それぞれの疑惑
「――お待ちしておりましたわ、かなり」
そんなに遅れたつもりはないんだけど……と頬を掻きながら私は屋上のフェンスに背を預けていた鏡子ちゃんの前へ行った。私が辿りつくと鏡子ちゃんはおもむろに弁当を広げ始めた。きょとん、と目を丸める私に鏡子ちゃんは首を傾げた。私の姿を下から上へと見上げると、「……お弁当は?食べませんか?」という言葉に、頭に手洗を落とされた気分だった。忘れてた!
「成程成程……体調の変化は殆どない、と。それは良し」
「その節はご迷惑を……」
「所で。夢見は如何でした?差支えなければ教えていただきたいのですが」
「んー……そこまで重要なことではないと思うんだけど……」
「瘴気に抱かれた分際で何をほざきます」
「何其れ怖い……」
私は水筒のお茶を飲むと一息ついた。少しの間目を閉じて、浮かんできた他者修正機関のことを話そうとした一折を押しのけて記憶の回想を試みた――それはとてもすんなりと実行されてしまった。
現実の出来事を記憶する様に、その夢の記憶は記憶されていた。
「気づいたら……外に居たの。日が出てたけど暗くて……多分あれは日食……。足元に女の人が血だらけで倒れてて……私はその人に語り掛けてた」
「何と?」
「お前は悪くない、お前は正しい王だった。そして……その女の人が死ぬ間際に、笑顔で言ったの。おめでとう、今日でお前の命は永遠になる――。不思議な感覚だった。心が愛……?恥ずかしいけど、そんな卑弥呼を愛しい、可哀想、って感情で溢れてた。やっと手に入る、そんな感情もあった……」
「卑弥呼?……卑弥呼と仰いました?」
「え?あ、ああ!そうなんだ、卑弥呼……ってあれだよね。歴史でやる卑弥呼――」
鏡子ちゃんは箸を加えて一点を見つめていた。僅かに眉間に皺が寄って、私は唾を呑んだ。
「わかりました。……有難う御座います、とてもおかしな夢でしたわね上山さんの頭の中が少しばかり理解できたような気が致します」
「それって馬鹿にしてる!?」
「さぁ――。はい、次は上山さんです。何か気になる事、先程のお礼に一つ何でも答えてあげましょう。例えば、昨日どうやって鏡子が――」
「あっそれ気になる!天后さんが変な事言ってたけど、どういうことなの?」
「そのまんまです」
「そのまんま」
「ええ。女子トイレで貴様が襲われている処をしめしめと傍観しておりました」
箸が落ちる。スローモーションに落ちていく。
「はァ……!?いっ」
痛みに疼いた足首が、私の驚き故の行動を上手く封じ込めて見せた。くう~、と痛みに耐える私を見て、おほほほと笑う鏡子ちゃんが恨めしい。
「それなら直ぐに助けてよ!私、すっごい怖かったんだからね!?」
「無茶を言うな。あの時までは鏡子、上山さんのこと半信半疑でしたの。今もですけれど。まあ、8割がた黒と思っておりました。態々鏡子の居る所であんな劇が繰り広げられたら誰だって罠だと思いますわよ。しかも、あの男の瘴気と上山さんの瘴気は性質が全く一緒でしたの。――鏡子、才色兼備ですのでわかってしまいます」
しかも、と鏡子ちゃんは僅かに瞳を細めて言い続けた。
「今だって、この二人きりの……。恐ろしいのですわ、上山さん。」
鏡子ちゃんは風通りの良い場所に行きたいのか、奥へ奥へ進みだした。それに自然と従う私。
「上山さんは二つの気を持っていた。あの時……瘴気を殺して、神気で塗り替えた……あの出来事。見たことがありません、聞いたことはありますが……。兎に角、やっとのこさトイレをクリアしてこれでも直ぐに上山さんの後を追いました。……気づいていました?」
「……えっ、いや、全然」
「違いますわ。気づいていました?貴様の、残り香」
反射的に袖の臭いを嗅ぎ始めた私に思いっきり嫌悪の眼差しを投げかけてこれらたので、私は渋々首を横に振った。こ、こわ……。
「溢れ出る瘴気が、まるで血糊の様に廊下にべったりと張り付いていましたの。ですから――追うことは簡単でした。それはあのフードの男も然り。いくら上山さんがそのあんぽんたんな頭を絞って捻っても所詮はすぐにお陀仏だったのです。――嗚呼、鏡子ってば何ていい子なんでしょう!こんな!あんぽんたんの命を救ってあげた何てっ!」
「その点に関しては感謝してるよ。本当に――ありがとう」
「アスティン様の為です。上山さんの為なのは結果的に、であって……そこらの理解、お願いします」
「は、はあ……」
鏡子ちゃんは私の言葉に出来ない溜息に目を向けると、腕を組んで溜息を落とした。
「アスティン様も恐らく女子トイレから助けに来たのだと思いますわ、きちんとお礼を仰ってください。あの方の――お気持ちはまるで呪いの様。何故そこまで上山さんを守るのでしょう、あの様に式神とは違う強大な力を持ってまで貴様の様な異様な者に仕える理由は何でしょう?……わかりませんわ、鏡子――わかりません」
その苛立ったような声色をより強めた双眸が一瞬、屋上の出口に向けられた。は、と気づいた私が出口を思わず向くと同時に声が飛んだ。
「先程から鏡子の話を盗み聞いている曲者は姿を現しなさいませ!」
流石の私も警戒した。軽やかな音を僅かに鳴らした紅石を握る。耳を澄まして、現れる人物を定めようとした。恐らく、鏡子ちゃんは私の反応を見てその色を強めたのだろう。
「……――悪ィな、乙女共の囁きを盗む心算はなかったんだけどさ……」
「――湊……!」
「よお、気分はどうだ?泉」
自然に細められた瞳が投げた意図を正確に伝えられて、私の中の罪悪感が声を大にして嘲笑った。湊は、実花に酷い言葉を吐いた私に対して、言ったのだ……!あからさまに言いよどんだ私を目の端に、鏡子ちゃんは肩を竦めた。ぽん、と私の肩に手を置いたかと思えば「部外者は外に引っ込んでおきますわ。では、詳しい事は帰りにでも――」と言葉を一方的に残して去って行ってしまった。横切る鏡子ちゃんに目もくれず湊は一心に私だけを見つめていた。
他者修正機関……。
目の前に立つ湊は、他者修正機関の……人間で……全くの別人。他者の目に映る姿を愚者そのものに変える能力を彼女……?から与えられた人。何故か私には効かなかったその能力を妄信して、私の前に湊として立ちはだかっていた。
「気分……なら最高かな。佐倉湊……」
「そうか。んじゃ次。最近、変わったことは無いか?」
「無い」
「変な人物に接触したことは?」
「……無い」
「――俺に、何か報告することは?」
「……遠まわしに今朝の実花との話のことを言ってるわけ?それだったら大分過保護だよ、湊」
反笑に混じらせた言葉に、湊は一歩距離を詰めた。私は一瞬強く吹いた風に目を閉じたその隙に闇に光を探した。ああ、これか。確かに見つけた光。けれどその光は、とても弱弱しいものだった。今にも消えてしまいそう……までは行かないけれど、アスティン先生の様な力強い輝きは無い。
……何故?
「……そうか。泉、俺は――……まだ諦めねぇからな。何が?とか今更聞くな。もう覚悟はした。いいよ、全部ぶつかってやろーじゃん。それが幼馴染である俺の役目だ」
「何言ってんの」
「俺は知ってる。泉が実花に対して抱いてた想いを。俺は知ってる、泉は実花に対してすっげー甘かったこともな。なあ、覚えてるか?中学生の時さ、泉が調理実習で間違って怪我をした時……俺が焦っちゃって保健室に泉を引っ張ってさ……後からきた実花が……」
「……?何、言ってんの……?」
そんな記憶なかった。少なくともその場では思い出せなかった。――だから、さも当然の様に語り始めた見知らぬ人物の優し気な表情が一気に歪んで見えてしまって……。語る私と実花の関係性を、熱いものだと語られた私の身は、恐怖に震えた。
――ぞっと、した。
「……忘れた、かあ。はぁー、勘弁してくれ。泉が忘れっぽいのは良いんだけどさ、こういうのも忘れられちゃ、俺が折角遠まわしに含ませた意味がだなあ……」
押し黙った私に湊は微かに笑いながら頭を掻いた。その笑い方が段々と今の実花と同じ……どうしようもない、打つ手がない……という感情を含ませているかの様な色を滲ませる。
その事が明白にわかって、急に春にしては暑い日差しが足元を霞みとられたような感覚に襲われた。鏡子ちゃんがさったドアを見つめると、自然と湊を見つめる形になってしまって湊が私をまるで安心させようとしているかのように笑った。
そうだ、湊はよく笑う奴だった……。顔は違うのに、同じ背と、同じ格好が私の視界を欺いて一瞬……一瞬だが、私の視界に、湊と偽る男の顔が……本物に見えた。
とっさに目を逸らした。背を向けてはいけなかった。
「助けてほしいなら、言え。苦しいなら、言え。俺と実花は絶対に……泉から逃げないから」
じゃあ、行くな。
立ち去る音と、閉められた音に目を閉じた。遅れて戻した視点に、もう居ない影。そのまま倒れたかった。地面が芝生ならそれが許されたのだけど……。だから、変わりに太陽を見上げた。喰われていない日が、目に飛び込んでくる。眩しいや、嗚呼――眩しいなあ。
「実花……会いたい、会いたいな……」
本物の笑顔をちょうだい。本物の困り顔をちょうだい。本物の泣き顔をちょうだい。本物の口から出る――不満をちょうだい。
実花の前でなら、私は理想の私で居られる。醜い言葉も、醜い表情も、醜い思いには苛まれるけれど……きっとここまで剥がれることはない。
私が見たいのは、欲しいのは、実花の笑顔なのだから――。
嗚呼、先程の湊の言葉が反芻した。
私は顔を落して、先程湊がいた位置へ目を座らせた。
「助けられるなら助けて……元の日常が、欲しい……」
言葉が思った以上に切なくて、それが引き金かわからないけれど脳裏にスワードの顔が浮かんできて……。目を瞑る鮮明さが苦しくて、私は目を開けていた。じんわりと染みて来た心の音が苦しくて、胸部の服を鷲掴む。――安心した。安心したの。私ちゃんと……スワードが好き……なんだって。
スワード。
――あれ。何だか……違和感。まるで物語の登場人物の名前をなぞって言ったみたい。
**
帰り際、靴箱で鏡子ちゃんの言葉を思い出した。でも家に帰って眠りたい願望が強かった私はそれを頭の隅に置いて忘れてしまおうと屈んだ。靴を軽く鳴らして角を曲がると、一緒に帰っている湊と実花の姿が見えた。遠目にそれを見て、私は少しの間佇んだ。
混じる、交じる。二人影だけ見れば私の目から出も――あの二人なのだ。いつもなら……あの二人の間に入って……笑うだろう。笑い合うだろう。
不意に、誰かから肩を叩かれた気がした。振り返ると誰もいない。小金の色の廊下がそこにあるだけだった。一度後ろを顧みて、私は前に進んだ。耳元で響いた鈴の声色は、やっぱり困った様に笑っていた。
「お待ちしておりましたわ、か な り」
「ごめんネ……」
むすう、と頬を膨らませた鏡子ちゃんはアスティン先生の横に腰掛けながら私を見ていた。お邪魔かな、帰ろうかな!と冗談めかして言うと思って口を開けば下からにゅっと出て来た少年に悲鳴を上げさせられた。
「許せ娘、翁のささやかな楽しみ故に。うむうむ、良し良し」
叱ろうにもこの子は確か玄武と呼ばれていた鏡子ちゃんの式神……のはずだ。しかも玄武、といえば古典の授業で習った事がある。どっかの方角を司る偉い獣……だった気がするんだけど……。
「はっ、こ、こら!」
つい前かがみに玄武を覗き込んでいた私の頭を撫でこ撫でこしていたことに気付いて、羞恥のあまり声を上げた。音もたてずに大人びたように笑った玄武は身軽い動作で後方へと飛び退く。
「気も乱れておらぬ。先の瘴気は既に大地に流れたと推して良し」
「それはよかったですわ。もう下がって宜しくてよ玄武」
「あい承知。――おっと娘、そこな娘。翁の老婆心から一つ忠告してもよいか」
「な……なんですか……」
ひたひたと再び私の前に佇んだ玄武。その真剣な眼差しに私は膝を折って背丈を合わせた。それを良し、としたのか一度頷いた玄武は一度閉じた口を開く。
「気を付けよ、娘。娘が身に抱くその力こそ、妖共を寄せ付ける――が唯の妖であれば鏡子の領域内には侵入出来不。先の外套の男の様に娘だけを獲物と酔した異形のモノが……娘、汝の命を狙っているぞ」
「……まだ、来るってことですか」
「応。否、断定は出来ぬ。あくまでも推測であるが故。されどー……備えあれば憂いなし。先人の知恵は生かしてこそ、だ。……不安にたせてしもうたか、許せ娘よ」
「玄武。わたしも貴公と同じ意見を持っています。……大丈夫だよ泉さん。わたしがいるじゃない」
「う、うん。それはとっても頼りになるんだけど……」
「あ、ああ……ごめんね。私はいつも、泉さんが本当に怖い時に傍に居られないから――」
「アスティン様!そんなことはありませんわ!そういう事態に陥ったのは大体上山さんが一人でアスティン様から離れた所為ですわっ!――もう!反省してくださいませ!あ"っでもだからと言って何時も傍に侍ると殺しますわよ――いえ調伏致しますわ!」
「はは、ありがとう安倍さん。……玄武、忠告痛み入ります。わたしは泉さんを直ぐに彼の国へ再び連れて行かなければならない」
「彼の国……?」
「嗚呼。それがよかろう、疾くせよ。月が紅く満ちる前に。鏡子が呼びかける限り、翁もそれに従う」
「……!ありがとう、ございます――」
頭を下げようとしたアスティン先生を手で制止て、一度玄武は私を見た。ふ、と――笑ったような気がした。黄昏た日差しに姿を消してしまったから、見間違えかもしれないけれど。
流れで鏡子ちゃんを見ると、ぶつぶつ呟きながら目線を下に下げている。何か気になることでも出来たのだろうか……?悩まし気な鏡子ちゃんが気がかりで首を傾げようとした私に先生は明るい声を掛けた。
「さあ!泉さん!今日も一日学校お疲れさま!――ということで、」
「いうことで!玄武からの忠告に従い――上山さん!」
「は、はいっ」
「上山さんをすこーし、教育致しますッ!!」
「――――へ?」
「ごめんね泉さん。夢の内容……安倍さんから聞かせてもらったよ」
「あー……そうなんですか。うわあ、何だか恥ずかしいですね。そんな大したことないのに……」
「あはは、いや……大したことあるんだけど、ね。取り敢えずその夢を思い出した引き金はあの負素で造られたと言ってもいい男の……所為だ。わたしはてっきり外傷、もしくは泉さんの回路に傷を付けるものだと思っていたが、あくまで夢――への干渉だったね。そこはひとまず安心……なんだけど」
「何だか歯切れが悪いですよ先生。どうしたんですか?」
「自分の固有領域――ここでは異界と表すね。……異界を瞬時に別の領域を侵して作り上げる程の負の力を溜めた妖……だったっけ。もうあんな奴は妖でいいよね。で、その妖が身に溜めていた負素を全て泉さんにぶつけたのに及ぼしたのが夢への干渉だけだった。――在り得ないよ」
「ええ。まず常識ではありえませんわ。……わかります?拳銃に実弾を込めて、それを鏡子や式神には容赦なくぶっ放したというのに、最後の最後、上山さんに放ったのはBB弾だった――ということなのですわ。在り得ないでしょう?しかも意図が読めませんの」
「私に意見を求められてもわかんないよ……」
「上山さん。不本意ながら、この鏡子が手伝ってやるって言っているのですよ。受け身なのはそろそろお止めください」
「……わかってるよ」
「――別人ですのね。上山さんは死にかけないと真面目に物事も考えられないのです?鏡子と初めてあった時、もう少し出来る鬼だと思っていましたが……」
はあ、と落ちた息。
「見当違いでしたわね」
吐き捨てられた言葉。――持ち上げた感情を唇を噛んでぐ、と耐える。私には反抗できない。その通りなのだから。鏡子ちゃんと始めた会った日……あんな風にスラスラ出た言葉を疑う位今の私の頭は空っぽだった。
「安倍さん。協力してくれるのは有難い、とってもね。でも、被害を、狙われてるのは泉さんなんだ。どうかそこまでにしてくれないかな」
「……はあい、アスティン様」
「さ、泉さんもお座り」
安倍鏡子の性格は大体つかめて来た。だから、このような言葉を吐かれても心を痛いが、切れてやろう、だとか嫌いだ!と叫ぶことはしようとは思わない。第一、鏡子ちゃんがここまで毒を吐くのは決まって先生が居る時……と最近相場が決まってきた。後付け加えるならば、鏡子ちゃんは何やかんや情が深い。授業中は勿論のこと休み時間や昼食は私と過ごしている。一人で学校に居るのが辛い?そう思えば唯一の知り合いである私と行動を共にするのは珍しいことではないが、恐らくだけど……鏡子ちゃんは一人が苦手なタイプではない。最近では私も苦手では無くなってきた。
だから都合の良い方向で解釈していいのならば……鏡子ちゃんは――。
「さあ上山さん!昼間、佐倉くんと話してたこと吐いて貰いますわ」
勘違いされやすい人種なのだろう。
「個人情報守秘義務がありますので――」
「……は?」
「……ハイ、喜んで!」
私が話し出すと、初め真剣に聞いていた二人の内一人は段々と目が細くなっていった。あ、何だかリア充氏ねみたいな顔してるな鏡子ちゃん……。
「あのさ、確かに凄く臭い台詞なのはわかるけどここの湊は」
「アリア・レパラジオネ……でしたか」
「そうそう。だから……その顔やめよう」
すっごい、ブスい。あの、すっごいの。
臭いものを不意打ちで顔面に突き付けられたみたいな顔。すごいよ。
鏡子ちゃんは長い溜息を吐いた後、「あーもー嫌ですぅ」と言いよろけながら先生の腕に抱き着いた。「……大丈夫?」と苦笑交じりで聞く先生を余所に鏡子は「はーあー」と寄り添う、強引に。
「取り敢えず!……私が病んでるとでも思ってるんでしょうかねアリアなんとかの職員さんは!」
と話を切った私の言葉を「……いや、違うと思う」と拾った先生はその続きを言ってはくれなかった。
「……あ、ごめんね。確信が持てたら言うから少し待って欲しいな」
「わかり……ました。けど、湊ってば多分あんな感じだし重く考えて先生が病まないでくださいね?」
ふざけて笑い飛ばした言葉に先生も頷いて笑った。笑みを引き出せたことに私は安心する。うははは、と笑い合っていたその間に渋い顔で座って居た鏡子ちゃんが突然手を大きく叩いた。
「はいっ!はいはいはいハイッ!!――始めますわっ!教!育!」
ナガッ!!!!ながっ!!!!ごめんなさい!切るタイミング逃したらこうなりました!!!ひゃー