第5話「冒険者と補助者」
お待たせいたしました。第5話、約15000文字になります。
この話は3月4日土曜日の18時に投稿予定でしたが、設定ミスにより本日の投稿になります。
2017年6月27日修正:誤字脱字および加筆修正(文章の入れ替えあり)
100万人が暮らす大都市。それは広大な面積を誇り、人々は所狭しと寝食を共にしている。
そして当然のことながら100万人も居れば間違い(・・・)も起きると言うものだ。
薄暗い裏路地。時刻は午前中であるがまだ日は高く昇っていない早朝である。
普通に考えてその時間にそんな薄暗い路地には人々がいる筈がない。いつもこの路地には近くに住む老人以外にはあまり人が通らないのだ。
しかしながら今日は違った。
「おいっ、今週の分持って来ただろうなっ!」
野太い男の声。
路地に佇むのは複数の人影だった。
「はっ、はい。これが、こ、今週分になりますっ」
複数の大柄な男たちに囲まれ、一人の小さな少女が小さな中身の詰まった麻袋を代表格であろう男へと手渡す。
男は少女からその袋を受け取ると乱暴な手つきで袋の中身を確認する。
「言いつけ通り金貨1枚、銀貨20枚を用意しました。ですので早く薬をっ」
少女の声はどこか急いでいるようで、浮かぶ嗚咽を押し殺して発声している様に聞こえる。
しかしそんな少女の小さな声はすぐに野太い男の声でかき消された。
「おいおいおい、今週はこれ以上持ってきてないのかよっ」
あからさまに足りないと言いたげな男。その表情を見て少女の声は徐々に小さくなる。
「こっ、今週は少し相場が高いからって・・・」
少女の言う通り、先週までと違い今日は銀貨20枚分ほど追加で用意しているのだ。
そしてそれは少女の目の前の男が指定した金額でもあり、少女の記憶では間違いはないはずであった。
しかし、
「すまねぇな昨日ちょっとまた相場があがってよう。これじゃ足りねぇんだわ」
にたにたと嫌悪感を覚えるような笑顔を浮かべ、男はそう言う。
「そ、そんなぁ!この前は先ほど渡したお金で足りるって!話が違うっ!」
少女にしてみればいきなりの金額の上昇。そして現在は先程渡したお金の他にはほとんど持ち合わせがないのだ。
「へっ、さっきから聞いてりゃキャンキャン叫びやがって」
少女の甲高い声に顔をしかめた他の男が前に出る。その男の行動を金を持った男は眺めるだけに徹していた。
「いったい誰がお前の妹の為に薬を用意してやっていると思ってんだぁ?」
叫ぶような怒号と同時に男の前足が少女の腹部に鋭く入る。鈍い音と同時に少女の小さな押し殺したような声が漏れた。
しかしそれでも満足できなかったのか男はさらに複数の仲間と共に手を出し始めた。
「仕事に差し支えるだろうから顔はやめとけよ」
まるで何かのショーを見るかのように近くにあった蓋つきのゴミ箱に腰を下ろし、男たちの行為を見ている。
彼らの行為が終わり、背伸びをする男。
時間にして10分ほどだっただろうか、それほどの時間男たちの蹴りや殴りを受けていた少女は虫の様に丸くなり、僅かに呻いていた。
「追加の金、銀貨50枚は明日までに用意しな。そうすれば薬を渡してやる」
最後にそう言い残し男は他の仲間を連れ路地から消えて行った。
一人残された少女。それからしばらくの間、押し殺したような小さな嗚咽が路地から聞こえ、それらを聞いたのは僅かにゴミを漁っていた鳥だけだった。
☆
「何もしない事が、これほど苦痛なものだとは・・・」
午後の昼下がり、リンクは書斎にしている屋敷の一室にてため息を吐きだした。
これまでの日々は比較的忙しかったと言えよう。
まず、屋敷購入当日は食事をするために町に出た以外には特に何もなく一日が終了した。その翌日使用人を3人雇い、彼女たちの引っ越しや屋敷に運び入れる新たな家具などでその殆どを終えたのだ。
そんな日々が続き、昨日行ったのがルシアの手伝いである。
ルシアはこの数日間をほとんどエッグリース内のラボにて活動していた。
目下の理由としてはミルゲスから届いた金属の解析だ。
科学の発展を支えてきたのはひとえに金属と言うものの発見によってだ。大昔は青銅、それが鉄に変わり合金に変わり、リンクがいた頃にはハイブリット合金と呼ばれる4種類の金属とその内部にナノマシンを内蔵した生きた金属まで存在していた。
しかし、当然ながらこの世界は以前の地球とは違った環境に変わっている。魔法という新たな概念や力、それらに付随する物理現象を越えた現象の数々はリンク達を驚かせるには事足りるものだった。
そんな中、ルシアはまず現存している金属がどれほどデータと比べ変化しているのかを把握するために金属の解析を行っていた。そんなルシアの手伝いを行っていたのだ。
しかし、手伝いと言ってもその工程はほとんどを自動化しており、解析作業も機械とルシアの量子演算装置があれば事足りる。その為、本日はお払い箱となっているのだ。
「やる事自体は無い事はないんだが」
いかせんパートナーであるルシアや奴隷の二人、そして雇ったばかりのメイド達は驚くほどに優秀なのだ。
その為リンクが手伝おうとしても足を引っ張るばかりで邪魔をしてしまう。その為自ら自重することになっているのだ。
そんなリンクの為にテーブルの上に紅茶が静かに置かれた。傍付きメイドとして自らその位置を所望したエリナである。
「そうだな、俺には戦闘しかできないんだった」
改めて自分の多趣味ではあるが戦闘以外何一つ極めていなかった趣味に愚痴をこぼす。
そんなリンクを悲しそうな瞳で見つめるエリナ。いくら奴隷としても主人のそんな自虐を聞きたくはないのだろう。
「すまん」
エリナの瞳を見たリンクは短く謝る。しかしエリナはリンクの予想とは斜め上の声を返した。
「誠に差し出がましいとは思いますが、冒険者であるご主人様はクエスト等をなさればよいのかと愚考しました」
言葉とは裏腹に耳をしゅんとさせ、落ち込む様子のエリナ。
「ん?冒険者ってのはなんだ?」
冒険者、その言葉は今まで聞いたことが無い言葉だった。
「え?ご主人様は冒険者の方ではなかったのですか?」
とんでもないほどの大金を持ち、そして古代竜までを討伐できる力量を持った人間。それを聞いただけでほとんどの者がそれは冒険者である、と勝手に想像するだろう。
そしてそれはリンクの奴隷であるエリナ達も同じであった。
「ああ、確か前に元軍人って教えたことはあったがそれで勘違いしたのか」
リンクの身の上としての説明は元軍人という事になっている。
どうやらこの世界の軍人は除籍や引退の後に冒険者になることが多いらしい。
実際のところ軍籍を除籍されているわけではないので元とつくことはないのだが実際に軍の指令系統に属していない今、半除籍状態と言えるのだ。
「し、失礼したしました。早とちりを・・・」
「気にするな。それで冒険者ってのは?」
リンクが気になっていたのは冒険者という単語であり、それらが指し示す仕事の内容である。
「ご主人様は戦闘はお得意なのでしょうか?」
何かの確認だろう。確かにエリナの前で体を動かしたのは彼女との決闘の一度きりである。そこからあまり体を動かしていないのでうずいているのだが。
「ん?戦闘というか戦いは好きだな。だから得意と言えば得意になるな」
自分の分析では戦闘狂、とまでは言わないが非常に好きな方であることは自覚済みである。
またパートナーであるルシアからの言葉でいつも突出しすぎだ、とお小言をもらう始末である。
リンクとしては他人に任せるよりも自分でやった方何倍も効率がいいと判断し、自ら行動しているのだが隊長としては失格の域だろう。
それでもここ数年は小隊の隊長や大規模反抗作戦の大隊の指揮なども経験し、指揮能力も向上している。
「冒険者とはその名の通り冒険をする職業になります。冒険者派遣組合、通称“ギルド”によって登録され、その資格を持つことでクエストや迷宮に挑むことが出来ます」
いくつか聞きなれない言葉が出てきたが今は聞きに徹するリンク。
「迷宮にはモンスターが存在し、それらを倒すことで体内の魔石や貴重部位などを取ることが出来ます。それらはギルドで買い取ってもらうことが出来、その値段も下層に行けば行くほど跳ね上がります。しかしながらその危険性も高く、冒険者の死亡率は軍人よりも非常に高いことが知られています。また迷宮の深層には一攫千金をもたらすものが眠っているとされ、迷宮の攻略は多くの冒険者の夢と言われています」
説明をおえたエリナ。しかしながらその表情はすぐれない。
「それにしても物知りだな。この国の国民はみな冒険者についてそれくらいの知識を持っているのか?」
リンクがまず最初に感じた違和感。それはあながち的外れなものではなかった。
「・・・いえ、私は過去、冒険者だったことがあります」
ゆっくりと口を開くエリナ。その雰囲気は先程よりも暗くなっているように感じた。
「・・・それ以上は話さなくてもいいよ?」
敏感に感じ取ったリンク。彼としても話したくない過去の話までを聞くつもりはない。しかしながらエリナは首を振る。
「いえ、話しておかなければいけない事ですので」
そう言ってエリナは過去の事を話しだした。
「私がここ王都にやって来たのは12歳の時でした。当時資金難に直面していた私の集落はお金を得るために若い者を王都に送り、冒険者にすることで資金を調達しようと考えたのです。そんな時白羽の矢が立ったのが族長の娘であった私でした。
私は3人の同い年の子たちと共に冒険者になり、その稼ぎを日々増やしていったのです。
そんな中、ある日普通通り迷宮に潜っていた時、仲間の一人が死にました。原因は単純な罠でした。人族と比べ身体能力の高い自分達の事を過信していたのです。
それから残りの二人が死ぬのにそれほど時間はかかりませんでした。
そして毎日迷宮に潜る日々が続き、16歳の時。実家から呼び出しの手紙が届きました。
その内容としては資金難でもうすでに行きつくところまで来ており、最終手段に頼らざるを得ない状況でした。
そして奴隷となって売られた私は現在リンク様の元におります」
長く、しかしながら無視できない話の内容。それはエリナの心の中に渦巻いていた黒い部分をいくらか霧散させることが出来ただろうか。
表情は少し良くなり、最終的にリンクはそれでよしとする。
「・・・それで、エリナは解放してほしいか?」
いつ言い出すか迷っていた言葉。決断自体は購入した時点で彼女たちを解放する予定ではあったのだ。しかしながらなんやかんやで言いだせていなかったのだ。
「っ!それは、私がお役目御免という事でしょうか!」
リンクの言葉を聞いた瞬間にまるで泣き出すように瞳を潤ませ、声を荒げるエリナ。
「い、いや違う。エリナは奴隷から解放されることを願っていたんじゃないのか?」
先ほどの話。それを聞いたリンクは彼女が不本意に奴隷になったことを改めて認識したのだ。
だからこそ奴隷からの解放が彼女の望むことであると考えたのだ。
しかしながらエリナはものすごい勢いで首を横にふる。
「違いますっ!確かに最初は奴隷から一刻も早く解放されたいと考えたこともありました。しかしリンク様の奴隷になった今はそんなことを考えてはいませんっ!私にはもうリンク様しかいないのですっ!」
これぞカルガモの雛と言うやつだろうか。
リンクとしては奴隷という身分からの解放であり、この屋敷から追い出すつもりなどなかったのだが、どうやら勘違いをしているらしい。
「私は今の奴隷のままでリンク様の傍に置いてください、お願いしますっ!」
目じりに涙を浮かべている少女の願いを無下に断ることが出来る者が居たら、そいつはまず人ではないだろう。
そしてリンクは男である。そして自分にも歳の離れた妹がいることからもその願いを断ることは出来なかった。
元々断る理由もないのだが。
「わかった、わかったから泣かないでくれるか」
リンクは年下の女の子の涙が苦手なのだ。
その理由としてはまだリンクが10代のころに生まれた妹の世話で何度か失敗して泣かせてしまったことにある。
泣く子には勝てない、とはよく言ったものだ。
「ありがとうございますっ!エリナは死ぬまでご主人様のお隣におりますっ!」
まるで忠犬よろしく傍に張り付くエリナ。その時に彼女の双丘に腕が挟まれ、スーツを着ていないリンクの感覚にもろに反映される。
「いいか、ほら落ち着いて」
しかしながらそれくらいのことで赤面するような心臓をリンクは持ち合わせていない。別段慣れている、わけでもないのだが。
確かに男として反応しないのは問題かもしれないが妹と同じ年の少女に反応するのもどうかと思ったのだ。どうにもエリナと妹を重ねてしまっているようだ。
落ち着いた様子でエリナを引きはがすリンク。そしてようやく落ち着きを取り戻したエリナは再び少し離れた位置に移動する。
「・・・申し訳ございません。少々、取り乱してしまいました」
先ほどまでの少女口調からもとの女性の落ち着きを持った声に変わるエリナ。そんな様子にリンクはくすっと笑いを溢す。
「エリナ、無理して口調を変えなくてもいいよ。むしろそのままの方が可愛いし」
リンクは基本的に思ったことはすぐに口にするタイプである。だからこそその言葉はエリナにまで届いた。
「えっ!あっ、でもっ・・・」
ミルゲスのところで徹底的に教育されたのだろう。確かに一般的な貴族などの屋敷で働くには必要なことだ。
しかしながらこの屋敷の主はリンクであり、そんな些細な事は気にしない質ときた。
だから必要がないと言えばない、と言う事になる。
「よしっ、じゃとりあえずエリナが教えてくれた冒険者というのになってみるか。資金はいつ尽きるかわからないから安定して収入を得る必要もあるしな」
そう言ってリンクは戦闘用のスーツを着込み、屋敷を出たのだった。
「さて、ここが話にあったギルドか」
メイド長であるイリアに言い馬車を用意させたリンク。現在屋敷から30分ほど離れた場所にあるギルド会館の目の前に来ていた。
ギルド会館の大きさは異常と言えるほどに大きい。
まず町中に存在しているうえでその一つ一つの建物はそこまで大きくない。平均して2階建ての木造住宅やリンクの屋敷のような石材を利用した建築で立ち並んでいる。
しかし、そんな中で一際異才感を放っているのがギルド会館だった。
リンクがいる正面玄関まえから見えるだけで4階建ての建物であり、その横幅はリンクの屋敷といい勝負をしているほどに長い。その為今いる位置からは全体像を把握することが出来ないのだ。
しかしながら先日リンクが尋ね、使用人を確保したメイドギルド、その建物ほど立派ではなかった。
「それにしてもでかいな」
素直に驚きの言葉を漏らすリンク。すると傍に侍るようにして佇んでいた一人の少女が補足する。
「ギルド会館はこの王都ルグルスの中では王城以外では一番を誇る大きさを持った建物です。建築時に城のような堅牢さを求めて作られたとか」
物知りな元冒険者であるエリナである。
「そうか、確かに建物っているよりも城って言った方がしっくりくるな」
リンクがそう言うほどまでに巨大な建物である。
そんなギルド会館の玄関は両開きの重厚な扉で作られている。その幅、約3メートルほどの両開きの扉は木製でありながらも幾重にも重ねられた年月により黒色化しており一見金属製のようにも見えた。
リンクはエリナ先導のもとギルド会館へと足を踏み入れる。
視界いっぱいに広がるエントランスには床を埋め尽くすように冒険者でごった返していた。
4階までを吹き抜けにし、100畳以上もあるであろうエントランス。そこには様々な種族と装備をした者達が居た。
「こちらです」
そんな中を物おじ無しに進むエリナ。リンクは彼女に連れられ目的だった場所までたどり着く。
自動翻訳機能が起動している視界内に表示されているのは、
「冒険者新規登録受付、か」
まず冒険者になるためにはギルドで登録する必要がある。その登録にはお金以外に必要な物はなく、またクエストの受注などもギルド会館で行っているためにここへ来るのは当然の流れという事だ。
「いらっしゃいませ」
受付カウンターへと近づくとエリナよりも年下に見える少女から声を掛けられる。落ち着いた服装と、その他の職員が同じ服装をしていることからもそれが制服であると分かった。
「本日は新規登録でしょうか?」
手慣れた様子の受付嬢。そんな彼女の様子に多少違和感を覚えながらも返事を返す。
リンクがいた地球では年端も行かないまだ子供が仕事をすることなどほとんどと言ってなかったからだ。
「はい、冒険者になりたくて」
返事を返したリンクはにこやかに笑顔を向ける。
「はい。ではこちらに記入をお願いできますか?」
いつもの事なのだろう、すぐそばに準備されていた紙と引き用具をリンクへと手渡す。
「失礼ですが代筆をお望みでしたら有料で承っておりますが」
この世界の識字率は異様に低い。リンクの屋敷にいる使用人やメイド達は教育によってきっちりと学んでいるがそれらは数少ない例外と言うものだ。
そもそもこの世界に小学校などの義務教育がないため親から教わるか、大金をはたいて学院に入れるかしかないのだ。その為識字率の向上は難しいと言えるだろう。
そしてリンク自身も未だに字を書くことが出来ない。
しかし、そんなリンクに助け舟を出す者がいた。
「ご主人様、私がお書きしましょうか?」
貴族のような上流階級の者は書類等の記入を従者に行わせることもある。それらを知っていたエリナは進んで名乗り出たのだ。
「失礼いたしました。ではご記入が終わりましたら再度このカウンターまでお持ちください」
そう言うと受付嬢の指さす方向にある記入用の机へと向かった。
冒険者になるために必要となるものが3つある。
その一つが名前である。
名前は基本的に一度しか登録することが出来ない。しかしながら本名にする必要もなく、だからと言って本名以外で登録する人物は少ないが。
名前が必要とされる理由としてだが、まずは冒険者の管理だ。
冒険者はその仕事の性質上常に危険にさらされる。その為万が一死亡した際には素早く身元の確認が取れるようにだ。
そして二つ目に必要なのが性別と種族名だ。
これは言わずもがな、正確に記入する必要がある。というのも男女で使用できる施設やクエストに差異が出るためだ。
そして男女間のいさかいをなるべく無くす理由からも記入は強制されている。
万が一虚偽の記載をした場合はギルドから厳しい制裁を受けるの虚偽報告をする者は少ないようだが。
そして最後に必要になるのがクラン・パーティー名だ。
これはすでに各クランやパーティーが目をつけていたり、すでに加入が決まっている者に対して記入が必要になる項目である。
クランとは冒険者同士が組むチーム的なものであり、一度加入すると脱退しない限りその名前がついて回る。要するに永続的な所属を表すものだ。
しかしながら一次的な仮チームであるパーティーと比べるとクランには様々な特典がある。その為多くの新人冒険者はこぞってクランに加入するのだ。クランに加入するには書類にクラン代表者のサインが必要になる。
それらを記入し終えたリンク達は再び受付カウンターへと戻って来ていた。
「お願いします」
改めて用紙を提出するリンク。エリナと二人分の2枚を受付嬢へと手渡した。
「はい。ではこちらの方へ指を置いてください」
容姿を受け取った受付嬢はさっと内容を確認すると窓口横に置かれた直径20センチほどの班球体状の金属に指を乗せるように言った。
「こちらで少し血液を採取します。少しチクッとするかもしれませんが我慢してくださいね」
笑顔で言う受付嬢。いつもの事なのだろうが慣れているだけだと思いたい。
そんな受付嬢に従い、リンクは自らの右手人差し指を球体の上部、丁度指1本ほどの僅かな凹みに沿わせるように乗せた。
その直後にリンクの指先に痛みが走る。
痛み自体は慣れたものであるリンクは顔色一つ変えることなく血液の採取を終えた。
「ありがとうございました。リンク様、これにて冒険者登録は完了です。では続いて次の方お願いします」
次はリンクの後ろにて待機していたエリナの番だった。
エリナは二度目となるだろう登録の球体にリンクと同じく右手の人差し指を乗せる。
次の瞬間に白く綺麗な尻尾が小さくびくっと震える。どうやら血液の採取を終えたのだろう。
「ありがとうございます。・・・・おっと、エリナ様。どうやら過去に冒険者の登録をなされていたようですね」
リンクと同じように登録が完了すると思いきや、作業をしていた受付嬢の表情が曇る。
「もし再発行なさるのでしたら金貨2枚を頂戴いたしますが、いかがなされますか?」
冒険者の再登録。それは過去に残した自分の情報を其のまま受け継ぐことが出来るのだ。
冒険者カードには様々な情報が刻まれている。
まずは容姿に記入した内容だ。名前、性別、種族、そしてクランやパーティーの加入の有無である。
それらは目に見える形で記入され、誰でも読むことが出来るようになっている。
そしてカードの隠れた機能としてはこれまで受けたクエストの情報を記録することが出来ると言うものだ。
「エリナはどうしたいんだ?」
問いかけるリンク、その意図はエリナの気持ちを考えてのものだった。
再発行にかかる費用は大金である。その為もし再発行したくてもリンクに払ってもらいたくなくて拒否する可能性もあるのだ。
「私は・・・」
言い淀むエリナの表情は何処となく優れない。
「私は、ご主人様と共に、一緒に冒険を進んで行きたいと思っています。もちろん過去の冒険の記録が役に立つかもしれません。でも今、私はご主人様共に冒険を一から進めたいと思っています!」
瞳に涙を浮かべるエリナ。
「ということなので、そのまま新規に登録してください」
リンクの決断は早い。それは彼のいいところでもあるのだ。
「かしこまりました」
微かに微笑んで頷いた受付嬢はそのまま作業を続ける。
「ではこれが冒険者カードになります。これから先は肌身離さず持ち歩いてくださいね。万が一無くされた場合等、再発行に金貨2枚を頂きますのでご注意下さい」
そう言って手渡されたのは白い金属のカードだった。
「こちらは冒険者ランク白になります。クエストなどをこなすことでランクアップ試験を受けれるようになりますので頑張ってくださいね。では以上で登録を完了します、何か質問等御座いますか?」
説明を終える受付嬢。その最後の言葉を聞いてリンクは悩んだ。
質問等といえばいくらでも出てくるのが現状である。しかしながらそれらを全て聞いていては日が暮れてしまうかもしれない、という思いが口を閉ざさせる。
しかしながら助け舟は意外なところから発せられた。
「しかしながら既に経験者の方がおられるので必要ありませんよね?」
そう言って向けられる視線の先にはエリナの姿があった。
確かに銅ランクまで登った冒険者であるエリナに聞けばそれなりに情報を得ることができるだろう。そしてそれは今受付から聞くよりも膨大であり、貴重なものなのだ。
「そうですね、せっかく先達がいるのです。彼女から色々と教えてもらいますね」
そう言いリンクとエリナの2人はカウンターを後にした。
背後から次の客を相手にする受付嬢の声を聴きながらリンクはエリナに声をかける。
「さて、これで予定通り登録は済ませたが、次はどうする?」
冒険者としては初心者であるリンクは何をすればいいのか全くもって予想できないのだ。しかしながらながらそこは経験者であるエリナの出番でもある。
「はい。ご主人様のご要望である金銭の獲得が目的であるならば迷宮に潜るのが手取り早いかと」
そう言ったエリナは説明を始めた。
もともと冒険者の仕事としては大きく分けて二つ種類がある。その一つ目頑張ってギルドにて発行されるクエストの受注である。
国内で発生した問題ごとについてギルドを仲介し、冒険者へ頼ってくる事案は多い。それら全てを総称してクエストと呼び、それらを完了することで報酬をもらえるのだ。
しかしながらこれらのクエストにはそれぞれ難易度が設定されており、それに応じたランクを持っていないと受注することができない。
これはクエスト失敗の確率を下げるためであり、また冒険者を危険から守るものでもあるのだ。
己の力量にあったクエストでないと下手に死傷者が出てしまう。そうなってからでは遅いのだ。
そして二つ目としては迷宮の探索である。
ここ王都には迷宮“ベルクリウス”が存在し、無尽蔵にモンスターを湧き出している。そんなモンスターの体内で形成される魔石、そして貴重部位などの素材は高額で取引される。
また魔石は日常生活では欠かすことが出来ない重要なものでもある。加工する事によって日常品として市場に出るのだ。
よってそれらをすべて管理しているのがギルドである。
「じゃ迷宮に潜るとして、まずはエリナの装備かな?」
己の装備はすでに完了している。また長期になると考えれば食料等の補給も問題だがそれらもすべて用意済みなのだ。
「ご主人様の装備はよいのですか?」
しかしそれらの装備の事をエリナは知らない。だからこそリンクがエリナの、と限定したことに戸惑いを覚えたのだ。
「俺はもう準備出来てるよ?」
傍から見たら何もない手ぶらである。
「失礼ながらそのようには見えませんが」
この世界での装備品とは基本的に刀剣の類の武器、そして己の体を守る防具がメインになる。その為どうしても見た目がかさばる上に重量もそれなりにあるのだ。
そして迷宮に潜るためには装備品とは別に多くの品が必要になる。それらを含めた量は到底手ぶらで済むような量ではないのだ。
「まあ、それは迷宮に入ったらわかるよ。それよりエリナの装備を新調しないと」
過去に冒険者をやっていた時の装備品はすでに失われている。恐らく奴隷になった際に一緒に売られたのだろう。
「はい。ではこちらに」
そう言ってエリナは先導を始める。
そんな二人が足を運んだのはギルド会館1階にある様々な店が立ち並ぶエリアだった。
「へぇ、ギルドの中にこんなエリアがあるんだ」
リンクの視界に入るのは活気に満ち溢れた商店街のような空間である。
左右を様々な日なものを陳列させた商店が囲み、その中を多くの冒険者が足を運んでいた。
「はい。ここにある店はすべてギルド認定の商店でそれらの品質も保証されています。それに購入時に冒険者ですと割引がききますのでお得なのです」
そんな説明を聞きながらリンクは視線を走らせる。
商店はその店によって取り扱う商品が違うようだ。まず日用品などを扱う店、そして武器を扱う店、防具を扱う店など様々だ。
そんななか、ふとエリナが足を止めた。
「ご主人様・・・」
何かを言いたいような表情を見せるエリナ。その表情からはその店に入りたいことだと受け取ったリンクは頷きで返事を返す。
するとエリナはにこやかな笑顔を溢すと店内へと進んだ。
エリナが選んだ店は他の店と比べ少し小汚い感じの商店だった。
木造での店内の内装は黒ずんでおり年季を感じるものになっている。恐らくは長い間ここに出店しているのだろう。
狭い店内には様々なものが置いてある。武器などの刀剣の類から防具、果てには迷宮内で必要になってくる日常品などまで置いてある。
周りの店がほとんどその種類に限定した商法をしているなか珍しい品の出し方である。
そんな店の中からごそごそと音がする。その場所にリンクが視線を向けるとそこには小さな少女が立っていた。
「いらっしゃませ、何かお探しでしょうか?」
身長は130センチほどの女の子であり、その肌や金髪は煤ですすけており、お世辞にも綺麗とは言えない。
しかしながらその肌はきめ細かく、少女のもともとの可愛さを損なわない程度に汚れていた。
「えっと、お店の方の子供さんかな?」
見た目からして歳は10歳ほどだろうか。それにしても大人びたはきはきとした喋り方である。
「ご主人様、彼女は炭鉱族です」
しかしながらリンクの予想は悉く外れたようだった。間違いを素早く、しかしながら少女の方へと聞こえないほどの声量で補足する。
「炭鉱族?」
聞いたことのない種族名である。
「身長が低く、しかしながら手先の器用な種族で彼らの作る武具は右に出るものはいない、とまでも言われています」
この世界には様々な種族が暮らしている。その中で一番数が多いのが人族であり、その他の種族として炭鉱族は地下で生活する種族である。
「お客さん炭鉱族は初めてですか?」
ひそひそと話している二人を不思議に思ったのか、それとも聞こえていたのか少女は苦笑いしながら近づいてきた。
「いや、これは失礼。何分炭鉱族の方と会うのは初めてなもので」
改めて目の前の少女の小ささを確認したリンクは驚きを噛み殺しながら謝罪をする。すると少女は笑顔を見せ、
「いえ、慣れてますので。炭鉱族と言っても私は小さい方ですので間違われる方は多いですから」
自分の身長を気にしているのだろうか、よく見ると彼女の履いている靴は底を少し上げたものだった。
「では改めて、私はこの店の店主でクレア・パーネルと申します」
丁寧に頭を下げるクレアと名乗る少女。その態度は立派な大人と言えた。
「これは丁寧に、俺はリンク・クドウ、こっちはエリナと言います。今日は彼女の武器防具を一式揃えたくて」
そう言って説明するリンク。その言葉を聞いたクレアは目を大きく開き、喜びの声を上げた。
「ありがとうございますっ。ではなにかご希望は御座いますか?」
その人にあったものを選ぶのは店主の方が上手いだろう。そう思いリンクは視線をエリナの方へ向ける。
「エリナ、何か注文があるなら彼女に言うといい」
そう言ってエリナに丸投げした。
それもしょうがないだろう。まずリンクはこの店に並んでいるような武器防具に関しての知識が全くない。
もちろん自身が使うような防衛軍の装備ならば新旧殆どを使用できる自信はある。
しかしながら鋼などで作られた刀剣や鎧などの装備品は見たこともないのである。だからこそ目利きをせよ、と言われても何処をどう見たら良いのか判らないのだ。
「わかりました」
そう言いエリナはクレアと相談をはじめた。そんな様子を見ながらリンクは忘れそうになっていたことを告げる。
「お金のことは気にしないでいいから自分に合った装備を選ぶんだよ?」
その言葉に目を潤ませながら畏まりました、と返事を飛ばしたエリナは驚くクレアを引っ張りまわすように店内を回り始めた。
万国共通で女性の買い物には時間が掛かるものである。それを己の妹で経験済みのリンクはしばらく自分だけで店内を物色することにした。
刀の様に反った片刃の剣、何かを断ち切るために重量を増やした大剣。
その他にも多くの刀剣の類が無造作に置かれている。どうやらクレアは整理整頓が苦手らしい。
そんな狭い店内を物色すること約30分。ようやく買い物終了の声が聞こえてきた。
「お待たせいたしました」
そう言って頬を綻ばせているエリナを確認し、改めて店主のクレアに視線を向ける。
「すべて合計で金貨7枚になります」
そう言い、カウンターの上に並ばせているのは白で統一された装備品といくつかの必需品だった。
「まずこちらの籠手が金貨1枚です」
そう言い、クレアが説明するのは金属製の籠手であった。肘の手前までの長さであり、手首の部分に何かしらのモンスターのふわふわな毛皮が使用されている。
「続いて胸当てが金貨2枚、こちらの脛当が金貨1枚です」
そして次に説明されたのが胸当てだ。革製の皮鎧と呼ばれる部類のもので金属製の鎧よりも軽く、しかし防御力は金属製よりも落ちるが使用者に過重的負担を掛けないものだ。
脛当は籠手と同じ様にファーがあしらわれ、白い体毛を持っているエリナと相性があうものが選ばれている。
「そしてこちらが魔法袋で金貨3枚になります」
そう言って紹介されたのが魔法袋と呼ばれる小さな二つの袋だった。
見た目はいたって普通の腰に付けるポーチのようなものだ。大きさ自体はさほど大きくなく、横幅が30センチほど縦が15センチほどと小型のものである。
しかしながら非常に高額だった。
「へえ、それが魔法袋か。でも高いね」
袋としては二つあるので一つ当たり金貨1.5枚になる。他の商品と比べると、見た目に比べて些か不思議な値段なのだ。
「はい。こちらはランク3の魔法袋になります。効果としては袋の大きさの20倍までの容量をもち、重さも一つ分と非常に高性能なものです」
クレアはそう言うと中に手を入れる。すると袋の大きさは関係なく、腕は肩口まで消えしかしながら袋から手が突き出すことはない。
「このように魔法で空間が広げられているのです」
魔法袋は冒険者には必要不可欠なアイテムである。
迷宮などの場合には食料など戦闘とは関係ないものも必要になる。しかし嵩張るそれらの荷物を持ち運ぶといざ戦闘の時に邪魔になり、最悪命取りになりかねないのだ。
だからこそ軽く、そして容量が大きい魔法袋の準備は必要になってくるのだ。
「クラス3はあまり市場に出回らない高価な物です」
過去に購入経験があるのか傍からエリナが言葉をかけてくる。
「確かにこういった魔法袋は一部の大手クランが買占めを行ったりしてなかなか確保が出来ない代物ですので」
店主が肯定するほどにこれは優秀であり、また貴重なものらしい。
「そんな貴重なものを俺たちに譲ってくれるのか?」
リンク達は駆け出しの冒険者である。確かに必要であるとはいえ、クレアが貴重な魔法袋を売るほどに有名ではないのだ。
「はい。エリナさんは以前銅ランクの冒険者だったそうですね」
クレアがエリナに視線を向け、そう言い放つ。恐らくは先程選ぶときに自分の事を話したのだろう。
「銅ランクの冒険者はそうそういません。それにエリナさんの主人であるリンクさんは彼女よりも強いそうですね」
そう言い、今度はリンクへと視線を向ける。いつの間にか想像以上に仲良くなっていたようだ。
「なのでこれは先行投資だと思ってください。まあぶっちゃけて言うとこれからも武具屋パーネルを御贔屓に、という事です」
そう、にかっと笑いながら答えるクレア。その表情は非常に明るいものだった。
「そうですか。わかりました、これからも寄らせてもらいますよ」
そういい、リンクは懐から金貨7枚を払う。この金貨も一般国民にとっては非常に高価な物なのだ。
しかしながら冒険者や彼らの武具を扱う職人や商人は違う。彼らのレベルに応じた武具はそれなりに値が張るものだ。
そのため見慣れているのか、金貨を見たクレアに変化はない。
「お買い上げ、ありがとうございますっ」
元気な少女のそんな声を背中に受けながら店を後にした。
一度、中央であるギルドのエントランスへと戻って来た二人。するとリンクの聴覚にある音が聞こえてきた。
「おっと、もうこんな時間か」
そう言って向ける視線の先、電脳内での時刻は12時を過ぎていた。自分のお腹が鳴る音で時間に気づくとは、それだけ買い物に集中していたという事だろう。
そんなリンクは恥ずかしげもなく笑うと傍のエリナに声を掛ける。
「そうだ、時間も時間だし昼食にするか?」
エリナもお腹は空いていたのだろう、すぐに頷きを返す。
「決まりだな」
そう言って店を探そうとするとエリナがそれを制した。
「お店であれば私にお任せいただけませんか?」
そう言ってエリナは先導を始めた。彼女曰く、あと一つしたいことがあるそうだ。それらを兼ねた場所に向かうらしい。
そうして案内されること5分ほど。
ギルドを一度出て、通りを過ぎ、一本路地に入ったところにその店はあった。
「酒場“シュラック”」
リンクは表に吊るされた看板を読む。その文字は自動変換されており普通に読むことが出来た。お店の看板はたまに読めないほどに汚く殴り書きされている店もあり、たまに自動変換が働かない事があるのだ。
「ここがお店になります」
そういいエリナは慣れた手つきでお店のドアを開いた。恐らく何度か来たことがあるのだろう。
すると昼間だというのに濃厚なアルコールの匂いと、酒場独特の空気が流れ出てくる。
しかしそれらはリンクも嫌いではない。軍人という職業柄酒とは縁を切れないものである。
「ここに来た理由としては昼食もですが、補助者を探しに来ました」
手短な席を選び座る二人。席に着くとエリナはそう説明を始めた。
「補助者?」
新しい言葉。その意味は今のリンクの脳内に存在しない。
「はい。冒険者は迷宮に潜る時には荷物持ち専用の補助者を雇います。彼らは基本的に戦闘はしませんが、多くの荷物を持ち、冒険者の荷物などを運んでくれるのです。ですので身軽になった冒険者が荷物を危惧することなく仕事ができる、という事になります」
どうやら補助者というのは荷物持ちらしい。戦闘で嵩張る荷物、そして討伐すればおのずと増えてくる魔石や希少部位などを持ってくれるという事だ。
「それじゃこの酒場にフリーの補助者が集まるってのか?」
いつの間にか注文していたエリナがリンクに飲み物を差し出す。それを受け取りながらリンクは尋ねた。
「はい。この酒場にはクランなどに雇われていないフリーの補助者が集まります。ですのでここでご主人様のパーティーに雇い入れようかと思いまして」
彼女は過去に迷宮に潜っていた際も補助者を雇っていたようだ。そんなフリーの補助者は基本的に一度きりの臨時契約であり、報酬はそのパーティーでの総額の1割ほどが相場らしい。
そんなことを説明しているうちにリンクはあらかた料理を平らげていた。
「それで、そんな補助者だけど、どうやって見つけるんだ?」
口元に残ったソースをエリナからもらった綺麗なハンカチで拭いながら尋ねるリンク。するとエリナは頷き、
「すぐに見つかります。・・・来ました」
視線をリンクの後ろへと投げる。そしてその直後リンクの聴覚に届いて来たのは高めの声。
「補助者をお探しですか?」
そして振り返ったリンクの視界に入ったのは140センチほどの身長の一人の少女であった。
すいません、設定をミスりました・・・投稿遅れて申し訳ない。
明日3月6日の投稿は間違いなく行いますので、それまで今しばらくお待ちください。