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神崎裕也の独白

作者: 阪中楓

どく‐はく【独白】

1 演劇で、登場人物が相手なしでせりふを言うこと。また、そのせりふ。モノローグ。「主人公が真情を独白する場面」「独白劇」


2 ひとりごとを言うこと。また、そのひとりごと。


 どうやらこれが『独白』の正確な意味らしい。学校の門を左に曲がり、最寄りのコンビニに寄ろうと歩きながらスマートフォンを操作する。俺、神崎は高校の帰り道に脳内小説を書こうとした。しかし、『独白』の辞書的な意味を知らないことに気付き、手に持つスマートフォンで確認を済ましたところだ。

 誰に見せるわけでもない、まして完成することもない頭の中で雑に組んだだけのプロットのみがあり小説と呼んでもよいのかどうか分からない代物。何気なく出てきた考え事を小説風に思い浮かべるのか最近のトレンドだ。インターネットで見かけた印象的なフレーズは間違いなくその日の小説に登場するし、小説を書いている(この場合は考えるになるのだろうか)最中でも興味が湧けばそれまでのを放棄して新しく考えてしまう。

 つまるところ、集中力のないミーハーである。

 今もこんなことを考えながら目の前のカップルに関心が向いてしまう。うちの生徒だ、邪魔だ、早くどいてくれないかな。これも青春なのであろう。それに比べ俺は何をやっているのか、単なる妄想だ。悲しくなる一方になりつつさっさとコンビニで買い物を済ます。。

 俺は買ったアイスを取り出し、冬のアイスは格別だと感じながら先ほどまでの小説の内容を忘却の彼方に追いやり制服の集団に紛れていった。


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