もぐら
真っ暗闇の地の底から愛を込めて唄う
祈るように 願うように
笑い者にされるから
地上へは行きたくないよ
わたしは汚くて臭いから
誰の視界にも入りたくないほど醜いから
どうかどうか見ないでおくれ
そんな風に
眩しいから目を閉じて
何も見えないようにした
ずっとずっと空想する
瞳を一度も開けないまま
欲しいもの全てを
手に入れる
ずっとずっと空想する
瞳は一度も開けないまま
他人みたいな素敵な日々を
手に入れる
ずっとずっと空想する
瞳は一度も開けないまま
わたしのことを必要とする人を
手に入れる
いつだったか
もう一度あの空が見たくて
地上目指したもぐら
掘って、掘って、掘って
泣きながら掘って
進んでいるのは上か下か
やっぱ思い出す
にんげんだった頃の記憶
そう例えば
あなたと笑いあって楽しかった時のこと
そう例えば
いがみ合ってもいつもわたしが先に折れた時のこと
そう例えば
庭先に蒔いた水が風に舞ってキラキラ綺麗だった時のこと
そう例えば
あなたの作る夕食が美味しかったこと
あなたと二人なんだか照れた夜のこと
もう一度あの花が見たくて
もう一度、会いたくて
掘って、掘って、掘って
血が滲んで
やっとたどり着いた空の下
太陽という名の残酷に
退化した目は見えなくて
退化した肌は焼け爛れて
自ら掘った墓穴に
また突き落とされ
また光は遠ざかり
また奈落の底に打ち付けられる
ほんとはね
ほんとはね
あなたと行きたいと思った
わたしはもぐら
ほんとはね
ほんとはね
あなたと生きたいと願った
わたしはもぐら
もぐらは漢字で土竜と書きます。
最初あーすどらごんとかっこいいタイトル付けたのですPV重視のタイトルに変更しました。