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101話アンナとの関係とナビゲーターの力

「今日はありがとうございました!お陰で良い鍛錬になりました」


ペコッと頭を下げてアイリがお礼を言う。


「気にしないで、また鍛えたいことは言ってくれたら手伝うから」


とレンは返事をしておく。



帰ろうと思った時にアイリが前の方を見て立ち止まる。


「どうしたんだ?」


とレンが聞くとアイリは絞り出すように目の前にいる少女に声をかける。


「お、お姉ちゃん……」


正面にいるのは、赤を基調とした服で赤い髪…人形のような顔をした人だ。


クラン、真紅の宝剣のリーダーと言われる少女。


しかし、彼女はレンとアイリに目もくれることなく迷宮に入っていく。


「あ……」


アイリは、声をかけようとするも動けないでいた。




「お姉ちゃんってことは君は彼女の妹なのか?」


疑問に思ったことを聞いてみる。


「えっと…本当の姉じゃないんです。彼女の名前は、アンナ・フェロル。クラン、真紅の宝剣のリーダーと言われています」


「たしかに、街で噂されてたな。もう少しで50階層を攻略するらしいとか…」


「はい。そうなんですが…お姉ちゃんは、あんな人形みたいな人じゃなかったんです。いつの間にか強さをかわれてクランリーダーに祭り上げられて…」


と話す。レンとしても彼女には違和感を感じていたため、正直気になった。




「10年位前に私は、お姉ちゃん……アンナ・フェロルと出会いました。私も彼女も両親がいなかったので、協力して懸命に生きて来たんです。そして称号にも恵まれて冒険者になったんですが、いつの間にか姉は私の前から居なくなって…」


と語る。


何がアンナ・フェロルを変えてしまったのか、それはわからない。


「どうにか話をしたくてクランの本拠地に行ったんですけど、入れてもらえず……話しかけても無視されるんです」


とアイリは、辛そうに語る。


先程までの元気なアイリを見ていたこともあり、ここまで辛い気持ちを抱えていたことに驚いた。


「そうか……まさか1人で迷宮に入ってるのは」


「はい、少しでも強くなって姉に追いつき、どうにか話をしたいと思って……」


どおりで無理をしていたのだろう。それだけの思いがあったのだ。


「そうか、強くなりたいなら俺も協力するから……頼ってくれ」


「ありがとうございます。またお願いします!」


と言って別れる。






レンは、真っ直ぐ宿には帰らずに、迷宮都市の外に出た。何もない草原ではあるが夜風がとても気持ちよく感じる場所だ。



「さっきの話…どう思う?ナビゲーターさん」


『そうですね……アンナ・フェロルという少女に違和感を感じたのは確かです。次に会ったときには鑑定してみましょう』


何かわかるかもしれない。



『それにしても、マスター。どうしてここに?』


「ああ、アイリの練習に付き合ってたから今度は自分のための練習をしないとなと思ってね」


自分にも修行が必要なのは明らかだ。


『それは良いことです。私もお手伝いします』


ナビゲーターさんも乗り気だ。




しかし……レイと名乗る白髪の青年の力を使いこなす方法と言うのが良くわからないのも事実だ。


思い切って技を出してみることにする。


「デリート!」


近くの石に向かって言ってみるが何も起こらない。虚しく夜風が吹いていくのみだった。


『何も起きないのは、恥ずかしいものですね。マスター』


とナビゲーターさんにからかわれる。


「むう、王都の時は無我夢中だったから……暴走しちゃったけど。本当に困ったな…力が付いてきたのは事実だけど、使えないとなると話は別だし」


強ければ強いほど暴走した時も厄介だ。



フェレンスの時は、彼がレンと入れ替わり戦ったのだ。レン自身、別人格なのかとも考えられたのだが、本人がスキルを名乗ると言うことは違うと言うことだ。


「自我があるスキルなんてナビゲーターさんだけだと思ってたけど……何かヒントにならないか…」


『そうですね。私もどうしてかわからないのですが、マスターのかわりに魔法を使用したり出来ますね』


と言われる。そういえば、レンだけではどうしようもないピンチの時にナビゲーターさんが魔法で援護してくれたこともあった。


「ナビゲーターさんだから出来るんだろうなって思ってたけど…何で出来るかわからないの?」


『はい……テヘッ!』


ぺろっと舌を出したナビゲーターさんが頭に映る。感情豊かだなと思う。


本来スキルであるはずのナビゲーターさんにも人のように感情があるというのも何かあるのかもしれないとレンは、考えるのだった。

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[気になる点] 《デリート》というスキルは、いつ使いこなせるのだろうか•́ω•̀)?
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