表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/74

娘の自慢は家庭毎の味がある


「ここがあの世か…」



なんか聴いたり、考えてたのと全然違うな…



「驚くのも無理はないと思いますよ?暮らす地域にもよりますけどここら辺は君の暮らす日本と気候も四季もだいたい同じですし。」


「天国とか地獄は無いんですか?」


「現世ではそういう説明が残ってるんですね。

ないですね、悪いことしたから地獄とか言いますと、虫一匹殺したらすぐに天罰で落とされちゃいますよ。」


まぁ生き物食べてる時点でそりゃそうだ



「もちろん天国もないです?多分君たちのいる現世で良い行いをしたら良い所に行けますよっていった方が治安は安定するし、地獄に落ちるぞって言われて進んで悪いことする人は少ないんじゃないですかね?まぁ自己満足の話ですよ」


「それ俺に話して大丈夫なんですか?」


「大丈夫だと思いますよ?目が覚めて急に地獄も天国もないとか話しても信じないでしょうし?」



確かに死んでも地獄とか天国もないとか急に言い出したらおかしな人扱いだ。


「どうして現世のこともわかるんですか?」


「君みたいな迷い人は珍しくなくてね。色々な話を聴いたり教えたりしてるんだよ。霊力の少ない現世は科学というものが発展してるんだろ?空飛ぶのも飛行機っていうのがあるとか?」



そういうことか

 

「こちらでは霊力を消費して火を起こしたり水も出せる。

空は種族によっては飛べるけど私たち鬼人族は飛べないかな?まぁ風の霊技を練習すれば高く跳ぶ位はできるけますけど」



「俺もできるんでしょうか?」


俺も空飛びたい


「言いにくいけど無理ですね。君はたまたま不安定な状態でこちらに迷いこんだ微弱な現世の霊力のみの存在です。霊体もないし霊力使ったら倒れる前に不安定な魂が消滅しちゃいます」



ぼく飛行機大好き




「まぁ現世の魂が消滅したらこちらに生まれ変わりますからね。君は慌てないで無事に戻れたら大往生してからこちらに来て練習したら良いですよ、君は若いからあと50年位は余裕で生きそうですしね」



「あー!」



華凛が急に何かを思い出したかのように大声を出すと



「そいつ!俺の霊砲くらってもぴんぴんしてたんだぜ?最初は人族が急に迫ってきたから撃ったんだけどさ。弱めにして撃っても効かないからけっこう強めに何発も直撃したのに全裸になったり笑ったり、土下座したり!」



「ほぅ…娘に全裸で迫ったと…」


シュババッ!


土下座


「お父様すみません!」



「まぁ冗談はさておき…」



嘘だ!筋肉がはち切れそうだった!


まだぴくぴくしてる!



「康成君、君は本当に迷い人なんですか?幾ら手加減してるとはいえ、華凛の霊力のこもった霊砲をくらって無事な迷い人はいないはずなのですが?」



康成はここに来た経緯を話す


井戸の話、この村が一番近くに見えた。華凛を見つけたこと、娘が可愛いこと、これから娘の保育園の迎えのこと、近いうちに娘と旅行にいこうねって約束したこと。



「確かに娘は可愛いですよね華凛もこんなに小さくて可愛いくておとうさまとトコトコついて来たもんです。今は大きくなって少し乱暴な口調になってしまいましたがまだまだ可愛いですよ。」



うちの娘だって負けてねーし?


まだおねしょするけどたまに成功するし、好き嫌いあまりねーし、残したらごめんなさいってちゃんと謝るし、娘の書くパパの似顔絵にようやく髪の毛が追加されたし。


「話ずれてねーか!?」



「ゴホンッ!話が逸れましたね。それでは康成君は肉体を持ちこの霊界に足を踏み入れたと?」


「特に死にそうになって来たとかじゃないぜ?昨日も井戸に入ったらすぐに帰ったしな」



「もしそれが本当で君が肉体持ちだと言うのなら私と手を繋いでもらっても良いかな?」


そういうと甚平は康成に握手を求めた


ムキムキと握手とか絵面的になんかやだな…


そんなことを考えつつ康成も手を差し出すと康成の手を包み込むように甚平は握手をした。


「ふんっ!」


甚平の声と共に甚平の筋肉が膨れ上がった



背中のヒッティングマッスルから蒸気をあげ、腹筋、太もも、上腕が2倍近く膨れ上がったような気がする。 


汗のせいか少しぬるぬるする



1分程握手が続くと甚平は手を離し地面に座りこんだ。


「はぉはぁはぁ…やはり肉体持ちというのはここまで強いのですね。」



???



「すげーなぁ父ちゃんの本気の筋肉モードなんて久しぶりに見たぜ!」


「今の私の握手が全力で君の手を潰そうと力を入れたのにびくともしませんでした」



うぉー!?何やろうとしちゃってんの!?


少し握られてる感じとぬるぬるしかわからなかったわ…



ズボンで手を拭いていると


「すまなかった。試すような失礼な真似をしたね。

本当に肉体持ちなら君は相当に危険な存在だ。」



「俺って危険なんですか?」


「私が見た限り霊力の使い方もわかってないし、多分君のパンチ一発で私はミンチですよ…」



筋肉パパのひき肉ハンバーグなんか見たくねーよ



「康成君は現世と霊界の違いはわかるかい?」



「ここがあの世なら生きてるか死んでるかじゃないの?」



「それでは霊界で暮らしている私や華凛は死んでいますか?

現世と霊界の違いは生活の基本が肉体か霊体かです。」


「肉体が主体の現世はいわゆる筋肉史上主義、全ては筋肉がモノをいう」



うむ、このオッサン何言ってるんだ?

全然わからん。



「その反対に霊界は霊力史上主義、この体の構造は霊力で維持されています。霊力史上主義と言いましたが単純に死んで肉体を失ったのでメインの力が霊体へシフトチェンジしたのですよ。」


「現世は霊力が少なくなってきたので昔と違い現世に行くことが難しくなってきました。」



「あーそれそれ!さっき話した桃太郎の時はけっこう現世に遊びに行けてたらしいぜ?」



「何で現世は霊力が少なくなったんだ?昔は現世にこれるくらい沢山あったんだろ?」



「それはですね、信仰心の低下と増加ですよ」



また訳ワカメなこと言い出したよ…


そろそろ保育園に迎えに行きたいんだけどなぁ…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ