表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/24

魔石入手と造魔体験 1

翌朝。

魔動宮に行くということで、またお城の門の前で今日の付き添い兼護衛の人を待ちながら、通りがかる魔術師さんっぽい人に声をかけ、お願いして魔法をストックさせて貰った。

これで魔物と戦闘になった時、ほんの少しだけど、私もサポートする事ができる。

その事にホッとしながら辺りを見回すと、1人の青年が私を見ながら近づいて来た。

癖のないまっすぐな金髪に、ややつり目の深い青の瞳をしたその青年は、整った顔つきをしていて、やたらキラキラしている。

あの青年が、造魔師さんかな、と思いながら、相手の反応を待つ。


「失礼、貴女が造魔師になりたいという少女かな? 初めまして、私はソーマ・シンメルク。シンメルク公爵家の次男だ」

「へっ…………」


私の前に立って口を開いた青年は、思いがけない言葉を口にした。

……公爵……今公爵って言ったよ、この人?

公爵ってあれだよね、王族の次に偉い人だよね?

なっ、何でそんな人がここに来るの?

私は貴族には関わらないと思ってたのにどうして……って、そういえば昨日文官さん『頑張る』って言ってた!?

あ、あれってこういう事!?

が、頑張り過ぎじゃないですか、文官さん~!?


「……お嬢さん? どうか、したのかな?」

「えっ……あっ、す、すみませんっ! わ、私、シズル・ホウジョウといいます! よ、よろしくお願いしますっ!」


怪訝な表情で顔を覗き込まれた事で我に返った私は、慌てて謝って自己紹介をした。


「ああ、よろしく、シズル嬢。では早速魔動宮へ行くとしよう。君のレベルは3と聞いたが、間違いないかな?」

「はっ、はい、間違いありません!」

「そうか。では、行くのは小魔動宮のほうがいいな。……とすると、魔石があるのは28階からだ。まずはそこに行こう」

「はっ、はい……よろしくお願いします!」


青年、ソーマ様の言葉に緊張で固まりながらも返事を返し、私達は小魔動宮へ向けて歩き出した。


★  ☆  ★  ☆  ★


小魔動宮に着くと、私達はすぐに28階へ跳んだ。

ワープの魔法陣のある部屋から出ると、ソーマさんは後ろを歩く私を振り返る。


「さて、造魔師について教えておこう。既に知っての通り、造魔は魔石を使って行う。魔石に自分の魔力を注ぎながら、造りたい造魔の姿形や能力などを思い浮かべて、そのイメージが定まったら一言、"造魔生成"と言えばいい。きちんとイメージできていたかどうかで、成功する確率が変わる」

「え? せ、成功する確率って……し、失敗もするんですかっ?」

「無論だ。まあ、失敗といっても、何かしらの能力を持つ造魔は生まれる。ただ、それが自分の思い描いた能力ではないだけだ。その場合、"還元"と言えばただの魔石に戻して、再チャレンジできる。とはいえ、あまり何度もやると魔石が壊れてしまうがな。チャレンジ回数は1個の魔石につき、2回~5回くらいだ。だから失敗する事はあまり気にせず、とにかくチャレンジあるのみだな」

「え、ま、待って下さい! あの、せっかく生まれたのに、自分が思ったのと違うからって、魔石に戻しちゃうんですか……?」

「……ほう。優しいな、と言いたいところだが……魔石は基本入手困難な品だし、自身の魔力とて無限ではないだろう? 可哀想だからと失敗してもそのままにし、思い通りの造魔ができるまで根気よく生成し増やし続けていたら、エサとして与える魔力が不足し、結果、造魔は消滅するぞ? その場合は魔石も壊れる」

「へっ、しょ、消滅……!?」

「そうだ。下手な情けは自身にも、造魔にも良くないのさ。レベルが上がれば魔力も増えていくが、くれぐれも余分な造魔は造らない事だ」

「う……わ、わかりました……」


……で、でも、逆に言えばイメージさえしっかり定まっていたら、失敗はしないんだよ、ね……?

よ、よし、造る時はイメージ、頑張ろう……!!


「よし。では次に、造魔だが……あったほうがいい能力をひとつ見せよう。エヅチ!」


ソーマ様が宙を見つめそう言うと、小さく丸い白い光が出現し、その中から30センチ大の……ハエのような魔物が、金色の小槌を持って現れた。


「え……あの、ソーマ様? これは……?」

「私の造魔だ。動きが素早く、宝箱の探索をしてくれる。そして持っている小槌で宝箱を叩くと、二分の一の確率で、宝箱の中身が望みの物に変わる」

「へ……へぇ、そうなんですか……それは、いい能力を持った造魔さんですね……」

「ああ。さてエヅチ、早速だが、この階の宝箱の中身を変えてきてくれ。今回欲しいのは魔石だ。頼んだぞ」


ソーマ様がそう告げると、ハエ……コホン、エヅチさんは、まるで承諾の返事をするようにパタパタと羽を動かしてソーマ様の周りを一周すると、風のように素早く何処かへ飛んでいった。


「さあ、これでいい。運良く宝箱の中身が魔石に変わっている事を願いつつ、探しに行くとしよう」

「あ、はい!」


こうして私達は、時に魔物を倒しながら、宝箱を探して魔動宮の中を探索したのだった。

……それにしても、エヅチさん、能力は確かに良いものを持っているけど……。

私が造魔を生成する時は、もう少し、見た目にもこだわりたいなぁ。

これは本当にイメージが大切だね……!

頑張ろう!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ