第十四話:尾行3(怒田視点)
僕は耳を疑った。
今、彼は何を言ったのかハッキリ聞こえた。
だが、脳が処理しきれないでいた。
僕は深呼吸をして考える。
そう冗談だ。
うん、きっと平山君の事だ最後に笑い話の冗談にしてしまうのだろう。
期待はしちゃだめだ。
そっと平山君の顔を見ると横顔でもわかるほど深い思いを抱いているのだといわんばかりの真剣な顔つきがわかる。
冗談じゃないとでも言うのだろうか・・。
期待はしちゃダメだと自分に言い聞かせる。
そして体が熱くなる、耳が熱い。
息が整わない。
ダメだ、動揺してしまっている。
早く息を整えよう。
僕が息を整えて平然を装おうと躍起になっていると平山君がこっちを心配そうになって向いた。
平山くんが何かを言っているが耳に入らない。
目が合うと余計息が乱れて顔が熱くなり頭がおかしくなりそうだ。
すると平山君が手を顔に持って来た。
ホッペを触ると次はおでこを触りだした。
そして平山くんは驚いた顔で言った。
「すごい熱い・・ひどい熱だ!」
そして平山くんが触った場所に熱を感じながら僕は気を失った。
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光が差し込む、そして店の天井が見えた。
そうか、気を失ったのか・・・・。
立ち上がると窓に反射して自分の姿が目に移った。
そして、違和感が頭を過る。
もう一度窓に反射した自分を見ると変装が取れていた。
多分休ませるため軽装しようと帽子やらなんやら外されたのだろう。
終わった。
バレた、嫌われただろうか・・。
考えてみればやった事はストーカーだ、その意識もあったし多少だが罪悪感も感じていた。
いや、そんな事考えなくてもわかることなのだ。
本気でぶつかってくれるって言ってくれたのに・・チャンスもあったのに・・僕は最低だ。
向き合ってくれようとした相手を疑って尾行だなんて。
目が潤んで前が見えなくなった。
悔しさ醜さが胸を締め上げ吐き気すら感じ変な声が出た。
涙が止まらない、そうだ、逃げてしまおう。
彼にこれ以上ひどい事をするぐらいなら消えてしまおう。
捻挫した足を引きずって泣きながら出口に向かおうとすると肩を掴まれた。
「おい、どこ行くんだ?せっかく薬買って来てやったんだぞ。」
平山君だ、目は涙で潤んでロクに見えなかったが声と匂いでも十分わかる。
そして僕は膝から崩れ落ち地面に手をついて言った。
申し訳なさと自分への罪悪感でいっぱいで次から次へと言葉出た。
「うぇっぐ、ごめんね・・うぇっふ、君にひどい事しちゃっだ、もう、消えるから・・・、君の前に現れないから・・。」
僕は思い思いの謝罪をしたそして消えよう平山君の前から。
立ち上がろうとすると強い力で手を引っ張られ僕は平山君の胸に吸い込まれた。
暖かかった、平山くんの胸は大きくて堅くてそれでもっていい匂いがした。
そして鼻水と涙でグショグショの顔を力いっぱい包んでくれた。
僕は安堵したのかさっきよりも強く泣き喚いた、そして喉が千切れるほど精一杯声を出した。
「馨くぅううん!すぎぃい!」
泣いていたせいでひどい声が出た。
正直聞き取れないレベルだ、声も震えていた。
だが、平山君は僕をより強く抱きしめて優しく言った。
「俺もだ、好きだよ大輔。」
この時店長がカウンターの裏に隠れていた事を後に知る。




