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力とその一閃  作者: 遠井 椎人
第二章

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第二章 第12話 まとめ役

 教会の破壊から何日か経った頃、道中でカールが口にした。


「この前の教会みたいな献槍隊はどれくらいいるんだろうな」


 ジョンがそれとなく答える。


「どうなんでしょうね。ああいうジワジワと締められるような状況は辛かったと思います」


「俺は、そんなことするなら殴ってこいよ、て思うタイプだから耐えられねえなあ」


「あはは、カールさんらしいですね。俺はてっきり教会であの怒ってた人の代わりに爆発するのかと思ってましたよ」


「茶化すなよ。俺だって空気は読むぜ」


「茶化してませんよ。カールさんは、感情の代弁をうまくやってくれる人ですからね。大事なことです。むしろあの時はやるべきだった」


 ジョンとしては冷静な意見のつもりだったが、カールには引っ掛かるものがあったようだ。


「む、何だその上げて落とす言い方は」


「あー、いや気を悪くしたのであれば謝ります。すみません」


「いやいや、怒ってはいないけどな……俺だってあの時はセンチな気分だったんだ。こう見えても繊細なんだぜ。なあ、ヴィル?」


 特に衝突ということにはならなかったが、カールが突然ヴィルに振る。


「え? あ、はい、カールさんは……その、とってもおセンチな人だと思います」


 ヴィルも何と言って良いのかわからず、しどろもどろになってしまう。


「マ、マギーもそう思うよね?」


「僕は、どちらかというとジョンさんに賛成かな。カールさんがあそこで勢いよく出ることで、皆の感情がもっと上手く発露できたんじゃないかと思う」


 苦し紛れにマガスに振ったら、また話が戻ってしまう。


「いや、マギー、そうじゃなくて……」


「やっぱり、マガスもそう思うよな?」


 ジョンがマガスの言葉に乗るので、カールも合わせるように返す。


「なんだぁ? ジョンとマガスは、俺とヴィルに文句をつけようってつもりなのか?」


「あれぇ?」


 ヴィルも思わず素っ頓狂な声をあげた。収拾がつかなくなってきたところで、レナが口を開く。


「んもう、カールさんも兄貴も何でそんなしょうもないこと言い合ってんの?」


「あー、いや……」


 カールもジョンも口ごもってしまう。


「マガスもヴィルも乗せられないでよ」


「はい……ごめんなさい……」


(えぇ……私、何も悪いことしてないと思うんだけど……)


 ヴィルは理不尽を感じながらも、口には出さなかった。


「はいはい、終わり終わり」


 レナが、仕方ないと言わんばかりに場を収めた。


「ちぇっ」


 カールが決まり悪そうに頭をかく。


 しばしの沈黙、そして急にラバが鼻を鳴らしながら、カールに体当たりをしてきた。


「ブフフンッ」


「うわっ、何だ、おいっ」


 二度三度と、そんなに痛くはないのだろうが繰り返す。村で言われた通り、ラバは気性が荒いのだが、なぜかカールには特に強く当たってくる。


「はいはい、どうどう」


 レナが、ラバをたしなめると落ち着いてくる。よくある光景になってきた。レナはロバの扱いも上手かったが、このラバとも仲良くやっている。


「コイツ、何で俺にばかり当たりがキツいんだよ……」


「まあ、相手を見てるんでしょうね」


 思わず皆から笑いが漏れる。


*****


 小銅球の空中発射を雷粒レインとして確立できた。


 戦闘の開幕にて、献槍隊が三人迫ってくるところでマガスが合図をする。


「カールさん、まず行きます」


「おう!」


 カールの返事と共に、ジョンとレナも含めて道を開ける。献槍隊としては驚いただろうが、止まることなく進んでくる。


 マガスがバラっと空中に小銅球を撒いた。


「ヴィル!」


「はい!」


 重層化したパチッという音と同時に空中に複数の小さな火花が散り、小銅球が雨のように献槍隊へ降り注ぐ。


「うわ!」


 怯んだところへ、カールを始めとした三人が追い打ちをかけていく。


 このように、雷粒レインとヴィルが名付けたこの攻撃は、牽制や露払いには高い効果を発揮した。雷粒レインは、空中発射の試行錯誤の結果として確立するに至った。


 まず、精度と威力を妥協すれば空中発射が楽になることに気付いたのが大きい。更に、ヴィルの出力が上がってきたこともあって、複数同時に何発も撃つこともできるようになった。


 空中にばら撒いた小銅球に対応して広く磁線と雷圧を作り、雷流を同じ範囲に流すと発射することができるようになったのだ。


 制御にあまり集中する必要がないし、多数の弾を対象にすることができる。ただし、攻撃力としてはかなり低くなるし飛ぶ方向にもばらつきがある。場合によっては発射されない弾だってある。それでも雷粒レインには、面状の攻撃ができるという大きな利点がある。


 弾となる小銅球の製造が容易という点でも勝手が良かった。


 避雷導線を切るだけでも、球体とは言えないが弾になる。避雷導線を簡素化し、雷撃を通して罠や護身に使う雷導索というものも作ったが、これも雷粒レインの弾にすることができた。


 設備があれば、溶かした銅を水に滴下するだけで、速く大量に丸粒状で弾を作れた。


 運用のコストパフォーマンスが高いし、ヴィルとしても細かい制御を必要としないため非常に重宝した。

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