罪人の解説
ごきげんよう。私はヘカテー。
想造主によって造られた、世界の傍観者。
タナトスが述べた罪人についてなら、語りましょう。
罪の種類は、大きく分けて七つあります。
一つ目が憤怒。
二つ目が色欲。
三つ目が怠惰。
四つ目が傲慢。
五つ目が嫉妬。
六つ目が強欲。
そして、七つ目が暴食です。
これらは[自覚してよう]が、[無自覚であろう]が関係なく、保有している者に益をもたらすことは[絶対的に無い]のです。
無益有害と断するに足るものなのです。
ここまでは、理解しましたか?
次に行きましょう。
罪がもたらす結果は、その場では良いものに見えても、長期的に見れば害であると言えるのです。
タバコがその一例と言えます。
喫煙すれば、その間だけはストレスが緩和されます。
ですが、発ガン性の持った煙りは、体内から侵食し強い欲求を植え付けるのです。
同類であるニコチンへの欲求を。
まるで、餌を欲する雛鳥のように。
そして、蓄積されたニコチンは、有害なガンを引き起こすのです。
ご理解していただけたかしら?
罪もまた、心に入り込み、健全な心を侵食させるのです。
さらには、無自覚的に罪を重ね続けさせます。
知識の具現者が忌避したように。
そして、罪を重ね続けた先は、死が待っているのです。
ご理解していただけたかしら?
最後に大罪を重ね続けた結果を教えましょう。
憤怒の果ては、反乱による報復に。
色欲の果ては、愛する者の裏切りに。
怠惰の果ては、信用の損失に。
傲慢の果ては、自己正義による愚酒の酩酊に。
嫉妬の果ては、憎悪による醜態を曝すことに。
強欲の果ては、満たされぬ虚無感に。
暴食の果ては、健康の損害に。
それぞれ為るのです。
それらは最終的に死を与えるものです。
死の前段階が罪なのです。
ご理解いただけたかしら?
あなたがどのくらいの罪を負っているのかは、私の知り及ぶところではありません。
ただし、他人に指摘されてしまうようなら、その罪は[大罪の位]にまで膨張してしまっていることになります。
あなたは自身の罪と向かい合いましたか?
自身の罪の重さは理解しましたか?
自身の罪から逃避してはいませんか?
あなたがいくら罪から逃避しようと足掻いても、最後には簡単に捕まってしまうものなのです。
ゆえにこそ、自身の犯してしまった罪を気づき、受け入れるべきです。
誰も彼も、罪からは逃れられないのですから――。
<終>
とりあえず、この話で完結になります。