファイドが苦しげに矢を放ってくるがエリアスはしっかりとそれを見切っている。


「はあっ!」


矢を的確に剣で斬りつつファイドとの距離を縮めていく。


「まだだぁ!」


ファイドが何かを自らの足元に投擲した。すぐに黒い煙が出てきて視界が悪くなる。


『これは、煙玉か?ファイド選手視界を塞ぐ作戦に出たようだぁ!』


回復系のアイテム以外であれば、使っても問題ないのだ。あらゆる手段が許されている。


「どこにいるか見えない……」


とエリアスが呟く。


ファイドは、煙玉を投げたことで姿を眩ませて安心した。


「ふふっ、これなら見つかるまい……」


武器を弓から短剣に切り替える。心臓を突き刺して一撃で決めれば勝ちなのだ。ファイドは、先程のお互いの位置からエリアスの位置を考えて動く。



「さて、どうしようかな」


と呟きつつ、エリアスは武器を大剣に変える。思いつきで大剣を高速回転しながら振り回してみた。


すると案外すぐに煙が晴れるのだった。


「こんなに早いとは……」


エリアスの近くではファイドが短剣を持って立っていた。


『ここで煙が晴れましたぁぁ!距離的に短剣のファイド選手が有利かぁ?』


『確かに、大剣のエリアス選手の方が動きが遅くなってしまいますね……ですが、』


とハルカが解説する。


「この場所なら俺の勝ちだぁぁ!」


勝利を確信してファイドがエリアスに突貫する。だがエリアスは、全く動じていない。むしろどうにか出来るという反応だ。


「装備変更、短剣」


「なに!」


エリアスの武器が即座に持ち変わる。それに驚きながらもファイドは止まれなかった。


そしてエリアスの短剣がファイドの心臓を貫き、直後にファイドが外に現れた。


『勝者、エリアス・ミリー選手だぁ!これは、この後の戦いも期待が持てる。そして後衛の戦い方でありながらも見事に勝負を挑んだ、ファイド選手にも是非とも拍手を送ってくれ!』


『うおぉぉぉぉ!』


全体から強い拍手と歓声が上がる。



エリアスとファイドが握手を交わす。


「ははっ、これは格が違ったなぁ……頑張ってくれよ」


「ありがとうございます。あの正確な射撃に攻める度胸、凄かったです」


実力差を感じたファイドではあったが、エリアスの言葉が嬉しかったようだ。少し恥ずかしそうに頬をかいている。




「おめでとう!エリアス」


戻ってきたエリアスにレンが声をかける。


「ありがとう、レン。あなたも頑張ってね!私は、あなたに挑みたいから負けたら駄目だからね」


と念を押してくる。そうなに自分と戦いたいのかと思いつつ頑張ろうと思う。


「ああ!任せとけ」


どうしてエリアスがここまでレンと戦いたがっているのかをレンはまだ知らない。





『さあ、続いて第2回戦を行います!ミーズ・フォル選手対ドーゴル・ジャング選手の対決です』


フードをかぶった女性と思われる人と筋骨隆々な男の対決だ。


「すげぇ、肉体だな…」


「相手がかわいそうに見えるわ」


と観客から声が聞こえる。


『それでは、試合開始』


とコールが鳴り、始まる。


「さっさとかかってくるといい」


フードの人物が指で挑発を行う。


「オメェ、ぶん殴って終わらせてやる!」


ムキムキな腕を振り上げてドーゴルがパンチを繰り出す。大岩すらもあっさりと砕きそうな攻撃が放たれるが、予想外の流れになる。


「思ったよりも大したことはないようだな」


ドーゴルのパンチは受け止められていた。だが、パンチの衝撃でフードが外れて顔があらわになる。


灰色のセミロングの髪、そしてつり目……見たことがある顔だ。


「おいおい……あれって、フィーズ・ファルじゃないか!」


とレンは驚くのだった。

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[一言] 雑魚は雑魚 ボコボコにして欲しい
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