大きいのも好きなんです
座敷に並べた長テーブルには大量のオードブルと寿司が並んでいた。
「いやぁー流石に頼みすぎたかな?」
「いったい何人前頼んだんだよ?」
「華凛や甚平さんは大量に食べると思って30人分……」
「多すぎだろ……机ギリギリじゃねーかよ」
俺、娘、母ちゃん、智之、真由美さん、双子、銀弧、華凛、華夜さん、甚平さん、羽歌、総勢12人の大宴会だけどやっぱり多かったか?
「まぁ歓迎会みたいなやつだし少ないよりは良いだろ?」
「まぁな、華凛と甚平さんも手伝ってもらってすみません」
「大丈夫ですよ。こちらではたいした力にはなれませんがね」
「やっぱりあっちよりは力が出ないな。まぁ前よりは全然マシだけどな」
「前来た時よりは身長も縮んだりしないな」
「確かにな」
「小さくなった華凛も見てみたかったのですが、残念ですね」
「簡単に説明すれば肉体が足りなかったのじゃな。今は8割くらいの保有率じゃが、まだまだ足りない状態でこちらに来たのじゃからその分補正がかかったとでも言えば良いかのぉ?」
肉体が足りないって、なかなか使わない言葉だよな。
「それではこちらの食材をもっと摂取すれば霊界と同じ位には動けるのですかね?」
「うーむぅ……そのままじゃと多分無理じゃな。あちらは強化とまでは言わんが霊力を自然と身に纏い生活しておったのじゃろ。その霊力は現世では特定の地域以外は少ないからのぉ。現世での一般的な見た目通りの性能が限界じゃろ。肉体を強化すれば一時的には霊界並みの力は出せるじゃろうが少ない量じゃが結局は霊力を消費するからの」
「それじゃあ私はこっちでは空を飛べないっすか?」
「無理じゃな。こちらで人の体格でその羽では空を飛べん。あちらでは自然と羽に霊力を纏って飛んでいたのじゃろうな。強化すれば少しは飛べるが割に合わんぞ?」
「むむむぅ……それじゃあこっちでは羽が邪魔なだけっすね……」
「それなら大丈夫じゃよ。我が簡単な変化の技を教えよう。羽歌は霊力の扱いが上手いようじゃからの。部分的な変化ならすぐに習得できるじゃろ」
「本当っすか!?あれ?待つっす。部分的な変化が可能なら……銀弧さんやアネキみたいに爆乳にも変身できるじゃないっすか!?」
「まぁ出来なくはないのぉ。少し難しいがの」
「もしかして銀弧も変身してその身体なのか?」
「康成よ……怒るぞ?我はこれがナチュラルじゃ!」
「難しいっすか?」
「あるものを減らす変身は簡単じゃがの。無いものを増やす変身は服装などならそこまででもないが、肉体部位は相当なイメージが必要なのじゃよ。簡単に言えば大きな胸を小さくするのは簡単じゃが小さな胸を大きくするのはできなくはないが難しいぞ?」
「うぬぬぬぬぅ……それなら成長を待つしかないっすね……」
偽乳はあかんぞ羽歌。
乳は自然が素晴らしい。
「アニキはやっぱり爆乳が好きっすか?」
「ブッッ!急に何を言うんだよ!?」
「だってアニキはいつもアネキの胸を目で追ってるっすよ?」
シュッ!シュッ!
智之、シャドーボクシング止めろ!
甚平さんに教えるな馬鹿!
甚平さんのデトロイトスタイルすげー様になってるじゃねーかよ!?
「ち、ち、ち、違うし!男は動く物を目で追う遺伝的な習慣があるだけだし!」
「康成も男じゃからのぉ」
「違うぞ羽歌ちゃん!康成は大きな胸が好きなんじゃないぞ。胸ならなんでも大好きなんだよ!」
「本当っすか!?アニキはアネキだけじゃなく私も視姦してたんすね!」
「はぁ……馬鹿な息子で申し訳ないよまったく……華凛ちゃんもごめんね」
「大丈夫だぜ。あっちでもこんな感じのノリだからな。いつもの康成と羽歌だから馴れたよ」
「パパ?なんのお話してたの?」
「ナンデモナイヨー。そろそろご飯の準備にしよっか?」
「うん!彩ちゃんがね、お皿並べるんだよ!あと箸も!」
「よしっ!稲荷さん、私達もカツを揚げようか」
「ガッテンじゃ!」
「俺はどうしたら良い?」
「台所に人数が居ても邪魔なだけだからね。康成はみんなと先にビールでも飲んでな」
「あいよ、とりあえず瓶ビール5本位出すか。甚平さんは酒で大丈夫ですか?」
「えぇ大丈夫ですよ。こちらのお酒は楽しみですね」
「私は少ししか呑んだことないっす」
「こっちでは二十歳からしかお酒は呑めないんだよ。羽歌はサイダーにするか。華凛は今何歳だっけ?」
「ギリギリ二十歳だよ。危なかったぜ」
「アネキずるいっす!まぁ私はあまりお酒の味は好きじゃないっすけど」
「甚平さんは多分ビールで大丈夫そうだけど……華凛や華夜さんは酎ハイの方が良いかな?」
「酎ハイって何だ?」
「うーん……果物を使った酒かな?呑みやすい酒だよ。自分で量や濃さを調整できるしな。ビールは苦味があるからな」
「どうすっかなぁ……ビールも気になるな、最初はビールにしてみるぜ!」
「華夜さんはどうします?」
「私も同じのにするわ。色々な種類を呑んでみたいわ」
「智之と真由美さんはハイボールだろ?」
「いやぁ、何も言わなくてもハイボールが出てくる辺り、さすが康成だな」
「ご馳走になるわ」
「彩ちゃんはりんごジュースがいいー!」
「さきもー!」
「まきもー!」
「わかったわかった、智之少し手伝え」
「あいよ」
………………
「すぐに料理ができるけどな。先に練習で乾杯しようか。挨拶なんて面倒いことは無しで……乾杯!」
「「かんぱーい!」」
「始まったようじゃの」
「悪かったね参加できなくて、今からでも参加してきても大丈夫だよ?」
「大丈夫じゃよ。今はカツが旨そうでな、酒は料理をたっぷりと味わってからにしようかの」
「花より団子でもないか……酒より料理だね。まぁ私は揚げながら呑むけどね」
「ずーるーいーのーじゃー!そうじゃな、我も棗殿に少し付き合おうかの!一人は寂しいからの!」
「料理は良いのかい?」
「狐はコロコロと気持ちがかわるのじゃよ。お主もそう思うじゃろ?」
銀弧の側の椅子で丸くなっていた使いの狐は首を傾げながらもとりあえず頷いてみた。
………………
「ビールも旨いけど、この酎ハイもすげー旨いな!」
「私はこのビールが凄く染みますね……ブルブルと同じでシュワシュワが喉を通ると香草でしょうか?苦味と後味がとても美味しいですね」
「私は酎ハイが好きだわ。自分の好きな分量で作れるのも良いわね。れもんだったかしら?スッキリしていて美味しいわ」
「むぅ……何か呑めないってわかると呑みたくなってきたっすね……でもこのサイダーってやつも旨いっすね」
「康成は何呑んでるんだ?」
「俺はハイボールだよ。ウイスキーって酒を炭酸水で割って呑むんだ。少し呑んでみるか?」
「おっ!良いのか?何だこれ?味は薄いけど……匂いは良いな!木の匂いか?」
「間違ってないな。樽で熟成させて造るから木の匂いが移るんだよ」
「なぁなぁ羽歌ちゃん……」
「智之どうしたんすか?……ふむふむ……なるほど!」
「2人で内緒話なんかしてどうしたんだよ?」
「アニキとアネキが間接キスしたっす!」
「ブッッ!!」
「康成急に吹き出してどうしたんだよ?なぁ、間接キスって何だ?」
「アネキ、間接キスって言うのはっすね……ゴニョゴニョ……」
羽歌の言葉に耳を傾ける華凛はみるみる顔を赤くさせる。
「はっはっは!アネキ顔真っ赤っすね!」
ガシッ!
「は?いやぁ……アネキ?酒の席の冗談っすよ?あだだだだだだだ!!!!!何で現世に来てるのにいつもより強いんすかー!?」
いつも通りの羽歌だな。うむ。
「すまん!!真由美!ちょっとからかっただけだって!!?ギブギブ!」
康成の隣では智之がキャメルクラッチをかけられていた。
うわぁ……正義超人も真っ青なキャメルクラッチだなぁ……
「冗談でも若い娘にいたずらしたら駄目ですよパパ?」
「「鬼のお姉ちゃんとママ強いね!」」
ガラガラガラ
「まったくあんたらは何をやってるんだい……」
襖が開くと棗と銀弧が大皿と大鍋を持って入ってきた。
「おおっ!できたな!真由美さんと華凛も一旦中止にして食べようぜ!」
「いだだだだぁ……助かったっずぅ……ってか一旦なんすね……」
「そうね、今日はこの位にしておきましょうか」
ゴキッ
「何か最後に俺の首が変な音を出してたぞ?真由美?大丈夫だよな?」
「うふふふふふ」
「おおっ!旨そうだな!ほら!羽歌も早く席につけよ!」
「康成、簡単な挨拶でもしな」
「えぇ……まぁしかたねーなぁ。おほん……華凛、甚平さん、華夜さん、羽歌、ようこそ現世へ。えーと……んーーー」
やべー全然出てこねー。
「パパがんばれー!」
「準備を手伝ってくれた智之と真由美さんもありがとうございます」
「なぁ真由美!康成がありがとうだってさ!何かむず痒いな!」
「彩ちゃんもだよ?」
「そうだね。彩ちゃんもお手伝いありがとう。知ってると思うが俺は細かいことは苦手だ。だから挨拶は簡単に済ませるぞ?数日間だが現世を楽しんで、良い思い出を作ってから帰ってくれよな。こんなもんだろ?みんな、本番の乾杯するぞー!コップを持ってくれよ。いくぞ?かんぱーい!」
「「「かんぱーい!!!!」」」




