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joker2  作者: ねきつ×あまひら。
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3章


「はじめまして。ぼくは、不明朗。」

 はじめまして。ともう一度繰り返して、名前を名乗った。……不明朗?

「はじめましてかな。ぼくは、封磨かな。」

「僕は、抄夜。」

 背は少年といってもおかしくないレベルまで低いって言うか少年。

「職業は探偵。今は狩人。君たちはどっち?警察?怪盗?」

「怪盗だよ。」

「……ふうん?いつもだったら怪盗なんて捕まえるんだけどなぁ。ま、ゲームだしいいか。よろしくね。」

 なんか、空気がおもい。

 こんな少年が人を殺したことがあるのか?こんな若い子が……。

「でさぁ、ぼく、探し当てた方に従えって言われてんだけどなにしたらいいの?質問は随時受け付けてますよ。」

「一応、タカラモノを取りに行くかな。」

「ふうん?いいよ。てっきとーに行こう。所で、君たち戦闘力は?」

 商店街を歩き出した不明朗は振り向いて質問する。

「え、まぁまぁぐらい?」

「タカラモノ、粗蕋抄夜が取りに行くべきだよ。粗蕋抄夜、へぇ君が。」

「………なに?」

「いや、不思議だなぁって君の両親がなくなったやつ。どうやら、捜査がなかったことになってるからさ。不思議だなぁ。」

「……………。」

 やばいか?

 狩人、僕にとっては悪手だったかも。

「なぁ、不明朗君かな。」

「君………なに?」

「何人殺した?かな。」

「ん?」

「円でも、一人二人殺した程度じゃこんな早く見つかるはずないかな。」

「ぼく、犬苦手なんだよねぇ。」

「何人かな?」

「気にしなくていいよ。そういうのは、数人……数人だよ。」

「千人………いやもっとかな。」

「…………いやだなぁ、そんなわけないじゃん。ひ弱な少女だよ。ぼくは。いいや、ひ弱な少年だね。少女になってみたいなぁ。」

「千人単位で死んだ事故って言えばあれかな。建物が崩壊したやつ。もっとも、犯人は自首したってきいたかな。」

 そういえば封磨君は読心術が使えるんだっけ。なら、事実な可能性が高い。

 メロンパンを食べてる少年にしかみえないのに。本当に人は見かけによらない。

 建物が崩壊した事件………聞いた気がする。どっかの財閥の建物が崩れ落ちた事件。

「…………。」

 不明朗は封磨君の目を見る。

 とても冷たくて暗い目をしている、不明朗。

 人を殺した人の目。

「罪は償ったから、いいんだよ。それは過去。今のぼくには関係ない。」不明朗はそういって再び前を向いて歩き出す。「まー刑務所はぼくの第二の住みかだね。うん。」

「刑務所?」

「おっと。口が滑った。つるつるりーん。」

 20才以上なのかな。

 みためはどう考えても少年なのに。何者だろう。この子。

「………所でさ、タカラモノってなにか知ってるの?」

 少々強引に話をそらす、不明朗。

 続けたくないのだろう、僕だって両親の話をされたら……話をそらすと思う。

「ぼくは知ってる。それをとってこいって雅さんに……ね?」

 あぁ、雅さんとかなつかしい。

 あの人の名字知らないな。そういえば。今はもう関係がないけれど。

 あの人と一緒にいるんだ封磨君は。

「抄夜くんは?」

「知らない。」

「ふうん。知りたい?」

「いや………。」

 知ったらモチベーションが変わるかもしれないし、上がるか下がるかわかんないけど。

 下がったらいやだ。

 知りたくなったらタロット使えばいつでもわかる。

「いいや。知らなくていい。」

「あっそ。」


◇◇◇


 あれから俺達は死色と俺、諏訪と胡蝶に分かれ、とりあえず海神中学を目指すことにした。

 諏訪達は海神中学の場所が曖昧らしいので、俺は場所と目印だけ教えてマックから出る。

 戦力にならないなら狩人はいらないだろうという話になって、それぞれに分かれて海神中学を目指す。

「でしー……。」

 何だか死色はつまらなそうだ。そういえばまだ仕事の説明をしてなかったと思い、俺は簡単に(死色でもわかるように)説明した。

「うぇえ?」

 わかんねーのかよ!

「抄夜と俺は敵チームになった、からもしかしたら戦うかもしれない。」

 そう言ったら死色の目が突然輝いた。

「ほんとでしかっ!?抄夜くんと!戦えるんでしか!」

「いや、うん……どうかな。戦うと思うけど……。何でそんな嬉しそうなんだってね。」

「いやぁぁあっふぅぅううううう!!!」

 縦に七メートル飛んだ死色。

 あー、もうよくわからねえな。

 華麗に何かの店の屋根に着地した後、死色が俺に手招きした。大声を出さないところを見ると……敵か?

 周囲の人間が俺達に注目する中、俺はジャンプを駆使して死色と同じ場所に立つ。

「あれは……。」

 雪と、向こうのチームの誰かか。

 正直雪とは戦いたくねー……。

「……っ!?」

「やあ名莉海君。ご無沙汰ー。って言ってもさっきぶりだね?」

 おいおいマジかよ、雪さんよ。

 パッと消えてパッと出るそれやめてくれない?心臓に悪い。

「ん?どうしたの?」

「……いや。」

 こいつは、やっぱり敵として立つんだろうな。どうでもいいって顔してるけど。

「ねえ名莉海君……しーちゃんでもいいけど。タカラモノって何か知ってる?真下ちゃん教えてくれないんだよねー。」

 ……雪は知らないのか。

 教えるべきか、否か。

「……俺も知らない。もちろん、死色もだ。」

「何の話でしかっ!!」

「……へえ、呪いの宝玉。」

「……なんで……。」

 俺も死色も何も言ってないのに。

「鈍いの宝玉でしかぁあ?」

「いや、死色。そののろいじゃないけど……。」

 こんな時までボケる必要ないぜ?

「ん、わかった。ありがとう。」

 雪は怖いくらいに穏やかな笑顔で俺にお礼を言った。

「まあ僕には必要ないものだったね。もともと暇だから付き合ってやってるだけだし。」

「そうなのか?」

 じゃあ戦わなくて済むかもしれない。

「うん。飽きたら降りるよ。金には困ってないし。じゃ。」

 雪は屋根から降りようとしたところでぴたりと止まって、俺を振り返る。

「名莉海君。」

「……何だよ。」

 少し緊張で表情がこわばった。対して雪は無表情だった。

「間違っても僕を殺そうとなんて、しないでね?」

「………………。」

「君より僕の方が強いんだからさ。」

―――返り討ちになっちゃうよ?

 雪は言う。

「……じゃあね。」

 俺の返事を待たずに雪は屋根から飛び降りた。

「言われなくても殺したくねーよ……ってね。」

「しーちゃんもあの人殺したくないでしでしーっ!だぁあって意味不明でしからねぇ。」

 確かに意味不明、だな。超能力っていうのか、ああいうのは。

 まっとうに戦う俺達には勝ち目がないな……。二対一どころか、百対一でも勝てそうにねえや。

「よ、よいしょぉ。のらりくらりぃ。」

「ん?」

 敵か?

 俺は弓をいつでも打てるようにした。死色は最近お気に入りの鎌を握る。

「はぁ!どぉも、はじめましてっ!警察さぁん!のらりくらりぃ。」

「えーっと……真下だっけ。あんた。」

 屋根に登ってきたゴスロリな服に身を包んだ彼女、真下は笑う。

「そぉだよ。討伐しに来ましたぁ。くすくすっ。」

「戦うでしよ?名莉海くん。」

「そだな。」

 戦うしかなさそうだ。

 本当は抄夜の邪魔だけしようと思ったんだけどな。

 俺は弓を構える。

「楽しくなってきたぁ。のらりくらり。」

 真下は剣を、死色は鎌を。

「てぇぇいっ!!」

 真下が俺に向かって剣を振り下ろす。それを避け、屋根から商店街の反対に飛び降りた。つまり先ほどまで雪がいたところだ。雪の姿はもう見当たらなかったけど。

「こっちもいるでしよぉぉおおお!!」

「わわっ。」

 死色が真下に攻撃したようだ。

 金属音がしたところを見ると、防がれたみたいだけど。

 地面に着地し、弓を引く。

「…………当たるかな。」

 結構茂みがあって、それに防がれてしまう気がしてきた。

 まあ試しに一発、打つか。

 そう思って手を放す。矢はうまく間を縫って、真下に当たりそうになった。が、やはり向こうも手練れ。避けられた。

「だりゃぁぁああ!のらりぃ!」

「うわっ。」

 飛び降りてきやがった。その勢いで俺に攻撃してくる。間一髪、弓で防いだ。

 弓と剣が交わった状態になる。

「ぐぬぬ……。のらりくらり。」

 さすが兄ちゃんが作った弓。全然切れないな。

「……しーちゃん特製ぃ!首ちょんぱぁあ!」

 静かに近づいてきていた死色が攻撃する。

 ―――金属音。

「―――二刀流かよ。ってね。」

「ん?うふふぅ。刃物ならなぁんでもいいの。」

 俺は後ろに跳ぶ。

「かぁっこいいでしねぇ!ふひひひ!じゃ、しーちゃんもにとぉ?にとーりゅーするでし!よ!!」

 死色がどこからか剣を取り出す。

 剣と鎌の二刀流だ。

「ふひひっ。」

 死色は笑って、真下に襲いかかった。

「……っ。」

 死色の攻撃に真下の反応が少し遅れている。防いではいる、けど。

「…………。」

 きり、と弓を引く。

 放つ時の殺気は極力少なくしよう。

「でしっでしぃいっ!」

「ちょ、あんた疲れってものはないわけぇ!?なの!?そんな重そうなの振り回してっ!」

 真下と死色は激しい攻防を繰り返す。やがて。

「あーもうっ。のらりくらりぃっ!」

 真下が死色を跳ね返した。瞬間。

 俺は矢を放つ。

「むぅ!?」

 よし、当たった。

 真下は腕に刺さった矢を自分で引き抜いた。

「いたぁい……。のらりくらり。なにすんだこらぁ。」

「殺すんでしよぉ!」

 金属音が響く。

 真下の動きが早くなった……?

「真下ちゃーん。」

 真下の動きが止まる。

「ゆっきー、助けに来てくれたのぉ?」

 茂みから雪が現れた。

 俺と死色はぴたりと止まる。

 雪が参戦とかなると……俺達に勝算はないぞ?

「んー。まあある意味助けかな?」

「雪……頼むから邪魔は」

「しないでくれって?」

 言いながら、雪は死色の方へ歩く。

「で、で、でしでしでしでしでしでしでしでし………。」

「雪!!」

 死色に何かする気か?

 名前を呼んでも返事はない。

「なななな、なんでしか!」

「鎌、貸してくれない?」

「で……でしー……。」

 雪は何を考えているのか、俺には全くわからない。

 死色の鎌を受け取り、こちらを、真下と俺の方を向く。

「……できるかな。久しぶりだし。」

 なんてことを呟いて、雪は息を吐いた。すると同時に、鎌の刃部分に光が灯り始める。

「え?え?」

「…………。」

 挙動不審な真下と、沈黙する俺。

 まあ、仕方ない。超能力に勝てるわけないし。

 潔く死ぬかー、なんてことを考えて目を閉じたんだけど。

「えっ。」

 目を開けたときには驚いた。

「は……?」

 だって生きてるのは俺で―――死んでるのは、真下で。

 真下は上半身が吹っ飛んでいた。と、いうか、上半身が消えていた。

「うん、いけるいける。」

「ゆ、雪?お前何を……。」

 雪は死色に鎌を返して、俺を振り向いた。

「何って、助けてあげたんだよ。名莉海君。」

「助けて……?」

「真下ちゃんが本気だしたら勝てないでしょ。いや、勝てるかもしれなかったけどね。確率は低いでしょ?答えがわかる名莉海君。」

「―――っ!」

 寒気がした。

「いい肩慣らしにもなったよ。僕もまだまだ現役いけるね。」

 俺は動けなかった。

「じゃあ、後は頑張って。」

 雪はひらひらと手を振って、歩いてどこかに行ってしまった。

「で、でし?」

「いや、俺もわからん……。」

 何がしたいんだ雪は……。全くもって意味がわからない。嫌がらせか?

 いや、でもこんなことしてる場合じゃない。

「死色、歩ける?」

「え?うぅ?あーるーーけるでし!」

「ん。じゃ、海神の方向かおう。」

 真下が死んだことに変わりはない。俺達がやったわけじゃないけど。

 それより抄夜に会わないといけない。

 俺達は海神中学校に向かって歩き出した。


◆◇◆


「もっしー。愁?」

『愁ですよー!空さんおひさしぶりです!』

 私は諸行愁が大嫌いなんだけどなぜか好かれている。

 どうしてだろう。ピンチとかを助けたことないよ?私。

「あーうるさいですよ。うるさい?あーゆーおけー?」

『おっけーおっけーおっけーおっけーおっけーべりーおっけー。空さんがいうならいくらでも。で、なんでしょうか?』

「死人が出たからよろしくっていう電話です。」

『死人?死人っですか?誰でどこでしょう。』

「ここ。」

『―――了解です。」

 です。といい終わる前には諸行愁はここにいた。

 ワープとやらをつかって目の前にとんできたらしい。

 そして、諸行愁は中心真下の死体を見下ろす。とても、冷えた目で。

「あーああー。顔っていうか上半身がありませんが、真下さん。でよろしいですね。」

「そう。中心真下。」

「惜しいことしましたね。真下さん。覚醒しそうでしたのに。」

「そうですね……セツがそれを止めたという感じ……です。」

 中心のしかも直系。

 天才殺人集団の天才の天才。

 赤目は天才の印。

 中心真下。

 ………出来損ないの姉、中心真上あたりは喜ぶだろう。私の出番が回ってきたと。

「ゆっきーさんですか。……ちっ。ぶっ殺したいですね。邪魔ばっかしやがって。……です。」

「………。」

 危険な発言だな……。

「………。」

「あ。待ってください。愁さん。」

 死体を民衆にさらす前に消してしまおうとしていた諸行愁が振り向く。

「はい?」

「メモ帳、しかも中心真下のメモ帳は回収しておきたいです。ふふふ……。」

「あーはいはい。」

 そういって、中心真上の残ってる下半身のスカートを引きちぎる。

 なんて、小娘だ。

 いや、年下なんだけど。私の方が。

「これですかね。」

 スカートをまさぐり、メモ帳を取り出し手渡してくる。

「ありがとうごさいます。」

「いえいえ。」

 メモ帳をぱらぱらとめくる。

「―――色殺――倶楽部――白群――RCS2――」

 はあ、調べてるなぁ。

「しかし。」

 メモ帳を閉じる。

 これは、調べ方が甘い。ぺろきゃん並みに甘い。こんなに私たちのすんでる世界は浅くない。………若さというやつか。

 私も若いが。

 大体私はこんなに分かりやすくメモ帳にまとめたりしない。まとめたとしてもデータ化しているし、文章も暗号化してあって、私以外読めない。絶対に。

 ………才能があるがゆえの無能か。

「所で、空さん。」

 そう諸行愁が言ったときには、中心真下の死体はもうなかった。

 何事もなかったかのように消え失せている。

 中心真下がこの世にもとからいなかったように。世界に否定されたかのように。

「なんですか?」

「私、諸行さんのところにそろそろ戻るので。」

「海神高校ですね。」

「いやぁですねぇ、今更そんなこと言わなくても分かってるでしょうに。諸行雫はいつでも皆さんをみてますから。未来も過去も幽霊も希望も。ふふふっ!……では。」

 ――失礼しました。

 と、笑顔でいって諸行愁はその場からいなくなる。

「………。はぁ……。」

 ため息をついて、一つ幸せが逃げた。

 ような気がした。


◇◆◇


 円に三人乗れるわけでもなく(乗れないこともないらしいけど、商店街の皆様には少々見せたくない。動物虐待で訴えられるのは嫌だ。)だからといって不明朗が子供なことがつたってものすごい遅いペースで商店街を歩いていた。

 途中、コンビニで不明朗のメロンパンの追加と飲み物買ったり。

 なんていうか、殺しあいをしているとは思えないような空気だった。

「そういえば、不明朗。」

「もむ?」

 メロンパンを食べながら返事をしたためすごく不思議な返事をしてしまったらしく不明朗は頬を赤らめた。

「さっき、戦闘力は?みたいなこときいてきたけど、タカラモノをとるのに戦闘力とかいるの?」

「………んにゃ、タカラモノ本体をとるだけなら戦闘力は一切必要ない。けど、タカラモノを使うにはヤバイ。し、」メロンパンを一口食べ、続ける。「それを持ってるやつが……ね。」

「かな?ゲームマスターってやつかな?」

 ゲームマスター………。

 誰なんだろう。ゲームマスターってことはかなりつよいと思うんだけどなぁ。

「違う。ゲームマスターとは関わり深いけどゲームマスターじゃあない。知らない人じゃないかな。」

「ふうん……。強いの?」

「強い。」

「二人じゃ足りない感じなの?」

「足りない。よ。そんな次元じゃない。すべて、終わりも始まりもすべて知り尽くしてるんだから戦いもくそもない。」

「なんだそりゃ………。」

 未来予知?過去視?

 未来が見えているなら戦わなくても知ってる。全部知ってる。

「それに、本人も動けるからな……ぼくよりは。」

「不明朗君って強いのかな?」

「まあまあってところかな。君たちに比べたらなにもできないし、戦力に数えないでほしい。」

「わかった。かな。」

 ふうむ。全く戦えないわけじゃないのか。

 多分、不明朗は話をきいてるかぎり、頭脳戦にすると思う。裏をかいて裏を見て、騙して騙して騙すんだと思う。

 だから決して弱くはない。

 さっきから不明朗の手元に見える手錠(左右ともに二個ずつつけている。おしゃれだね。ね?)は二重についてるうち片方はメリケンサックになり得るような武骨な武器。………に見える。

 靴もよくみれば安全靴だし。

 普通に危ない子だ。

「んー。でもなぁ、火力が足りないような気がする。」

「火力かな?」

「戦力。暇してる怪盗さんはいないかなーって。」

 雪さんも真下もどこかでなにかやってるだろうし(僕らに敵が回ってきていないことが証拠だ。)そんな暇人はいないか。

 まぁ、ゲームマスターさんとかがお手伝いしてくれればいいんだけど。

 ルール違反してみようかな。

「それは、危険かな。」

「あ。バレた。」

 読心術くそ。

 冗談だよ。

「………戦力が足りないのは確かだね。ぼくもそれは思う。」

「だよね。」

「まぁ君が粗蕋抄夜だっていうなら案外あっさりくれたりするかもしれないけど。」

「は?」

「仮定だよ。仮定。彼はなにを考えてるかぼくにはわからないからね。ぼくが知ってる人はそんな人ばっかしだよ。」

「…………ふうん。」

「まーったく、訳がわからないよ。みんな。」

 はー。と大きくため息をつく不明朗。

 疲れてるように見えた。僕には。

「………ん。」

 不明朗を見た先から誰かがっていうか雪さんが見える気がする。

 身長僕より高いんだっけ………じゃなくて、えっとぉ………真下は?

「あれは、雪かな。」

「敵?味方?」

「味方かな。」

「へぇ、雪って、へー。ほへー。」

 不明朗はよくわからないけど感心してる。

「やほー。」

「どうもです。って真下は?」

「死んじゃった。」

「……そうですか。」

 名莉海君か死色か、胡蝶さんだかスワン、諏訪さんだか知らないけど殺されたんだろう。

 何らかの戦闘で。

「へぇ、狩人って君?」

 メロンパンを頬張ってる不明朗をみて、雪さんは言った。

「うん。不明朗。はじめまして、セツさん。」

「うんうん。どーも。自己紹介は要らない感じだね。」

「そうだね。お会いできて光栄光栄。」

 不明朗はそういいながらも別段光栄そうには見えなかった。適当って感じ。

「じゃあ、四対四に戻ったわけだ。よかった。」

「まぁ、そうですね。」

 というわけは警察チームは死んでない。名莉海君と死色は生きてるってことだ。

 よかったよかった。

 できればあの二人とは会いたくない。

「………かな、う……。」

 封磨君はとんでもないものをみたようにして、雪さんをみる。

「ん?」

「いや、その。かな。」

「あぁ、そう。」

「う……。」

 訳がわからなかった。

 なんだろう。実は腹違いの兄弟でそれが発覚したとか?

 どこにそんな要素があった。

 そんな話じゃない。多分。

「………はぁ、ついてないかな。」

 雪さんから目をそらし、僕を見てくる封磨君。

「なにが?」

「能天気でいいかな…。」

 そう、封磨君が言ったところで、円が一回鳴いた。短く。

 わん。

 と。

 封磨君が振り向いたのにつられて僕も振り向く。

 反射のようなもので。

「………。」

 僕らの後ろに立っていたのは商店街にまるで似合わない斧をもった諏訪さんと、ゆるく僕らを見据えている、胡蝶さんだった。



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