表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/24

右の部屋にて

「大変お待たせ致しました。全員の能力確認が終わりました。既にお気付きの方もおられるでしょうが、こちらにいらっしゃる皆様には、街や村に降り、そこで結婚相手となる男性達を探して戴く事になります」


……ああ、やっぱりね。

予想していた事が当たり、私は苦笑しながら、部屋に入ってきた人を見やった。

その男性はさっきまでのきらびやかな服装の人達とは違い、青色一色の、ちょっとダボッとした上衣とズボンを纏っていた。

言うなれば、そう、文官の服……みたいな感じだ。

……文官さん、かぁ。

安定感のある堅実な職だよねぇ。

容姿も悪くはないし、歳も……う~ん、21歳くらいかな?

だとしたら、なんとか許容範囲内、だよね……。

この人はもう、結婚しているのかなぁ?


「そこで貴女方には、この世界の一般常識を学んで戴いたあと、向こう5年間は暮らせるだろう金銭を贈ります。それが尽きるまでには、伴侶を迎えるか、ご自分に合った職を見つけるかをして下さいますよう、お願い申し上げます」


そう言って男性は頭を下げた。

私がじっと観察している間も、男性の説明は続いていたらしい。

いっけない、ちゃんと聞かなくちゃ。

えっと、一般常識を学んで、この先5年間暮らせるお金を貰えて、お金がなくなるまでには結婚するか職を見つけるかしてね、だったよね?

よしよし、耳には入ってるね、うん。


「さて……ここでの説明は以上ですが、一般常識を学んで戴く部屋に移動をする前に、ひとつ、重大な注意事項がございます。……世界によって、その存在を知る方も知らない方もございましょうが、この世界には人を襲う魔物がおります。それに、残念な事ですが、この世界の男が皆、紳士であるとは申せません。中には貴女方と結婚をする為に、強引な手段を取る者もおりましょう。過去には、実際にそういった行為がございました。それを踏まえて、お聞き致します。お一人で生活するのは不安、という方はいらっしゃいますか?」


えっ、な、何それ!?

魔物なんて、アニメやゲームの中の存在だよ!?

それに……強引な手段って、何!?

ま、まさか、レイ…………っ、じょ、冗談じゃないよ!!

男性の言葉に若干血の気が引くのを感じつつ、私は慌てて手を上げた。

視界に入る女性達も、ほぼ全員が手を上げている。

まあ当然だよね。


「……はい、わかりました。では貴女方には、先に自らの護衛となる者を選んで戴きましょう。その者達も結婚候補として見て戴いても構いませんので、それも考慮してお選び下さい。……ああ、その者達が貴女方を襲わぬよう、強制的に服従させるアイテムを身につけさせますので、ご安心を」

「えっ、ふ、服従っ!?」


次に男性から告げられた内容に思わず声を上げると、全員の視線が私に集まった。


「あっ、ご、ごめんなさい……!」

「いえ、構いませんよ。お嬢さんはお優しいのですね。けれど、ご安心下さい。護衛としての才能を持つ者達の中から、それをつける事を同意した者のみ集めておりますから。決して強制してはおりませんので」

「ど、同意……そう、でしたか。わかりました……。お話を遮って、本当に、ごめんなさい」

「いえ。さあ、それでは、護衛候補達の元へ参りましょうか。……必要ないという方は、もうしばらくこちらでお待ち下さい。すぐに別の者がご案内しに参りますので」


そう言うと男性は扉を開け、私達についてくるようにと促して歩き出した。

結婚候補にもなる護衛、かぁ。

護衛って事は毎日一緒にいる事になるんだし、接する時間が長い分、そういう関係になる可能性はきっと高いよね。

……歳の近い子、いるかなぁ?

う~ん、年上と年下、どっちがいいかな……。

あ、でも私より年下だと、護衛としての腕前は未熟な可能性があるかな?

どうなんだろう……う~ん。

……まあ、どういう人がいるのかはまだ全然わからないんだし、今考えても仕方ないかな。

全ては護衛候補達に会ってからだね、うん!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ